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「血圧を下げる薬」の”5つの種類と特徴”はご存じですか?副作用も医師が解説!

 公開日:2026/05/07
「血圧を下げる薬」の”5つの種類と特徴”はご存じですか?副作用も医師が解説!

高血圧の薬にはどんな種類があるかご存じですか?メディカルドック監修医が種類・効果・薬を使用する際の注意点などを解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「血圧を下げる薬」にはどんな『種類』があるかご存じですか?服用の注意点も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

高血圧と薬物療法・降圧剤

まずは、高血圧とは何なのか、そしてどのような状況になると降圧剤による薬物療法が必要になるかを見ていきましょう。

高血圧とは?

高血圧とは、血圧(心臓から送り出された血液が動脈の壁を押す圧力)が、基準値よりも慢性的に高い状態を指します。
高血圧と診断される基準値は、診察室での血圧(診察室血圧)と家庭での血圧(家庭血圧)で少し異なります。

 

 

高血圧と診断される基準値
診察室血圧 140/90mmHg以上
家庭血圧 135/85mmHg以上

診察室血圧は、受診したときの血圧しか分からないため、近年は「家庭血圧」が重視されています。ご自身の正確な血圧の状態を知るためにも、家庭で血圧を測る習慣をつけることが大切です。

高血圧で投薬・降圧薬による治療が必要になるケースとは?

高血圧で薬による治療が必要になるのは、以下のケースです。
・診察室血圧が180/110mmHg以上など、非常に高く頭痛などの自覚症状を伴う場合(ただし、白衣高血圧が疑われる場合には自宅での血圧を確認が必要)
・診察室血圧が140/90mmHg以上で、脳や心臓の病気になるリスクが高い(すぐに投薬治療が必要)
・生活習慣の改善で十分に血圧が下がらなかった
血圧の数値以外に「脳心血管疾患のリスク」として考慮される要因を、いくつか紹介します。

血圧以外に脳心血管病になるリスクを高める因子 臓器障害や脳心血管病の既往歴
・高齢(65歳以上)
・性別(男性)
・喫煙
・脂質異常症
・糖尿病
・脳出血
・脳梗塞
・心筋梗塞
・心房細動
・腎臓病

これらのリスクを多く持つ方は、将来脳卒中などを起こす危険性が高い「高リスク」と判断され、血圧が基準値を超えたら早めに積極的な治療を開始します。逆に、血圧が基準値を超えたばかりで他にリスク要因がないまたは少ない方は、すぐに薬は使わず生活習慣の改善(減塩、運動など)に取り組んでから薬の必要性を検討します。
このように、治療方針は一人ひとりのリスク評価によって異なります。
ご自身の正確なリスクを知り適切な治療を受けるために、受診時は持病の有無や生活習慣などを正しく医師へ伝えましょう。

血圧を下げる薬の種類

血圧を下げる「降圧薬」は、血圧を下げる仕組みによってさまざまな種類があります。ここからは、代表的な5種類の降圧薬について解説します。

カルシウム拮抗薬

カルシウム拮抗薬は、血管の収縮に関わる「カルシウムイオン」の通り道を妨げて、血管を拡張させることで血圧を下げる薬です。即効性があり、緊急時に使用することも多いです。代表的な成分に、「アムロジピン」「ニフェジピン」などがあります。
動脈硬化の進行を防ぐ効果、心臓を守る効果をもつ薬もあり、非常によく使われている種類です。ただし、血管を広げることにより、以下の副作用が起こることがあります。
・めまい・ふらつき
・顔のほてり
・頭痛
・むくみ
・動悸
・歯肉肥厚(歯茎が腫れる)
・便秘
副作用が気になる場合、薬の量を調整したり他の薬に変更したりすることもあります。受診時に医師へ相談しましょう。また、グレープフルーツジュースといっしょに飲むと、薬の効果が強くなりすぎてめまい・ふらつきが出やすくなります。薬の服用中はグレープフルーツジュースは控えるようにしましょう。

アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)

アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)は、血圧を上げる「アンジオテンシンⅡ」というホルモンが血管の受容体(受け皿)に結合するのを妨げて、血圧を下げる薬です。腎臓や心臓を守る作用もあり、カルシウム拮抗薬と並んで非常によく使われる種類です。代表的な薬には、「オルメサルタン」「カンデサルタン」などがあります。
代表的な副作用は、以下のとおりです。
・めまい・ふらつき
・高カリウム血症
・血管浮腫(まぶたや唇が腫れる)
なお、胎児に異常が見られたという報告があるため、妊娠中の方がARBを服用することはできません。ARBは比較的副作用の少ない降圧薬ですが、飲んでいて気になる症状が出た場合は医師へ相談しましょう。

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)

アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)は、血圧を上げるホルモン「アンジオテンシンⅡ」を作る「ACE」という酵素のはたらきを阻害し、血圧を下げる薬です。腎臓や心臓を守ったり、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクを下げたりする効果もあります。
先ほど説明したARBとこのACE阻害薬は、どちらもアンジオテンシンⅡを抑える薬ですが、はたらく場所が少し異なります。ARBはアンジオテンシンⅡがはたらく場所(受容体)をブロックし、ACE阻害薬はアンジオテンシンⅡ自体が作られるのを防ぎます。ACE阻害薬のおもな副作用は、以下のとおりです。
・空咳(からぜき)
・高カリウム血症
・血管浮腫(まぶたや唇が腫れる)
ACE阻害薬に特徴的な副作用は、息苦しさや痰はないのに乾いた咳が出る「空咳」です。これは、アンジオテンシンⅡが作られるのを阻害する際に、咳を起こす「ブラジキニン」という物質が体内で増えてしまうために起こります。空咳は薬の開始から1週間~数ヶ月以内に起こるケースが多く、中止すれば通常1週間以内に治まります。
咳が続く場合は、主治医に相談しましょう。また、ACE阻害薬もARBと同様に妊娠中の女性は服用できません。

β(ベータ)遮断薬

β(ベータ)遮断薬は、体を興奮させる交感神経が心臓に作用する「β受容体」という部分をブロックする薬です。薬によってβ受容体のはたらきが抑えられると心臓の拍動がゆっくりになり、1回の心拍で送り出される血液量が少なくなります。その結果、血管にかかる圧力が下がり、血圧が下がるのです。
β遮断薬の特徴は、心臓を休ませる作用が強いことです。そのため、心不全、狭心症、心筋梗塞の治療後など、心臓に負担がかかっている状態の方によく使われます。また、交感神経が強くはたらいている若い方の高血圧や頻脈傾向がある方などにも有効です。β遮断薬のおもな副作用は、以下のとおりです。
・徐脈(脈が遅くなりすぎる)
・めまい
・むくみ
・倦怠感、だるさ
・息苦しさ
β遮断薬のなかには、気管支にも作用し、気管支を狭めて呼吸症状が出る可能性があるタイプもあります。そのため、気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患:有害物質(おもにタバコの煙)を長年吸い込むことにより肺のはたらきが悪くなる病気)がある方は、気管支への影響が少ないタイプが処方されます。

利尿薬

利尿薬は、腎臓に作用して体内の余分な塩分(ナトリウム)と水分を尿として排泄させる薬です。体内の水分量が減ると、血管を流れる血液の量も減少して、血管にかかる圧力(血圧)も下がります。
体内の水分と塩分の両方を減らせるため、心臓の機能が落ちている方やむくみの強い方、減塩が難しい方、腎機能が低下している方にもよく使われます。利尿薬の代表的な副作用は、以下のとおりです。
・体内のミネラルバランスの崩れ(低ナトリウム血症・低カリウム血症・高カリウム血症など)
・めまい・ふらつき
・腎機能障害
・血糖値や尿酸値の悪化
異常が出ていないかは定期的な血液検査で確認しますが、ふらつきや手のしびれなどがあらわれた場合は早めに医師へ相談しましょう。
なお、副作用ではありませんが、薬を飲んだあとは尿量が増えるため、トイレが近くなります。外出時はトイレの場所を事前に確認しておくと安心です。
なお、トイレに起きる回数が増えると夜の睡眠に影響するため、朝に服用するのが一般的です。

高血圧の薬を服用するにあたっての注意点

高血圧の薬は、長く飲むケースが一般的です。ここで紹介する注意点を知っておくことで、よりしっかりとした効果を安全に得られるようになります。ぜひ覚えておいてください。

医師の指示を守って薬を服用する

高血圧の薬は、血圧の数値や年齢、持病、体質などに合わせて、種類や量、いつ飲むか等を調整して処方しています。そのため、「最近調子が良いから」と薬の量を減らしたり、服用を中止したりすることは絶対にしないでください。
自己判断で薬を中断すると、それまで抑えられていた血圧が急激に上昇する「リバウンド現象」が起こる危険があります。この急激な血圧上昇が、脳出血や心筋梗塞など、大きな病気の引き金になることもあるのです。血圧が安定しているのは薬が適切に効いているからで、決して「治った」わけではありません。また、急に血圧が上がった場合も、自己判断で手持ちの薬を増やすのは避けましょう。薬は種類ごとに血圧を下げる効果やタイミングが異なるため、自己判断での増量はさらなる体調悪化を引き起こす恐れもあります。
薬について気になることがある場合は、必ず主治医へ相談しましょう。

薬を服用して副作用が出た場合

医師の指示通りに服用していても、体質によっては薬の副作用が出ることがあります。 血圧の薬の代表的な副作用を、以下にまとめました。
・めまい・ふらつき
・だるさ
・空咳
・歯茎の腫れ
・息苦しさ
・発疹
・唇やのどの腫れ
とくに意識を失うほどのめまい・ふらつきや、発疹、唇やのどの腫れが出た場合は重い副作用が出ている可能性も考えられます。すぐに受診してください。ただし、感じている体の不調が副作用によるものなのかは診察を受けないと分かりません。気になる症状が出た場合は自己判断で薬を中止するのではなく、まずは主治医へ相談しましょう。

血圧をさげる薬は飲み合わせに注意

血圧を下げる薬は、特定の薬や食品といっしょに飲むと効果が弱まったり強まりすぎたりすることがあります。市販薬(特に風邪薬)などとの併用は気をつけなければならないこともあります。薬剤師や医師に確認をしましょう。
生活のなかで注意が必要なものを、2つ紹介します。

飲み合わせに注意が必要なもの 対象となる血圧の薬 理由
グレープフルーツジュース カルシウム拮抗薬 グレープフルーツジュースがカルシウム拮抗薬が代謝されるのを妨げて、血液中の薬の量が多くなる可能性があるため
非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs) ARB・ACE阻害薬・β遮断薬・利尿薬など 薬の作用を弱めたり、腎臓の機能を下げやすくしたりする可能性があるため

飲み合わせに注意が必要なものを食べたり飲んだりしてから気づいた場合、まずは血圧を測って体調を確認しましょう。量が少なければ、問題ないケースも多いです。ただし、血圧に変化がある、体調不良があるなどの場合はすぐに主治医へ連絡しましょう。
また、一部の抗生物質や糖尿病の薬、免疫を調整する薬などにも、飲み合わせに注意が必要なものがあります。血圧の薬を飲んでいる方が医療機関にかかる場合は、お薬手帳を利用して必ず医師・薬剤師へ飲んでいる薬のことを伝えてください。

「血圧を下げる薬」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「血圧を下げる薬」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

血圧が高い人はどのくらいの数値から薬を飲むべきですか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

どのくらいの血圧から薬が必要になるかは、「現在の血圧」と「その方が持つ心臓・脳の病気に関わるリスク」によって異なり、個人差があります。
たとえば血圧が140/90mmHgの基準値を少し超えた場合、その方に脂質異常症や喫煙習慣、脳や心臓の持病がなければまずは生活習慣の改善で様子を見ます。ただし、同じ140/90mmHgを少し超えた場合でも、脳や心臓の持病、糖尿病、たんぱく尿をともなう慢性腎臓病などのある方は、すぐに血圧の薬を開始することもあります。
なぜなら、高血圧の治療目的は単に「血圧を下げること」ではなく、「持続的な高血圧によって起こる脳や心臓のリスクを下げること」「高血圧の方がより健康で快適に暮らせるようにすること」だからです。そのため、リスクが脳や心臓の病気になるリスクが高い方ほど、薬物治療によるしっかりとした血圧コントロールが早くから必要になります。気になることは主治医に確認し、疑問点を解消して治療にのぞみましょう。

高血圧に効く代表的な薬はなんでしょうか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

高血圧に効く代表的な薬は、以下の5種類です。
・カルシウム拮抗薬
・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
・アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)
・β遮断薬
・利尿薬
これらの薬はそれぞれ異なる方法で血圧を下げ、場合によっては組み合わせることもあります。
現在の日本で治療のベースによく使われるのは、カルシウム拮抗薬とARBです。どちらも血圧を下げる効果が安定しており、臓器を保護する効果も期待できます。
ただし、使う薬の種類や量は、血圧の状態や持病の有無などによって異なります。どの薬が一番効くかは人によって異なるため、医師の処方した種類と量を守って服用しましょう。

自分に合う血圧の降圧剤は何科の病院で相談できますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

降圧薬については、内科で相談できます。
心不全や狭心症などの病気もある場合は循環器内科、腎機能の低下がある場合は腎臓内科が専門ですが、「内科」であれば基本的な高血圧の治療は問題なくおこなえます。ただし、紹介状を持たずに入院のベッド数が200床以上ある総合病院を受診すると、「保険外併用療養費(選定療養費)」という自費の負担が発生する可能性があります(令和7年11月現在)。そのため、まずは地域のかかりつけを担う内科クリニックや中小病院が基本の受診先となるでしょう。
血圧の治療は、長く続けることが基本です。「健康診断で血圧の異常を指摘された」「過去に血圧の薬を飲んでいたが、やめてしまい最近血圧が上がっている」などの方は、ご自分が相談しやすい内科をぜひ探してみてください。

高めの血圧を下げる薬で注意すべき副作用はありますか?

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

高血圧の薬にも副作用はあり、とくに注意すべき内容は薬の種類によって異なります。
代表的な副作用を、いくつか紹介します。
・めまい・ふらつき:薬を飲み始めて体が慣れるまでや、血圧が下がりすぎたときに起こりやすい
・むくみ・ほてり:カルシウム拮抗薬によって血管が広がると起こる場合がある
・空咳:息苦しさのない乾いた咳で、ACE阻害薬で起こる場合がある
・徐脈:β遮断薬によって脈がゆっくりになりすぎると起こる場合がある
・唇の腫れ:ARBやACE阻害薬によってまれに起こる
副作用の種類や強さと現在の体調によって、薬を継続するか変更・減量するかは異なります。気になる症状が出た際は、早めに主治医へ相談しましょう。

まとめ 血圧を下げる薬はしっかりと続けることが大切!

高血圧の薬(降圧薬)には多くの種類があり、それぞれ異なる方法で血圧を下げてくれます。どの薬が合うかは個人差があり、医師が血圧の数値や持病などから判断して処方しています。
高血圧治療は「ただ数値を下げること」ではなく、高血圧によって起こる脳梗塞や脳出血、心筋梗塞などの重い病気を防ぐことや体調を良くすることが目的です。自覚症状がなくてもしっかりと治療を続け、ご自身の健康を守っていきましょう。

「血圧」の異常で考えられる病気

「血圧」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

脳神経系の病気

高血圧を放置すると動脈硬化が進み、脳や心臓、腎臓などの重大な病気が起こるリスクが上昇します。医師の指示に従い、適切な治療をおこないましょう。

「血圧」の異常で考えられる症状

「血圧」から医師が考えられる症状は6個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

関連する病気

  • 頭が痛い
  • ふらつき
  • 動悸
  • 息苦しさ
  • 胸の痛み

血圧が高いと頭痛やめまい、ふらつきなどが起こる可能性があります。また、高血圧によって脳出血やくも膜下出血が起こった際はひどい頭痛、心筋梗塞が起きた場合は息苦しさや胸の痛みにおそわれます。気になる症状がある場合は、すぐに受診しましょう。

この記事の監修医師

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