大腸カメラの下剤は具体的にどのように飲むかご存じですか? 注意点も解説
大腸カメラ(内視鏡検査)を受けるまでの流れ、下剤別の飲み方などを、よりふじ胃腸内科・内科クリニックの依藤先生に教えてもらいました。
監修医師:
依藤 直紀(よりふじ胃腸内科・内科クリニック)
編集部
大腸内視鏡検査を受けるまでの流れを教えてください。
依藤先生
まず、検査前日の夕食は20時までに済ませていただきます。その際、できるだけ消化の良いメニューを摂りましょう。その後、処方された場合には就寝前に下剤を服用してください。検査当日は朝から絶食ですが、水、お茶、スポーツドリンクなどの水分は飲んでも構いません。
編集部
その後に腸管を洗浄するために下剤を飲むのですか?
依藤先生
検査開始の約3時間前から下剤の服用を開始します。モビプレップの場合は、コップ1杯(180ml)を10~15分かけてゆっくりと服用するのが目安です。モビプレップ1リットルと水0.5リットルを飲んだ段階で、便が透明になっていたら洗浄できたという合図です。まだ綺麗になっていない場合は、追加でモビプレップ0.5リットルと水0.25リットルを飲む必要があります。
編集部
ほかの下剤の場合は?
依藤先生
マグコロールPの場合は、1.8リットルを3時間ほどかけて服用していただきます。また、錠剤のビジクリアは、1回あたり5錠ずつ、200mlの水またはお茶と一緒に、15分ごとに計10回(計50錠)飲みます。飲みやすい反面、腸管が綺麗になるのに時間がかかるので、検査開始時間の4~6時間前からの下剤の服用を開始します。
編集部
そんなにたくさん下剤を飲んで、お腹が痛くなることはないのですか?
依藤先生
下剤を飲むと、便を出そうと腸が動く(蠕動)するので、腹痛を伴うこともあります。もし、下剤を服用中に嘔吐や激しい腹痛がみられた場合には服用を中止し、医師にご相談ください。
編集部
その後、病院へ行くのですか?
依藤先生
通常はご自宅で下剤を服用していただきますが、「自宅で服用するのが不安」「洗浄剤を飲んで腹痛が出たことがある」「遠方で移動が大変」というような場合には、医師にご相談ください。医療機関によっては、院内で前処置(下剤を飲んでもらうこと)をおこなうことも可能です。
編集部
院内で前処置ができれば安心です。
依藤先生
一例として、当院ではトイレ付きの完全個室を完備しています。リクライニングチェアに座り、テレビを見ながら、ゆっくり自分のペースで下剤を内服することができる工夫を取り入れています。患者さんにとって、少しでも過ごしやすい環境作りをしている医療機関を探すと、安心して検査を受けられるでしょう。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
依藤先生
「排便時に血が混じる人」「検診で便潜血陽性を指摘された」「便秘や下痢、便が細い人」「大腸ポリープを切除したことがある人」「大腸がんのご家族がいる人」「大腸がんの手術を受けたことがある人」は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を強くおすすめします。大腸がんは早期の場合、症状を伴わないことも多いため、早めの検査が重要です。一昔前と比べて、下剤の種類も増え、味も飲みやすくなっています。また、内視鏡(スコープ)自体も細くなり、体の負担も減らした検査が可能となっています。寝ている間の検査も可能なので、検査を検討している人はぜひ一度医療機関に相談してみてください。
※この記事はMedical DOCにて【大腸内視鏡検査の下剤の種類と飲み方を医師が解説 下剤の違いで大腸カメラの辛さや効果も異なる?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。