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「高血圧」で気を付けたい”6つの病気”はご存じですか?医師が解説!

 公開日:2026/05/08
「高血圧」で気を付けたい”6つの病気”はご存じですか?医師が解説!

高血圧で気をつけたい病気はどのようなものでしょうか。メディカルドック監修医が高血圧により引き起こす可能性がある病気について解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「血圧を下げる薬」にはどんな『種類』があるかご存じですか?服用の注意点も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

高血圧と薬物療法・降圧剤

まずは、高血圧とは何なのか、そしてどのような状況になると降圧剤による薬物療法が必要になるかを見ていきましょう。

高血圧とは?

高血圧とは、血圧(心臓から送り出された血液が動脈の壁を押す圧力)が、基準値よりも慢性的に高い状態を指します。
高血圧と診断される基準値は、診察室での血圧(診察室血圧)と家庭での血圧(家庭血圧)で少し異なります。

 

 

高血圧と診断される基準値
診察室血圧 140/90mmHg以上
家庭血圧 135/85mmHg以上

診察室血圧は、受診したときの血圧しか分からないため、近年は「家庭血圧」が重視されています。ご自身の正確な血圧の状態を知るためにも、家庭で血圧を測る習慣をつけることが大切です。

高血圧で投薬・降圧薬による治療が必要になるケースとは?

高血圧で薬による治療が必要になるのは、以下のケースです。
・診察室血圧が180/110mmHg以上など、非常に高く頭痛などの自覚症状を伴う場合(ただし、白衣高血圧が疑われる場合には自宅での血圧を確認が必要)
・診察室血圧が140/90mmHg以上で、脳や心臓の病気になるリスクが高い(すぐに投薬治療が必要)
・生活習慣の改善で十分に血圧が下がらなかった
血圧の数値以外に「脳心血管疾患のリスク」として考慮される要因を、いくつか紹介します。

血圧以外に脳心血管病になるリスクを高める因子 臓器障害や脳心血管病の既往歴
・高齢(65歳以上)
・性別(男性)
・喫煙
・脂質異常症
・糖尿病
・脳出血
・脳梗塞
・心筋梗塞
・心房細動
・腎臓病

これらのリスクを多く持つ方は、将来脳卒中などを起こす危険性が高い「高リスク」と判断され、血圧が基準値を超えたら早めに積極的な治療を開始します。逆に、血圧が基準値を超えたばかりで他にリスク要因がないまたは少ない方は、すぐに薬は使わず生活習慣の改善(減塩、運動など)に取り組んでから薬の必要性を検討します。
このように、治療方針は一人ひとりのリスク評価によって異なります。
ご自身の正確なリスクを知り適切な治療を受けるために、受診時は持病の有無や生活習慣などを正しく医師へ伝えましょう。

「高血圧」で気をつけたい病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「高血圧」により引き起こす可能性がある病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

高血圧

高血圧は、血圧が基準値よりも慢性的に高い状態が続く病気です。家庭での血圧が135/85mmHg以上、医療機関(診察室)での血圧が140/90mmHg以上の場合、高血圧と診断されます。血圧が高いと全身の血管が徐々にダメージを受け、動脈硬化や脳や心臓の病気になるリスクが高まります。ホルモン分泌をはじめとする特定の病気や薬の副作用によって血圧が上がる場合もありますが、日本人の高血圧の多くは以下に挙げる複数の要因が関わって発症します。
・塩分の過剰摂取
・肥満
・飲酒
・運動不足
・遺伝的要因
・ストレス
生活習慣の見直しで血圧が下がらない、脳や心臓の病気になるリスクが高いなどの場合は血圧を下げる薬(降圧薬)による治療をおこないます。家庭での血圧が高い、健康診断で異常を指摘されたなどの場合はかかりつけの内科や循環器内科を受診しましょう。

動脈硬化

動脈硬化とは、血管が硬く・もろくなり、弾力性を失った状態です。慢性的な高血圧によって血管の壁が傷つくと、そこにコレステロールなどが沈着して「プラーク」と呼ばれる塊ができます。これが進行することで、血管が硬く、狭くなるのです。また、高血圧以外に加齢や喫煙、脂質異常症、糖尿病なども動脈硬化のリスク因子です。
動脈硬化自身には、自覚症状がほとんどありません。しかし、放置して心臓や脳の血管が詰まると狭心症や心筋梗塞、脳梗塞、脳出血などの脳や心臓の重大な病気、手足の血管が詰まると手足の冷えや痛みにつながります。
硬くなった動脈を元の状態に戻すのは困難です。そのため、動脈硬化の原因となる高血圧や脂質異常症などの治療、生活習慣の改善などをおこないます。改善せずに心臓や脳への悪影響が出る場合は、手術によってプラークを取り除いたり新しい血液の通り道を作ったりするケースもあります。
高血圧や脂質異常症などを指摘されたら必ず内科を受診し、適切なコントロールをおこないましょう。動脈硬化のリスクが高い場合は、循環器内科を紹介されることもあります。

脳梗塞

脳梗塞とは、脳の血管が詰まって血液が流れなくなり、その先の脳組織が壊死(えし)する病気です。原因ごとに、高血圧による動脈硬化やプラークによって脳の血管が詰まる、脈の乱れや心臓病によって心臓にできた血の塊(血栓)が脳に飛んで詰まるなどのパターンがあります。脳梗塞になると、以下のような症状があらわれます。
・顔の片側がゆがんだりしびれたりする
・片側の手足に力が入らない
・言葉が出なかったり、人の言うことが理解できなかったりする
脳梗塞は、発症から数時間以内なら血栓を溶かしたり取り除いたりする治療が可能です。気になる症状があれば、すぐに救急車を呼び脳神経外科を受診しましょう。

くも膜下出血

くも膜下出血は、脳の表面を走る動脈にできた「脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)」というこぶが高血圧をはじめとする負荷により破裂し、脳を覆う「くも膜」の下に出血が広がる病気です。
発症すると、今まで感じたことのないような激しい頭痛を突然感じ、意識を失うこともあります。
くも膜下出血と分かったら、まずは脳動脈瘤がまた破裂するのを防ぐために、動脈瘤にクリップをかける、プラチナ製のコイルで充填するなどの手術を行います。手術後も脳梗塞や脳血管の縮みが起こる可能性があるため、集中治療室での厳密な管理が必要です。
突然の激しい頭痛があらわれた場合は救急車を呼び、すぐに専門の治療ができる脳神経外科を受診しましょう。

心筋梗塞

心筋梗塞は、心臓の筋肉(心筋)に血液を送る「冠動脈」が詰まって血流が止まり、酸素や栄養が不足した結果心臓の筋肉が壊死する病気です。心筋梗塞の代表的な症状は、以下のとおりです。
・突然の締め付けられるような胸の痛み
・激しい脈の乱れ
・息苦しさ
・吐き気・冷や汗
似たような胸の痛みが出る病気「狭心症(安定狭心症)」との違いは、安静にしていても痛みが続き、症状が30分以上持続する点です。医療機関では、カテーテルという細い管を使って詰まった部分を風船で膨らませる、別の部分の血管を使って詰まった血管の代わりを作るなどの手術をおこないます。
どちらの治療も、できるだけ早く始める必要があります。気になる症状があらわれたらすぐに救急車を呼び、専門的な治療ができる医療機関を受診しましょう。

腎不全

腎不全は、血液をろ過する腎臓の機能が低下し、体内の老廃物を尿として排泄できなくなる状態です。腎不全はさまざまな病気が原因となる事がありますが、近年多いものは高血圧を含めた生活習慣病に伴う慢性腎不全です。
高血圧が長期間続くと、血液をろ過する腎臓の細い血管にも動脈硬化が起こります。その結果徐々に腎臓の血流が悪くなって機能が低下するのが高血圧による慢性腎不全です。
慢性的に低下した腎機能を回復させることは難しいため、血圧をコントロールして進行を予防することが非常に大切です。腎臓の機能が失われた場合は、血液中の老廃物を取り除く「透析」が必要になります。
腎不全は症状が出ないケースが多く、尿が出ない、むくんでいるなどの症状が出たときにはかなり進んでいるケースも少なくありません。健康診断で腎臓の検査値の異常を指摘された場合は早めに内科を受診し、尿に関する異常が出ている場合はすぐに内科や専門の腎臓内科を受診しましょう。

「血圧を下げる薬」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血圧を下げる薬」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

血圧が高い人はどのくらいの数値から薬を飲むべきですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

どのくらいの血圧から薬が必要になるかは、「現在の血圧」と「その方が持つ心臓・脳の病気に関わるリスク」によって異なり、個人差があります。
たとえば血圧が140/90mmHgの基準値を少し超えた場合、その方に脂質異常症や喫煙習慣、脳や心臓の持病がなければまずは生活習慣の改善で様子を見ます。ただし、同じ140/90mmHgを少し超えた場合でも、脳や心臓の持病、糖尿病、たんぱく尿をともなう慢性腎臓病などのある方は、すぐに血圧の薬を開始することもあります。
なぜなら、高血圧の治療目的は単に「血圧を下げること」ではなく、「持続的な高血圧によって起こる脳や心臓のリスクを下げること」「高血圧の方がより健康で快適に暮らせるようにすること」だからです。そのため、リスクが脳や心臓の病気になるリスクが高い方ほど、薬物治療によるしっかりとした血圧コントロールが早くから必要になります。気になることは主治医に確認し、疑問点を解消して治療にのぞみましょう。

高血圧に効く代表的な薬はなんでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

高血圧に効く代表的な薬は、以下の5種類です。
・カルシウム拮抗薬
・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
・アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)
・β遮断薬
・利尿薬
これらの薬はそれぞれ異なる方法で血圧を下げ、場合によっては組み合わせることもあります。現在の日本で治療のベースによく使われるのは、カルシウム拮抗薬とARBです。どちらも血圧を下げる効果が安定しており、臓器を保護する効果も期待できます。ただし、使う薬の種類や量は、血圧の状態や持病の有無などによって異なります。どの薬が一番効くかは人によって異なるため、医師の処方した種類と量を守って服用しましょう。

自分に合う血圧の降圧剤は何科の病院で相談できますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

降圧薬については、内科で相談できます。心不全や狭心症などの病気もある場合は循環器内科、腎機能の低下がある場合は腎臓内科が専門ですが、「内科」であれば基本的な高血圧の治療は問題なくおこなえます。血圧の治療は、長く続けることが基本です。「健康診断で血圧の異常を指摘された」「過去に血圧の薬を飲んでいたが、やめてしまい最近血圧が上がっている」などの方は、ご自分が相談しやすい内科をぜひ探してみてください。

高めの血圧を下げる薬で注意すべき副作用はありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

高血圧の薬にも副作用はあり、とくに注意すべき内容は薬の種類によって異なります。代表的な副作用を、いくつか紹介します。
・めまい・ふらつき:薬を飲み始めて体が慣れるまでや、血圧が下がりすぎたときに起こりやすい
・むくみ・ほてり:カルシウム拮抗薬によって血管が広がると起こる場合がある
・空咳:息苦しさのない乾いた咳で、ACE阻害薬で起こる場合がある
・徐脈:β遮断薬によって脈がゆっくりになりすぎると起こる場合がある
・唇の腫れ:ARBやACE阻害薬によってまれに起こる
気になる症状が出た際は、早めに主治医へ相談しましょう。

まとめ 血圧を下げる薬はしっかりと続けることが大切!

高血圧の薬(降圧薬)には多くの種類があり、それぞれ異なる方法で血圧を下げてくれます。どの薬が合うかは個人差があり、医師が血圧の数値や持病などから判断して処方しています。
高血圧治療は「ただ数値を下げること」ではなく、高血圧によって起こる脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などの重い病気を防ぐことや体調を良くすることが目的です。自覚症状がなくてもしっかりと治療を続け、ご自身の健康を守っていきましょう。

「血圧」の異常で考えられる病気

「血圧」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

脳神経系の病気

高血圧を放置すると動脈硬化が進み、脳や心臓、腎臓などの重大な病気が起こるリスクが上昇します。医師の指示に従い、適切な治療をおこないましょう。

「血圧」の異常で考えられる症状

「血圧」から医師が考えられる症状は6個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 頭が痛い
  • ふらつき
  • 動悸
  • 息苦しさ
  • 胸の痛み

血圧が高いと頭痛やめまい、ふらつきなどが起こる可能性があります。また、高血圧によって脳出血やくも膜下出血が起こった際はひどい頭痛、心筋梗塞が起きた場合は息苦しさや胸の痛みにおそわれます。気になる症状がある場合は、すぐに受診しましょう。

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