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【NEWS】 貼るだけでインフルエンザ予防、「パッチ型ワクチン」製品化の可能性(医師コメント3件)

 更新日:2023/03/27

米国ロチェスター大学の皮膚科教授ベンジャミン・L・ミラー博士らは、かねてから開発中の経皮吸収型インフルエンザワクチンが、マウス実験において有意な反応を示し、副作用も認められなかったと、医学冊子『Journal of Investigative Dermatology』で発表した。

従来の注射によるインフルエンザワクチンでは、技術を習得した医師にて実施される必要性や注射事故、注射針の使い回しによる二次感染など、さまざまな問題を内在している。また、注射時の「痛み」がネックとなり、接種率を下げている可能性もある。皮膚に貼る「パッチ型ワクチン」にはこうしたリスクが少なく、ワクチン摂取率の向上に大きく寄与するものとみられている。

加えて、有効性の観点からも期待の目が注がれる。当初、異物そのものの侵入を防ぐ肌バリア機能の存在が、「パッチ型ワクチン」の障害となっていた。ミラー博士らは、この肌バリア機能に特殊なタンパク質が関わっていることを発見し、そのタンパク質の機能を阻害する成分を加えたパッチを開発。

このパッチを、あらかじめ筋肉内注射によってワクチン接種したマウスに貼ったところ、インフルエンザ抗体が有意に増加したという。他方、ワクチン接種によって曝露(ばくろ)していないマウスに対しては、パッチの効き目が得られなかった。ミラー博士らは今後、貼付時間の最適化を検証し、ヒトでの試験に備えたいとしている。

将来、認可薬として普及すれば、インフルエンザに限らずワクチン療法そのものが簡便化される見込みだ。

医師のコメント

 

  • 眞鍋 憲正(救急医・整形外科医・スポーツ医学医)

これはとても画期的な研究でぜひ実用化してほしいと思います。インフルエンザはその感染力の強さが問題となっており、こうした簡便なワクチン投与方法でヒトの集団免疫をあげられるということは、ヒト動物間でのウイルスのやりとりも減らせ、新型ウイルスの発生やその世界的流行を抑えられるのではないかと思われます。

 

  • 山崎 ゆか(麻酔科医)
    中部産婦人科

インフルエンザの予防接種が貼るだけでできるなら、子供達にとっても、痛くないというメリットが大きいし、接種する医師としても、針による障害が起こる可能性が減る。もっとインフルエンザの予防接種を進めていく上でも良いニュースですね。重症化を防ぐために必要であることを知ってもらうことも必要ですね。パッチが安く提供できることを願います。

  • 山口 征大(内科医)

少なくとも、針の使い回しによる二次感染というリスクは日本においては、考えにくいです。しかし、毎年膨大な量の注射が使用されている中で、針刺し事故が0件ということはないでしょうから、簡便性という点で、パッチ型ワクチンのメリットについても納得はできます。