「前立腺がん」と診断されても治療をしない場合もある? 「監視療法」について解説【医師監修】
あなたが「がんです」と診断されたら、おそらくすぐに治療を開始したいと思うでしょう。しかし、「前立腺がん」は診断されてもすぐに治療を開始せず、経過観察になる場合もあることをご存知でしょうか。経過観察していて悪化することはないのでしょうか。佐々木クリニック泌尿器科 芝大門の佐々木先生に詳しく伺いました。
※この記事はMedical DOCにて【前立腺がん検査のPSAを医師が解説 数値の見方や費用は? 検査はどこで受ける?】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
佐々木 裕(佐々木クリニック泌尿器科 芝大門)
編集部
PSAの値が高いと言われた場合、その後どうすれば良いのでしょうか?
佐々木先生
まずは泌尿器科を受診してください。そこで必要な診察や検査を行います。
編集部
どんな検査をするのですか?
佐々木先生
それぞれのケースによりますが、血液検査を再度行ったり、「直腸診」といって前立腺の触診をしたり、超音波検査やMRI検査を行ったりします。また、最近では「phi(プロステートヘルスインデックス)」といった新しいマーカー検査があり、必要に応じてこの採血検査を行うことがあります。最終的にこれらの結果を総合的に判断して、確定診断のための前立腺生検検査を行うかの判断をします。前立腺生検検査とは、麻酔下で前立腺に針を刺し、組織を採取する検査です。また、MRI検査で異常部位が認められた場合は、その部位の組織を採取する「標的生検」を行う場合があります。
編集部
では、「前立腺がん」と診断されたら、どんな治療をするのですか?
佐々木先生
前立腺がんの主な治療法としては、監視療法、手術療法、放射線治療、ホルモン療法、化学療法などがあります。がんの進行度や転移の有無などを踏まえて、患者さん本人と話し合いながら治療を決めていきます。
編集部
監視療法とは?
佐々木先生
積極的治療をすぐには行わず、3カ月ごとに直腸診とPSA検査を行い、また必要に応じてMRI検査や前立腺生検を行いながら、進行がみられた時点で必要な治療介入をするという方法です。「積極的治療をしなくても大丈夫なのですか?」と聞かれることもありますが、この治療選択肢は、何もしないといった意味とは違います。適切にフォローして、治療が必要と判断する状況になったら、根治治療を行うといったものです。ただ、経過を見ているだけではないのです。ただし、PSA監視療法は、前立腺がん治療によく精通している先生方にみていただくことをおすすめします。