胃潰瘍ができやすい年代はご存じですか? できてしまう仕組みや症状とは?
胃潰瘍は40~50代の男性に多く見られる疾患でしたが、近年は中高年の女性にも増えてきているそうです。だからこそ、胃潰瘍を起こす仕組みや症状は知っておくべき。おおつ消化器・呼吸器内科クリニックの大津先生に教えてもらいました。
監修医師:
大津 威一郎(おおつ消化器・呼吸器内科クリニック)
編集部
そもそも胃潰瘍とは、どんな病気なのでしょうか?
大津先生
胃潰瘍とは、胃の粘膜がただれて胃壁が傷ついた状態のことを指します。傷が浅い場合は「びらん」と呼ばれ、深くなると「潰瘍」と呼ばれます。
編集部
もう少し詳しく教えてください。
大津先生
胃の中では、強力な酸性の胃酸や消化酵素が分泌されています。これらは、食物を消化したり口から入ってきた細菌を殺菌したりする役割を担っています。通常、胃の粘膜は粘液に守られているため、胃酸や消化酵素で溶かされることはありません。しかし、何らかの原因で胃酸の量が多くなり過ぎたり粘液が少なくなったりすると、胃の粘膜層が破壊されて、びらんや潰瘍などを引き起こしてしまうのです。
編集部
胃潰瘍になると、どのような症状がみられますか?
大津先生
みぞおちの痛みや酸っぱいものが口や喉までこみ上げる呑酸(どんさん)、げっぷの頻発、吐き気、食欲不振、体重減少などがあります。また、潰瘍から出血が起こっている場合は、吐血や黒色便がみられることもあります。逆に無症状のものも10%程度あり、高齢者では自覚症状がなく、潰瘍が大きくなることがあります。
編集部
どういった年代の人に多く発症するのですか?
大津先生
以前は、40~50代の男性が顕著でしたが、最近では中高年の女性でも多くみられるようになってきました。その理由は、胃の粘膜を守る粘液は、男女関係なく加齢とともに分泌量が減少するからです。そのため、年齢を重ねるにつれて、胃の不調を訴えやすくなる傾向にあります。
※この記事はMedical DOCにて【「ストレスが原因で胃潰瘍に…」は少数派、本当に注意すべき点とは】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。