婦人科形成の手術は抜糸あり・抜糸なしどっちがいいの? メリットやリスクは?
婦人科形成の抜糸する手術としない手術の違いをSOL CLINICの向井先生に解説してもらいました。なお、糸不要の手術の方が、「傷の治りが早い」「術後出血や痛みが少ない」「仕上がりがきれい」そうです。
監修医師:
向井 英子(SOL CLINIC)
編集部
婦人科形成の抜糸する手術としない手術では、何が違うのですか?
向井先生
単に「体に吸収される糸を使っているか、どうか」という違いではなく、縫合する技術にも違いがあります。抜糸が必要な手術では皮膚縫合を行いますが、縫合後を見ると糸が見えている状態になります。一方、抜糸が不要な場合は真皮縫合といって皮膚の中で糸をかけていくような縫合になります。
編集部
縫合には高度な技術が必要なのですか?
向井先生
一般的に抜糸をしない真皮縫合の方が高度な技術を要するとされています。また、縫う時間も異なってくるので、それらの違いが金額の差となってあらわれ、通常は抜糸不要の方が若干手術費は高くなります。
編集部
結局、どちらがいいのですか?
向井先生
メニューによっても異なりますし、医師の考えによっても違います。一般的には抜糸不要の手術の方が、「傷の治りが早い」「術後出血や痛みが少ない」「仕上がりがきれい」というメリットがあるとされています。
編集部
抜糸ありの場合、糸を取るために再度受診しなければならないですよね。
向井先生
はい。抜糸する手術では、1~2週間後に糸を抜く処置を行うので再度来院していただく必要があります。長期間糸を放置すると、糸にゴミや垢などがつくなど衛生面の問題や、体に吸収される糸で皮膚縫合をした場合には糸が埋まってしまうので、抜糸するのに苦労することもあります。場合によっては糸を取りきれず、いつまでも残ってしまいます。
編集部
抜糸しないことでいろいろなリスクもあるのですね。
向井先生
それから「縫合糸痕(ほうごうしこん)」といって、抜糸をしないで放置してしまった場合、皮膚の表面に糸による傷跡が残る可能性もあります。
編集部
そうなると、抜糸が不要な手術の方が良いということになりますか?
向井先生
医師によっては「抜糸が不要な糸を使うと炎症反応が起こり、糸が崩れてくる」という人もいます。そのあたりは医師の考えによるところが大きいのですが、当院では「抜糸なし」も「抜糸あり」も吸収される糸を使用しています。そして、抜糸をする場合には皮膚縫合、抜糸をしない場合には真皮縫合をしています。これにより傷跡が目立ちにくく、また、きれいな仕上がりになります。
編集部
いろいろな考えがあって、一概に抜糸不要が良い、悪いということは言えないのですね。
向井先生
糸の種類だけでなく縫合の仕方でも大きく変わります。抜糸ありなしのどちらがいいかについては、受診するクリニックで確認することをおすすめします。
編集部
最後に、MedicalDOC読者へのメッセージをお願いします。
向井先生
当院の場合、基本的に「抜糸不要」を選択する患者様が大多数です。一般に、抜糸不要の方が抜糸ありよりも若干金額は高めですが、私自身は、抜糸不要には金額差を上回るくらいのメリットがあると考えています。長期的に考えると、抜糸をしない方が痛みの点でも楽ですし、傷跡が残らないということは、手術をしたことすら忘れてしまうくらいの感覚になります。抜糸ありなしで迷っている場合には、担当医に双方のメリットとデメリットを詳しく教えてもらってから選択することをおすすめします。
※この記事はMedical DOCにて【「婦人科形成術」は抜糸しない? 溶ける糸っていつ溶けるの?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。