インフルエンザの予防接種は何歳から受けられる? 年齢ごとの効果や注意点を医師が解説

赤ちゃんのインフルエンザワクチン接種は、生後6ヶ月から可能とされていますが、接種を受け付ける時期は医師によって異なることもあるそうです。「ソージュ山下町内科クリニック」の中村先生に子どもの年齢とワクチン接種について詳しくお聞きしました。

監修医師:
中村 蓉子(ソージュ山下町内科クリニック 院長)
東京医科歯科大学医学部医学科入学後、海外留学を経て、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程神経病理学分野入学、修了。東京医科歯科大学医学部附属病院や横浜市立みなと赤十字病院へ勤務後の2020年、神奈川県横浜市に「ソージュ山下町内科クリニック」開院。予防の観点から、定期的に相談できるかかりつけ医を目指している。医学博士。日本内科学会認定内科医、産業医、協力難病指定医。
編集部
赤ちゃんのインフルエンザワクチン接種って、何歳から可能なのでしょうか?
中村先生
ワクチンに添付されている説明は「生後6カ月から」で、日本小児科学会でも同様の時期を推奨しています。ただし、「生後1歳から」接種を受け付けている先生もいらっしゃるようです。なお、インフルエンザの予防接種は、希望する人だけが受ける“任意接種”となっています。
編集部
赤ちゃんには、母体から免疫力が受け継がれていると聞きます。
中村先生
そうなのですが、母体から受け継いだ免疫力は徐々に失われていきます。自分自身の免疫力にとって変わる “谷間”の期間は「生後6カ月」前後です。ワクチンは体の免疫力に働きかけますから、「谷間の期間に接種すると、限定的な効果しか得られない」とも考えられますよね。
編集部
医師によって、評価が分かれているんですね?
中村先生
かつての小児用ワクチンは用量が少なかったため、効果を疑問視する見方もあったのです。その時代の名残かもしれませんね。なお、現在では、小児用ワクチンの用量が増えています。また、海外の統計調査ですが、「生後6カ月のインフルエンザワクチン接種は効果的」という報告が出ています。
編集部
たいてい、大人の場合は1回の接種です。
中村先生
12歳までのお子さんは2回を推奨しています。ただし、12歳と13歳でなにかが決定的に違うのかというと、そんなことはありません。一般的にですが、過去、インフルエンザに感染していると、1回の接種でも免疫を獲得しやすくなります。その線引きを統計的に考えたとき、「12歳」という数値が出てきたのではないでしょうか。ですから、その年の流行状況などを参考としつつ、柔軟に運用してもいいのかなと考えています。
編集部
ほかのワクチン接種と重なりそうなときは?
中村先生
この件に関して、2020年の10月から状況が“大きく変化”しました。今まで、「インフルエンザのワクチン」と平行して「麻しん風しん混合ワクチン」を接種する場合、一定の間隔が必要でした。しかし2020年10月1日以降は、翌日以降あるいは同時でも可能となっています。医療機関のサイトなどが更新されていないと、“古い情報”を目にするかもしれません。注意してください。
※この記事はメディカルドックにて【インフルエンザの予防接種は何歳から受けるべき?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。