「加齢黄斑変性」が起きる三大要因はご存じですか? 喫煙者はとくになりやすい
加齢黄斑変性は視界がゆがんで見えたり、視界の中心に黒い膜のようなものが出たりする病気です。滲出型と萎縮型の2つのタイプが存在しているそうです。三枝眼科医院の三枝先生に解説してもらいました。
※この記事はMedical DOCにて【「加齢黄斑変性」は放置すると失明も!? 要注意の見え方を眼科医が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
三枝 佳五(三枝眼科医院)
編集部
今回は、加齢黄斑変性について伺わせてください。まず、どんな目の病気なのでしょう?
三枝先生
簡単に説明すると、まっすぐのものが“ゆがんで”見えたり、視界の中心に黒い膜のようなものが出たりする病気です。網膜の中心には「黄斑」という部分があり、ヒトは多くの情報を黄斑で見ています。加齢黄斑変性は、この黄斑が弱くなる病気ですね。なお、片目で発症しても、逆の目で視野を補うので、気づきにくいです。
編集部
老眼と違って、ピントの問題ではないわけですか?
三枝先生
違います。あくまで視界のゆがみや黒い膜が主な症状です。しかし、「加齢」という字がつくだけあって、老眼を併発しているケースも多々あります。このあたりの見分けは難しいので、あまり症状にこだわらず、片目ずつセルフチェックして「見えの異常」が感じられたら眼科を受診してください。
編集部
そもそもの変性は、どうして起きるのでしょうか?
三枝先生
「加齢・喫煙・遺伝」が三大要因とされています。とくに喫煙者は「なりやすい人」と言えるでしょう。これらのファクターによって黄斑がダメージを受けると、大きく2つの変化が生じます。1つは、黄斑の老廃物を吸収しようとして「新しい血管が生えてくるケース」です。この新生血管からにじみ出た水分によって黄斑が盛り上がると、視界をゆがめます。このタイプを「滲出型」と呼びます。
編集部
続けて、もう1つのタイプについてもお願いします。
三枝先生
黄斑がダメージを受けるところまでは一緒ですが、新生血管は生えず、栄養不足で萎縮する場合もあります。こちらは「萎縮型」と呼んでいて、視神経が麻痺しているような状態ですね。割合としては「滲出型」がほとんどで、急速に進行していきます。他方、少数派の「萎縮型」の進行は緩やかなのですが、治す有効な手だてがありません。