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原因は日本人の生活習慣の変化? 「逆流性食道炎」が近年増えているワケを医師が解説

 公開日:2024/12/10

近年増加傾向にある「逆流性食道炎」一度はその名前を耳にしたことがある人が多いのではないでしょうか。実は繰り返すうちにがんのリスクが高まってしまうこともあるそうです。逆流性食道炎とはどのような疾患なのか、日本橋人形町消化器・内視鏡クリニックの石岡先生に解説していただきました。

石岡 充彬

監修医師
石岡 充彬(日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック)

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2011年 国立秋田大学医学部医学科卒業。卒業後は秋田大学医学部附属病院の消化器神経内科学講座医員として研鑽を積む。2018年 がん研有明病院消化管内科。2021年 同病院 健診センター・下部消化器内科兼任副医長に就任。2022年より品川胃腸肛門内視鏡クリニックの院長を務める。2024年「日本橋人形町消化器・内視鏡クリニック」を開設。日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医。

編集部編集部

まずは逆流性食道炎について教えてください。

石岡 充彬先生石岡先生

逆流性食道炎は、胃酸を含む胃の内容物が食道へ逆流することによって、胸焼けや呑酸症状(酸っぱいものや苦いものが込み上げてくるような症状)などを引き起こす疾患で、患者数は増加の一途を辿っています。「逆流性食道炎」という言葉を一度は聞いたことがある、という人も以前と比べてとても増えたように感じています。

編集部編集部

なぜ逆流性食道炎の患者数は増えているのですか?

石岡 充彬先生石岡先生

ピロリ菌感染率の低下などによって、日本人の胃酸分泌能力は増加傾向にあります(※1)。また、高脂肪食や過食などの食生活の変化や肥満者の増加などにより、胃酸の逆流が増加しています。以前は腰の曲がった高齢者に多い疾患でしたが、現在は長時間のデスクワークによる姿勢の悪化や睡眠不足、ストレスの増加に伴い、若い方でも症状を訴える方が増えています。

1. 日本消化器病学会. 胃食道逆流症(GERD)診療ガイドライン2021. 南江堂

編集部編集部

逆流性食道炎を放っておくと、どうなりますか?

石岡 充彬先生石岡先生

食道の粘膜が長期間にわたって胃酸にさらされると、食道の粘膜が変化を起こし「バレット食道」と呼ばれる状態になります。バレット食道は食道腺がんの発生母地となることが知られていて、注意が必要です。「食道腺がん」は欧米諸国では多いものの、長年日本においては、食道がんですと飲酒や喫煙に伴う「食道扁平上皮がん」が圧倒的に多かったのです。従来「食道腺がん」は稀とされていましたが、近年増加傾向にあることが指摘されています(※2)。日本における食道がんの傾向も欧米化してきていると言えますね。

※2. Koizumi S, et al. Is the incidence of esophageal adenocarcinoma increasing in Japan? Trends from the data of a hospital-based registration system in Akita Prefecture, Japan. J Gastroenterol. 2018;53:827-33.

※この記事はメディカルドックにて【近年増えている「逆流性食道炎」 原因と治療法を消化器内科専門医が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。

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