「白内障」手術後に起こりうる合併症! 治療方法と手術を受ける前に調べておくべきこととは?
白内障手術後、最も多い合併症は後発白内障で、まぶしさや視界のかすみを引き起こしますが、多くはレーザー治療で改善できます。また、まれに起こる眼内炎は急激な視力低下や痛みを伴い、早急な治療が必要です。この記事では、手術後に起こりうる合併症とその治療法、さらに術前に確認しておくべき重要なポイントについて医師の蒲山先生が解説します。不安を軽減し、納得のいく治療を受けるための参考にしてください。
監修医師:
蒲山 順吉(川口眼科)
編集部
術後、しばらく経ってから合併症が起きることもあるのですか?
蒲山先生
はい、最も多いのは後発白内障です。眼内レンズは一度入れたら濁ることはありませんが、レンズを支える袋(水晶体嚢)に濁りが生じて、「まぶしい」「目が霞む」といった症状が出ることもあります。
編集部
術後、どれくらいで起きるのですか?
蒲山先生
手術をして早ければ数か月くらいから生じる方もいますが、5年、10年経ってから起きることも少なくありません。
編集部
その場合はどのようにして治療するのですか?
蒲山先生
後発白内障は、白内障手術を受けた方であれば一定の割合で発生します。しかし多くの場合、ヤグレーザーによるレーザー治療で症状を改善できます。
編集部
そのほかにも、気をつけたい合併症はありますか?
蒲山先生
最も気をつけなければならないのが「眼内炎」です。これは目の中で起きる感染症のことで、多くの場合、術後傷口がふさがるまでの1週間以内に発症します。
編集部
発症すると、どうなるのですか?
蒲山先生
急激に視力が低下し、目に痛みが生じます。治療が遅れると急速に失明してしまうこともありますから、もし、そのような症状が出たら早急に手術を受けた眼科を受診してください。
編集部
眼内炎の原因はなんですか?
蒲山先生
多くの場合、傷口から眼の中に細菌などが入り、眼内で繁殖することで起こります。こうした事態を避けるため、手術後は医師の指示通り、「一定期間は洗顔を避ける」「目をこすらない」などをしっかり守ることが大切です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
蒲山先生
白内障の手術を受けた方で、「術後、期待していた見え方と違う」とおっしゃる患者さんの話を耳にすることがあります。その原因のほとんどは、手術前に医師との適切なコミュニケーションが取れていないためであると私は思います。せっかく手術がうまくいっているのに、理解が不足しているために不満が先行してしまうのは本当に不幸なことです。治療やレンズの選択をすべて医師任せにするのではなく、患者さんご自身が必要な情報を集め、ご自身の意志で選択することがとても重要です。納得いく治療のためにもぜひ、医師と良好な信頼関係を築き、術後に齟齬が生じないようにすることが「成功」につながると思います。
※この記事はMedical DOCにて【「白内障」術後の安静期間と注意点を眼科医解説! 術後の見え方や気をつけたい生活トラブルは?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。