「インフルエンザの型」違いはあるの? インフルエンザの種類や症状について医師が解説
毎年話題になるインフルエンザの「A型」や「香港型」。これらは一体何を意味しているのでしょうか?インフルエンザの分類やその影響、さらに有効な予防法として注目されるワクチン接種について、「ソージュ山下町内科クリニック」の中村先生に、詳しく解説していただきました。
監修医師:
中村 蓉子(ソージュ山下町内科クリニック 院長)
東京医科歯科大学医学部医学科入学後、海外留学を経て、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科博士課程神経病理学分野入学、修了。東京医科歯科大学医学部附属病院や横浜市立みなと赤十字病院へ勤務後の2020年、神奈川県横浜市に「ソージュ山下町内科クリニック」開院。予防の観点から、定期的に相談できるかかりつけ医を目指している。医学博士。日本内科学会認定内科医、産業医、協力難病指定医。
編集部
インフルエンザの「A型」とか「香港型」って、なんのことでしょう?
中村先生
対策がきちんと取れるような分類名です。ABCなどのアルファベットは基本の型で、香港やソ連などの地名は“亜型”といいます。例えば、A型はトリなどにもうつるので、「トリインフルエンザにも気をつけよう」という対策が取れます。他方、B型ならヒトだけにうつるので、我々の集団感染を防げばいいことになります。こうした基本の型があった上でさらに細分化され、「今年はA香港型の流行が予測される」などと報道される仕組みです。
編集部
型や亜型による症状差はあるのでしょうか?
中村先生
基本的にインフルエンザのタイプは毎年、異なります。ですから、その意味においては「差あり」ですね。一方、A型やB型に固有な症状があるかと問われれば、その答えは「差なし」です。今回のテーマである発熱も、その年のタイプに聞いてみないとわかりません。
編集部
いずれにしても、ワクチン接種が有効な予防方法であるということでしょうか?
中村先生
そう言っていいでしょう。インフルエンザは、一通り感染して、一定数の人が抗体をもつことによって収束します。ただし、ワクチンの中にインフルエンザウイルスは“一匹も”いません。その中身は“ソックリさん”で、事前の模擬戦により抗体をつくって、本番に準備しておくようなイメージです。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
中村先生
昨今、新型コロナウイルスの流行もありますので、「疑わしいなら調べる」意義は、より大きくなってきていると考えます。もしかしたら「コロナウイルスと判明したくない」などの心情があるかもしれませんが、なにより感染の拡大防止に努めてください。そのための第一歩が受診です。「単なる風邪だろう」という素人判断は、ぜひともやめていただきたいですね。その際、直に来院されるのではなく、各自治体の発熱外来ルールを確認しましょう。
※この記事はメディカルドックにて【熱の出ないインフルエンザがあるってウソ? ホント?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。