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「心不全を発症しやすい人」の特徴はご存知ですか?予防法も医師が解説!

 公開日:2024/11/06

心不全で亡くなる時、どんな症状が現れる?Medical DOC監修医が心不全で亡くなる時に現れる症状・原因・心不全を発症しやすい人の特徴・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

※この記事はMedical DOCにて『「心不全で亡くなる時」に現れる症状はご存知ですか?予防法も医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

佐藤 浩樹

監修医師
佐藤 浩樹(医師)

プロフィールをもっと見る
北海道大学医学部卒業。北海道大学大学院医学研究科(循環病態内科学)卒業。循環器専門医・総合内科専門医として各地の総合病院にて臨床経験を積み、現在は大学で臨床医学を教えている。大学では保健センター長を兼務。医学博士。日本内科学会総合専門医、日本循環器学会専門医、産業医、労働衛生コンサルタントの資格を有する。

「心不全」とは?

心不全とは心臓の機能が悪いために息切れやむくみが起こり、だんだん悪くなって、生命を縮める病気です。症状がよくなっても完全に治ったわけではなく、悪化や改善をくりかえしながら、徐々に進行する病気です。軽症の心不全は、動いた時に息切れや全身倦怠感などの症状が現れることはありますが、安静により日常生活に大きな影響を与えることが少ない状態です。中等症の心不全は、息切れや全身倦怠感などの症状が顕著に現れ、日常活動に影響を与えることが多い状態です。重症の心不全は、心臓の機能が著しく低下しているため、息切れや全身倦怠感などの症状で苦しみ自発的な行動がほぼできない状態です。多くの場合、薬物療法に加えて機械的補助装置が必要になることが多く、最終的には心臓移植などが検討されます。

心不全を発症しやすい人の特徴

冠動脈疾患、心筋症、弁膜症などの心臓疾患が既往にある方は要注意です。高血圧や糖尿病などの生活習慣病、喫煙、肥満、運動不足などの不健康な日常生活もリスク要因となります。その他、加齢や遺伝的要因も関わることがあります。

不摂生な生活

健康的な生活習慣を維持している人は心不全になりにくいです。バランスの取れた食事、定期的な運動、適切な体重維持、禁煙、適度なアルコール摂取が基本です。また、生活習慣病因子である、血圧や血糖、脂質のコントロールに留意することも重要です。定期的な健康診断を利用することも効果的です。

男性

性差で心不全発症に違いがあります。男性が女性よりも心不全発症年齢が若いです。また、男性は女性よりも冠動脈疾患による心不全が多いとされています。一方、女性は男性よりも高血圧による心不全が多いことが知られています。理由として、男女間でのホルモン、体格、喫煙率、高血圧や脂質異常症などの罹患率などの違いとされています。また、女性は男性よりも心筋梗塞後の心筋回復が早いなども関わっているとされています。日常生活を送るうえでの参考としてください。

肥満

肥満は心不全発症のリスクです。体格指数(kg で表示した体重を m で表示した身長の 2 乗で除した値)は18.5~24.9が正常範囲です。この値が1 増すごとに、男性では 5%、女性では 7%、心不全のリスクが増加します。理由として、肥満になると高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病のリスクを高めること、睡眠時無呼吸症候群を起こしやすいことなどがかかわっているとされています。適正体重維持に心がけましょう。

心不全の予防法

基本は健康な生活習慣の維持です。バランスの取れた食事や定期的な運動を実践し肥満を避けることです。喫煙を避け、適度なアルコール摂取に心がけることも実践しましょう。健康診断を利用して、血圧や血糖、脂質をチェックして正常範囲内に維持することも予防に役立ちます。

食事療法

食事療法として最も重要なのは塩分制限です。過剰な塩分は循環する血液量を増やし心臓の負担が増加するからです。塩分摂取量は6~8g/日程度に控えるよう心掛けましょう。

定期的な運動

有酸素運動や筋力トレーニングを継続することで心臓と血管の健康を維持し、心不全のリスクを減少させます。また、禁煙や適度なアルコール摂取、ストレス管理も重要です。十分な睡眠を確保し、リラックスする時間を持つことも心臓の健康に良い影響を与えます。

オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸の摂取が有効です。オメガ3脂肪酸を豊富に含む食品は、くるみや青魚(サバ、イワシ、マグロなど)があります。EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などが代表的な物質です。オメガ3脂肪酸は抗炎症効果、血管内皮機能改善などの多面的な作用により心筋が変性することを抑え、心筋機能が改善することが報告されています。心臓を保護する作用があり心不全の予防となります。

ストレス管理

ストレス管理も重要です。ストレスは交感神経を活性化させ、血圧や心拍数を上げるため心臓の負担を増加させます。自分なりのリラックス法を見つけましょう。深呼吸、瞑想、ヨガなどのリラクゼーション法があります。

血圧管理

血圧管理を徹底しましょう。高血圧が長期間続くと心臓に負担がかかり心不全になりやすくなるからです。家庭での血圧を測定してチェックしましょう。診察室血圧でしたら140/90 mmHg未満、家庭血圧でしたら135/85 mmHg未満が目標値です。生活習慣を改善しても目標血圧に達しない場合は薬物療法を検討しましょう。

「心不全で亡くなる時」についてよくある質問

ここまで心不全で亡くなる時について紹介しました。ここでは「心不全で亡くなる時」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

心不全で亡くなる時、呼吸や息苦しさのような症状はありますか?

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

高い確率でみられます。心臓のポンプ機能が低下し十分な酸素を体に送れなくなるためです。重症化すると、症状悪化により苦しむことになります。最終的に、徐々に呼吸が弱まり、呼吸停止に至ることがあります。

心不全の余命・生存率について教えてください。

佐藤 浩樹佐藤 浩樹 医師

症状の重症度や年齢、治療法などによって大きく異なります。しかし、一般的には軽症の場合は適切な治療により長期間生存可能とされています。そして、中等症の場合は5年生存率約50%、重症の場合は5年生存率約20%と言われています。

編集部まとめ

心不全は、症状がよくなっても完全に治ったわけではなく、悪化や改善をくりかえしながら徐々に進行し死に至る病気です。心不全で亡くなる時は、様々な症状が出現し苦しみ、緩和ケアが必要な場合もあります。従って、心不全にならないための予防が重要です。食事、運動、嗜好、ストレスに注意して健康的な日常生活を送りましょう。高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病にすでに罹患している場合もあるかと思われます。その際は、良好なコントロールを目標に医療機関を受診し適切な指導を受けることをお勧めします。

「心不全で亡くなる時」と関連する病気

「心不全で亡くなる時」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

心不全の原因となる病気には、このようなものがあります。息苦しさや胸痛、動悸などの症状がある場合には、医療機関を受診しましょう。

「心不全で亡くなる時」と関連する症状

「心不全で亡くなる時」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 呼吸困難
  • 浮腫
  • 食欲不振
  • 全身倦怠感

心不全は予防が大切な疾患です。健康的な生活習慣および生活習慣病をしっかり管理することが大切です。

この記事の監修医師