【医師解説】大腸がん予防のために赤身肉・加工肉は避けるべき? がん予防のための食事方法について
「肉食が大腸がんの発症リスクを高める」というニュースや情報をよく聞きますが、好きな食べ物を我慢するのはいやだと感じる人もいますよね。大腸がんを予防するために、赤身肉やソーセージのような加工肉を食べてはいけないのでしょうか? 正しいがんの予防法や、食生活での工夫の仕方について、浜野胃腸科外科副院長の浜野先生に話を聞きました。
監修医師:
浜野 徹也(浜野胃腸科外科医院)
編集部
牛肉や豚肉、加工肉が大好きでやめられないという人は、どういうことに気をつけたら良いでしょうか?
浜野先生
2007年に改訂された「世界がん研究基金(WCRF)」と「米国がん研究協会(AICR)」による報告書では、赤肉の摂取量は週に500g未満にすることを推奨しています。毎日、牛肉や豚肉をたくさん食べているという人は、自分が食べている量を見直し、これを下回る摂取量に減らすことを検討すると良いでしょう。なかには、硝酸塩や亜硝酸塩を含まない無添加の加工肉も販売されていますから、そういったものを選ぶのも良いのではないでしょうか。
編集部
肉は鶏肉に変えた方が良いのですか?
浜野先生
鶏肉は高タンパク低脂肪でとても優秀な食材です。ただ牛肉や豚肉、羊肉などの赤肉には鉄分やビタミン類などが豊富に含まれています。「赤肉を食べすぎない」ように気をつけつつ、バランスよく取るのが良いのではないかと思います。
編集部
ほかに、食習慣で気をつけることはありますか?
浜野先生
大腸がんを予防するために大切なことは、常に腸内環境をよくしておくことです。そのためには食物繊維をたくさん摂るようにしましょう。例えば、野菜や果物、海藻類、きのこ類などを積極的に摂るといいでしょう。また禁煙をする、過度な飲酒を避ける、運動習慣を身につけることも大切です。生活習慣に気をつけることで、大腸がんは十分予防できる病気です。ぜひご自分のライフスタイルを見直してみましょう。
編集部
最後に、MedicalDOC読者へのメッセージがあれば。
浜野先生
確かに「食の欧米化」が大腸がんのリスクを増加させていると言われています。しかし、アメリカで大腸がんの患者さんが増えているのかというと、実際は罹患率も死亡率も減少しています。なぜならアメリカでは、がん検診の受診率が非常に高いからです。つまり、牛肉や豚肉、加工肉を食べていても、きちんと検診を受けているので、早期に発見することができているのです。反対に、牛肉や豚肉、加工肉を控えたとしても、検診を受けなければがんを見逃してしまいます。検診を受け、自分の健康状態を確認することは、健康を長く維持するためにとても大切なこと。最低でも40歳になったら、できれば35歳くらいから、毎年1回人間ドックを受けることを習慣化しましょう。
編集部まとめ
大腸がんを予防するには、「牛肉や豚肉、加工肉を食べなければがんにならない」と安易に考えるのではなく、「食べる量を適切にする」と同時に、検診を受けて定期的に健康状態をチェックすることが大切。ぜひ、家族や夫婦で誘い合って、検診を受けることを習慣化してみましょう。