「胃がん」の前兆となる「5つの初期症状」はご存知ですか?【医師解説】

胃がんの前兆となる初期症状とは?Medical DOC監修医が解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
※この記事はMedical DOCにて『「胃がん」を発症すると「皮膚にいぼ」ができるの?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
目次 -INDEX-
「胃がん」とは?
胃は体のみぞおちの辺りにある袋状の臓器です。この胃の粘膜にがんが発生したものが胃がんです。2021年のデータでは、胃がんは男性で4位、女性で4位、全体で3位の罹患数となっています。また、2023年の統計ではがんによる死亡者数の中で胃がんは全体で4位です。胃がんは日本人の中で比較的多いがんと言えます。
胃がんは早期で治療をした場合、生存率は良好ですが、進行すると治療が難しくなります。なるべく早期に発見し、治療をすることが重要です。
胃がんを早めに発見するために症状や徴候について解説いたします。
胃がんの前兆となる初期症状
胃がんは初期では症状が何もないことが多いです。しかし徐々に進行すると以下のような症状がみられることがあります。
みぞおちの痛み
胃はみぞおちの辺りに位置しているため、胃がんが発生し、進行すると痛みが出ることもあります。しかし、症状がないこともあるため、気をつけなければなりません。また、みぞおちの痛みがあっても、すべてが胃がんであるわけではなく、胃炎や胃潰瘍など他の病気でも同じような症状がみられます。
胃の不快感・吐き気
胃がんができると、胃の動きが悪くなることで不快感や吐き気が出ることがあります。胸やけなどの症状がみられることも少なくありません。しかし、他の消化器系の病気でもみられる症状のため、区別はつきません。不快感や吐き気が持続する場合には、消化器内科を受診しましょう。
食欲不振
胃がんにより痛みや、不快感、吐き気が持続すると次第に食欲が低下することも多いです。食欲が低下し、体重が減少することもあります。食欲が低下している場合、胃がんをはじめとする消化器系の病気の可能性があります。続く場合には消化器内科で相談をしましょう。
黒い便
胃がんの表面から、出血してたまった血液が胃酸により酸化され黒くなることがあります。これは、胃潰瘍や十二指腸潰瘍でもみられます。便が黒く、生ぐさい、海苔の佃煮のような性状となった場合、早めに消化器内科を受診しましょう。
貧血
胃がんからの出血がじわじわと持続している場合には、なかなか出血に気が付かないこともあります。たまたま行った血液検査で貧血に気が付くこともあれば、貧血が進行してだるさやめまいなどの症状がみられることも考えられます。貧血の進行は、消化器系の病気による可能性があります。若い女性では生理による出血で貧血がみられますが、閉経後の女性や男性での貧血は注意が必要です。貧血がみられた場合には、内科で相談をしてみましょう。
「胃がんの前兆といぼ」についてよくある質問
ここまで胃がんの前兆といぼについて紹介しました。ここでは「胃がんの前兆といぼ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
胃がんによるいぼはどんな特徴がありますか?
和田 蔵人 医師
へそのくぼみに結節ができる、SisterMaryJoseph結節や、褐色~黒褐色のいぼが全身に急激に増えるレーザー・トレラー徴候などが考えられます。これらの病変は胃がんのみでみられるわけではありません。気になる症状が現れた場合には、まず皮膚科で相談をしましょう。
老人性イボを発症した場合、胃がんを疑った方がいいですか?
和田 蔵人 医師
老人性いぼは「脂漏性角化症」と言われています。この「脂漏性角化症」自体は中年以降の方でよくみられる良性の病気です。しかし、数週間から数か月で急激に大きくなったり、数が増えたりする場合には注意が必要です。悪性疾患に伴う所見かもしれません。また、この症状は胃がんに限ってみられるわけではありません。
まずは、脂漏性角化症が急に増えたりと気になる場合には皮膚科で相談をしてみましょう。
編集部まとめ 老人性いぼが急に増える場合、がんの合併の可能性も。
胃がんは日本において、決して少ない病気ではありません。治療成績が向上し、早期で発見、治療ができれば、予後は比較的良好です。このため、早期に発見するための症状や、皮膚所見について解説いたしました。どの症状も、胃がんのみでみられるわけではありません。しかし、異常に気がついたときには早めに相談をすることが重要です。
特に皮膚の所見として、通常の老人でよくみられる脂漏性角化症が急速に増大、増加するレーザー・トレラー徴候についてもお話ししました。頻繁にみられる所見ではありませんが、気になるところがあれば、早めに医療機関を受診して相談をしましょう。
「胃がん」と関連する病気
「胃がん」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚の症状も、胃腸の症状に関しても、胃がんの特異的な症状はありません。気になる症状が続く時には早めに消化器内科を受診すると良いでしょう。
「胃がん」と関連する症状
「胃がん」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
胃がんは初期では症状がないことが多いです。進行すると上記の様な症状がみられることもあります。症状が長く続く時には消化器内科で相談をしましょう。