白内障は早いと40代から進行する? 今からできる予防法は?
水晶体が濁って視力が低下するほか、強い眩しさを感じるなどの不快な症状を伴う「白内障」。高齢者に多い印象ですが、生活習慣が原因で発症する40代の方もいらっしゃいます。また、若年層の白内障を予防するにはどうしたらいいのか気になります。白内障の発症頻度や原因、予防法などについて「丸山眼科クリニック」の丸山先生にお話を伺いました。
監修医師:
丸山 登士(丸山眼科クリニック 医師)
東京医科大学医学部卒業。群馬大学眼科学教室入局後、関連病院等で勤務医・眼科医長を務める。2019年より「丸山眼科クリニック」に勤務。円錐角膜、ドライアイが専門分野。医学博士。群馬大学眼科非常勤講師、三栄会ツカザキ病院眼科顧問。日本眼科学会専門医、日本抗加齢医学会認定医。
目次 -INDEX-
白内障とは?
編集部
まず、白内障について教えてください。
丸山先生
白内障は、様々な原因によって水晶体と呼ばれる組織が白く濁ってしまう疾患です。水晶体は目の中でレンズの役割をする無色透明の組織で、近くや遠くを見るときに厚みを変えてピント調整をおこなっています。また、目に入る光を屈曲させる働きもあります。光を屈曲させて網膜に届けることで、見たものを像として認識することができるのです。
編集部
白内障を発症して水晶体が濁ると、どうなるのでしょうか?
丸山先生
視力の低下はもちろんですが、モノがかすんで見えたり二重に見えたりすることがあります。また、目の疲れや強い眩しさを感じることもあります。しかし、発症初期だと、このような症状がみられないケースもあるのです。
編集部
白内障が進行すると、どんな状態になってしまうのでしょうか?
丸山先生
水晶体は一度濁ってしまうと元に戻ることはなく、放置すると徐々に進行していきます。白かった水晶体は黄色く変色し、やがて茶色になっていきます。ここまで放置する人は最近では稀ですが、進行すると手術が難しくなる場合があります。異常に気づいて適切な治療を受けていれば、このような状態になることは少ないでしょう。
白内障の原因と発症年齢
編集部
白内障の原因は何ですか?
丸山先生
白内障は年齢を重ねるごとに発症する確率が高くなるため、最大の原因は加齢とされています。ほかには、外傷(目への外的ダメージ)や紫外線による影響、長期のステロイド治療、アトピー性皮膚炎や糖尿病などの病気がある場合にも発症しやすいと考えられています。
編集部
加齢が主な原因とのことですが、早いと何歳くらいで発症するのでしょうか?
丸山先生
早ければ40代で発症して、自覚症状がないまま進行してしまうこともあります。また、稀ですが母子感染や遺伝、染色体異常などが原因で胎児期に発症する先天性の白内障もあります。
編集部
なぜ、40代でも発症することがあるのですか?
丸山先生
様々な原因がありますが、とくに若年の患者さんの場合は、外傷や紫外線、薬剤による影響が考えられます。例えば、アトピー性皮膚炎で長くステロイド薬による治療を受けていたり、仕事やスポーツの関係で紫外線を浴びる時間が長かったり、また最近ではパソコンやスマホなどの光なども影響して白内障を発症することもあります。
編集部
年齢層別での発症頻度が知りたいです。
丸山先生
50代で40%ほどとされていますが、60代で70%、70〜80代ではほぼ100%と言われています。白内障は加齢によって確実に生じるので、早いうちから発症しないよう対策をするべきだと考えます。
白内障の予防法と治療
編集部
白内障を予防する方法はあるのでしょうか?
丸山先生
紫外線に長時間さらされるのは避けた方がいいので、日差しが強い日はサングラスや帽子の着用を推奨します。また、喫煙や不規則な食生活なども白内障の要因となることがあります。禁煙も視野に入れて、栄養バランスの取れた規則正しい食生活を心がけましょう。自覚症状がなくても、たまたま眼科で検査を受けた際に白内障の兆候が見つかることもあります。そのため、定期的に目の検診を受けることも重要です。総じて、若いうちから白内障にならないよう注意しましょう。
編集部
もし、白内障になってしまった場合、どのような治療をするのですか?
丸山先生
今のところ、白内障を治療するには手術しかありません。進行を遅らせるための点眼薬はありますが、使用したとしてもいずれ進行してしまうため、確実な治療法とは言えないでしょう。ただし、白内障の治療は患者さんの症状やニーズに応じて進めていくのが一般的です。視力の低下によって日常生活に支障が出ている場合や進行してしまった場合には手術を選択します。
編集部
白内障の進行を抑える方法はないのでしょうか?
丸山先生
現状、治療で進行を抑えることは困難です。そのため、見えにくさや眩しさなど、目の異常に気がついたら早めに眼科を受診することが大切です。早期発見が早期治療につながります。
編集部
白内障手術についても聞いておきたいです。
丸山先生
現在の手術は「超音波乳化吸引術」です。目の表面を小さく切開し、濁ってしまった水晶体の中身を細かく砕いて吸引し、取り出して折り畳み式の眼内レンズを挿入します。眼内レンズには、いくつか選択肢があるので、ご自身の状況に合わせて医師と決めていきましょう。
編集部
最後に読者へのメッセージをお願いします。
丸山先生
白内障は歳を取るにつれて高確率で発症する一方で、中には40代という若さで発症してしまう場合もあります。また、発症初期には自覚症状がないこともあります。とくに、長期のステロイド治療を受けている人や紫外線にさらされる機会の多い人、糖尿病がある人は、若いうちに発症する可能性があるため注意してください。定期的に眼科で検診を受けるほか、紫外線を避けたり規則正しい生活を送ったりすることを心がけましょう。
編集部まとめ
白内障は進行性の疾患です。「若いから大丈夫」ということはなく、不規則な生活習慣や紫外線などが原因で発症することもあるとのことでした。規則正しい生活や紫外線を避けるなどの予防法を実践するほか、目の異常に気付いたら早めに眼科を受診しましょう。早期発見・早期治療がカギです。
医院情報
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アクセス | JR「前橋駅」 徒歩7分 |
診療科目 | 眼科 |