「胃がん」を発症すると「皮膚にいぼ」ができるの?医師が徹底解説!

胃がんを発症すると皮膚にいぼができるの?Medical DOC監修医が解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
※この記事はMedical DOCにて『「胃がん」を発症すると「皮膚にいぼ」ができるの?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
目次 -INDEX-
「胃がん」とは?
胃は体のみぞおちの辺りにある袋状の臓器です。この胃の粘膜にがんが発生したものが胃がんです。2021年のデータでは、胃がんは男性で4位、女性で4位、全体で3位の罹患数となっています。また、2023年の統計ではがんによる死亡者数の中で胃がんは全体で4位です。胃がんは日本人の中で比較的多いがんと言えます。
胃がんは早期で治療をした場合、生存率は良好ですが、進行すると治療が難しくなります。なるべく早期に発見し、治療をすることが重要です。
胃がんを早めに発見するために症状や徴候について解説いたします。
胃がんを発症すると皮膚にいぼができるの?
胃がんに限らず内臓の悪性腫瘍(がん)と関連して特有の皮膚症状がみられることがあります。このような皮膚の症状は、「悪性腫瘍のデルマドローム」として知られています。いろいろな皮膚の所見がみられ、中には皮膚にいぼのようなものができることもあります。
胃がんの前兆症状として皮膚にいぼができることはあるの?
胃がんと関連する皮膚病変として、SisterMaryJoseph結節や、悪性表皮腫、レーザー・トレラー徴候、皮膚筋炎などが挙げられます。この中でいぼ状(皮膚の突出した病変)の所見がみられるものとして、SisterMaryJoseph結節、レーザー・トレラー徴候が考えられます。
SisterMaryJoseph結節は臍のくぼみにみられる転移性の皮膚病変です。臍は皮下脂肪と筋層がないため、腹膜転移から直接がんが浸潤しやすいと考えらえています。一般的には、このような皮膚転移がみられると予後は不良です。
レーザー・トレラー徴候は、脂漏性角化症が急速に拡大する状態です。脂漏性角化症自体は、中年以降でよくみられる良性の皮膚病変です。褐色から黒褐色の隆起したかゆみを伴ういぼ状の病変で、加齢現象の一つとして考えられています。この病変が数週間から数か月の間に急速に大きく、数が増える現象がレーザー・トレラー徴候です。この病変はがんの治療後に消退するという報告もあります。多くはがんの発見前後1年以内にみられると言われています。
胃がんを発症すると皮膚にいぼができる原因
胃がんに関連して皮膚のいぼができる原因については、まだ分かっていないことも多いです。現在の段階で考えられる原因について解説します。
がんが直接的に皮膚に影響するもの
SisterMaryJoseph結節は、がんの皮膚への転移です。このように内臓のがんが皮膚に転移することは非常に珍しいですが、胃がんでみられることもあります。
がんから放出されるサイトカイン
内臓にがんができると、がんからサイトカインや成長因子を放出します。このサイトカインや成長因子が表皮角化細胞を刺激し、増殖することでレーザー・トレラー徴候がみられるようになると考えられています。
「胃がんの前兆といぼ」についてよくある質問
ここまで胃がんの前兆といぼについて紹介しました。ここでは「胃がんの前兆といぼ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
胃がんによるいぼはどんな特徴がありますか?
和田 蔵人 医師
へそのくぼみに結節ができる、SisterMaryJoseph結節や、褐色~黒褐色のいぼが全身に急激に増えるレーザー・トレラー徴候などが考えられます。これらの病変は胃がんのみでみられるわけではありません。気になる症状が現れた場合には、まず皮膚科で相談をしましょう。
老人性イボを発症した場合、胃がんを疑った方がいいですか?
和田 蔵人 医師
老人性いぼは「脂漏性角化症」と言われています。この「脂漏性角化症」自体は中年以降の方でよくみられる良性の病気です。しかし、数週間から数か月で急激に大きくなったり、数が増えたりする場合には注意が必要です。悪性疾患に伴う所見かもしれません。また、この症状は胃がんに限ってみられるわけではありません。
まずは、脂漏性角化症が急に増えたりと気になる場合には皮膚科で相談をしてみましょう。
編集部まとめ 老人性いぼが急に増える場合、がんの合併の可能性も。
胃がんは日本において、決して少ない病気ではありません。治療成績が向上し、早期で発見、治療ができれば、予後は比較的良好です。このため、早期に発見するための症状や、皮膚所見について解説いたしました。どの症状も、胃がんのみでみられるわけではありません。しかし、異常に気がついたときには早めに相談をすることが重要です。
特に皮膚の所見として、通常の老人でよくみられる脂漏性角化症が急速に増大、増加するレーザー・トレラー徴候についてもお話ししました。頻繁にみられる所見ではありませんが、気になるところがあれば、早めに医療機関を受診して相談をしましょう。
「胃がん」と関連する病気
「胃がん」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚の症状も、胃腸の症状に関しても、胃がんの特異的な症状はありません。気になる症状が続く時には早めに消化器内科を受診すると良いでしょう。
「胃がん」と関連する症状
「胃がん」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
胃がんは初期では症状がないことが多いです。進行すると上記の様な症状がみられることもあります。症状が長く続く時には消化器内科で相談をしましょう。