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指定難病「修正大血管転位症」はどんな病気なのか? 息切れ・動悸など3つのサインを医師が解説

 公開日:2026/02/19
修正大血管転位症
弓場 智雄

監修医師
弓場 智雄(医師)

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2014大阪大学卒業、2014~2016 国立病院機構呉医療センター、2016大阪大学心臓血管外科、2017大阪大学麻酔科集中治療部、2018国立成育医療研究センター麻酔科、2019~大阪大学麻酔科集中治療部 医員。もともと心臓外科を研修していたが、担当した患者さんが集中治療室(ICU)の術後管理で劇的に回復したことをきっかけに麻酔科に転科。専門は集中治療、手術麻酔、ペインクリニック、無痛分娩。研究は酸化ストレス、慢性痛や術後せん妄、無痛分娩など。

修正大血管転位症の概要

修正大血管転位症(corrected transposition of the great arteries:cTGA)は、生まれつき心室と動脈の接続が通常とは逆になっている先天性心疾患の一種です。

具体的には、修正大血管転位症の患者さんの心臓は、右心房が左心室に接続して肺動脈へ血液が流れ、左心房は右心室に接続して大動脈へと血液が流れる構造をしています。すなわち、通常の心臓の構造に対して解剖学的に右心房は左心室に、左心房は右心室に接続しており、それぞれ肺動脈と大動脈につながっています(いわゆる房室および動脈の二重転位)。

本来の構造とは異なるにもかかわらず、静脈血(酸素の少ない血液)は肺へ、動脈血(酸素の多い血液)は全身へと送られる血液循環の動態そのものは維持されます。そのため、「修正」大血管転位症と呼ばれています。

修正大血管転位症の患者さんは、心室中隔欠損(心室間の壁に穴がある状態)肺動脈狭窄(肺へ血液を送る血管が狭くなっている状態)、三尖弁(さんせんべん)の異常など、ほかの心疾患を合併していることが多く、合併症の有無によって症状の現れ方や重症度が異なります。

修正大血管転位症は厚生労働省の指定難病に登録されています。発生頻度は出生100,000人に対して約3人とまれな疾患で、先天性心疾患全体の約0.4%を占めるとされています。

出典:公益財団法人難病医学研究財団/難病情報センター「修正大血管転位症」

症状の現れ方は合併する心疾患の有無によって異なり、乳児期から重篤な症状が現れる場合もあれば、成人まで無症状で経過する場合もあります。

修正大血管転位症の治療は主に外科的手術でおこないます。ただし、年齢を重ねるにつれて心不全症状が出現することが多くなるとされ、生涯にわたる定期受診が必要となる疾患です。

修正大血管転位症の原因

修正大血管転位症は、赤ちゃんの心臓が母親のおなかの中で発達する過程での異常によって引き起こされます。心臓の発達になぜ異常が起こるのかは現在のところ解明されていません。

修正大血管転位症はほかの先天性心疾患と同様に、遺伝的な要因と環境的な要因が複雑に関係していると考えられていますが、原因遺伝子などの解明には至っていません。

また、修正大血管転位症では心室中隔欠損症や肺動脈狭窄症などの先天性心疾患も併発するケースが知られています。

修正大血管転位症の前兆や初期症状について

修正大血管転位症の症状は、合併する心臓の異常の種類や程度によって大きく異なります。

ほかの心疾患をともなわない場合と、ほかの心疾患を合併している場合で症状の内容や重症度に差があることが特徴です。

合併症が無い場合

合併症がない修正大血管転位症では、乳幼児期から青年期にかけて目立った症状がなく過ごせることが多いとされます。女性では、出産ができるケースもあることが知られてます。しかし、成人期以降になると心室として機能している場所の負担が徐々に蓄積し、また三尖弁が体循環の高い圧力に耐えられなくなって閉鎖不全を起こすことがあります。

この段階で息切れや疲れやすさ、動悸や足のむくみなどの心不全症状が現れ始めることがあります。

合併症がある場合

心室中隔欠損や肺動脈狭窄を合併している場合は、生後早期からチアノーゼなどを認め、重篤な経過をたどることも珍しくありません。

加齢とともに房室ブロッ クや頻拍発作なども起こりやすくなり、合併する疾患の影響でさまざまな機能不全が起こる可能性があります。重症度に合わせ、慎重な治療と経過観察がおこなわれます。

修正大血管転位症の検査・診断

修正大血管転位症は、聴診をはじめとする症状の観察や画像検査、心電図検査や心臓超音波検査(心エコー)などによって診断します。

画像検査

胸部X線検査では心臓の大きさや形、血管陰影などを確認します。

修正大血管転位症は心臓の位置が中央に寄っている場合や右側に偏っている場合、左側に偏っている場合などさまざまです。心臓の位置や血管陰影などを確認することで適切な診断や治療につなげます。

心電図検査

心電図検査は、修正大血管転位症の診断において非常に重要です。修正大血管転位症に特徴的な所見を確認することや、房室ブロックの有無や程度を確認します。

心臓超音波検査(心エコー)

心エコー検査は、心臓の構造や血液の流れをリアルタイムで観察できます。修正大血管転位症の特徴的な所見を確認し、適切な診断や治療内容の決定につなげます。

修正大血管転位症の治療

修正大血管転位症では外科的治療を中心にした治療がおこなわれます。合併する心疾患の種類や重症度などを考慮して「機能的修復術」と「解剖学的修復術」のいずれかがおこなわれる例が多いです。

機能的修復術

機能的修復術は、比較的患者さんの身体にかかる負担が少ない治療法だとされています。心室中隔欠損による穴をふさいだり血管の狭窄を改善したりします。

ただし、長期的には心臓の弁の問題や右心室の機能低下のリスクが残るとされます。

解剖学的修復術

解剖学的修復術はより根本的な修復を目指し、心臓の血流経路を本来あるべき形に近づける手術です。

手術に成功した場合、長期的な心機能の改善が期待できるものの、手術の負担が大きく合併症のリスクもある治療法とされています。

修正大血管転位症になりやすい人・予防の方法

修正大血管転位症の明確な原因は現在のところ解明されていないため、なりやすい人については特定できません。そのため、修正大血管転位症の発生を予防することも難しいとされています。

修正大血管転位症と診断されている場合、疾患の進行や合併症の発生を抑えるための「管理」が重要です。定期的な受診や適切な治療の継続、過度に負担がかかるような運動や疲労の回避などが推奨されます。

修正大血管転位症は、解剖学的特徴から長期的にさまざまな問題が生じる可能性がありますが、専門の医療機関に相談し、適切な治療と経過観察をおこなうことで、生活の質を保つことができると考えられています。

関連する病気

  • 心室中隔欠損
  • 肺動脈狭窄

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