「肺がんで放射線治療を受けた場合の余命」はご存知ですか?医師が解説!

本記事では、がん治療における余命の概念や、その算出方法が統計的な推計に基づいていることを解説するとともに、肺がんで放射線治療を受けた場合の余命や、その効果・副作用について解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「肺がんで放射線治療を受けた場合の余命」は?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)
目次 -INDEX-
がん治療における余命とは

余命とは、医師が患者さんの病状から予測する後どれくらい生きられるかという期間を指します。これは個人ごとに正確に決まっているものではなく、過去の患者データに基づく統計的な推計です。余命宣告でよく耳にする〇ヶ月や〇年という数字は目安であり、実際にはそれより長く生存する方も少なくありません。
がん患者さんの予後を表す指標として生存率も使われます。なかでも5年生存率は、診断から5年後に生存している方の割合を示す統計データです。日本の国立がん研究センターなどから公表されている5年相対生存率は、同年代の一般人口と比較してがん患者さんがどの程度生存できたかを示すものです。
例えば肺がんの場合、ステージ(病期)が進むほど5年生存率は低下し、ステージIでは70~80%以上あるものがステージIVでは数%と大きな差があります。ただし、これも集団全体の統計であり、個人には当てはまらないことがあります。余命の数字は一つの指標に過ぎず、患者さん本人の希望やQOLを尊重しながら治療方針を決定していくことが大切です。
肺がんにおいて放射線治療のみが選択された場合の余命

肺がん治療では、通常、手術や抗がん剤治療、分子標的薬、免疫療法などの多角的なアプローチが取られます。しかし、患者さんの全身状態や年齢、合併症、または治療希望などにより、放射線治療のみでの治療が選択されるケースも存在します。治療成績でいえば、I期非小細胞肺がんの方の5年後生存率は定位放射線治療で87%、手術(肺葉切除)で84%とほぼ同等であり、統計学的な差は認められませんでした。一方で、肺がんのステージⅣ肺がん患者さんは分子標的薬が有効な場合があります。この場合も放射線治療のみを選択すると、余命は短くなる可能性があります。このように肺がんのステージによっても余命の期間は変わります。
肺がんの放射線治療についてよくある質問
ここまでで肺がんの放射線治療についての一般的な内容を解説しました。ここでは「肺がんの放射線治療」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
肺がんの放射線治療はほかの治療と組み合わせたほうがよい?
木村 香菜(医師)
肺がんの治療では、病期や患者さんの状態に応じて放射線治療とほかの治療法を組み合わせるかどうかを決めます。がんが局所にとどまっている場合は放射線単独で完結することもありますが、広がりがある場合や再発リスクが高い場合にはほかの治療との併用が推奨されます。もちろん併用すればその分副作用も増える可能性があるため、患者さんの体力や希望も踏まえて総合的に判断します。主治医と十分に相談し、併用のメリット・デメリットを理解したうえで治療法を選択するとよいでしょう。
肺がんの放射線治療にはどのような副作用がある?
木村 香菜(医師)
放射線治療は照射部位に応じた局所的な副作用が生じます。肺がんへの照射では、照射野に肺や気管支、食道、皮膚などが含まれるため、主な副作用として咳や息苦しさ、食道炎、皮膚の炎症などが起こりえます。また照射範囲に骨髄が含まれると白血球減少や貧血が生じることもあります。これらの症状は放射線治療の期間中から終了直後に現れる急性期の副作用で、多くは治療終了後数週間~数ヶ月で軽快します。
一方、放射線治療には遅発性の副作用もあり、治療終了から数ヶ月~数年経ってから出るものもあります。放射線が当たった正常肺組織に炎症が起こり、治療終了後1~3ヶ月ほどしてから咳や発熱、呼吸困難などの症状が出ることがあります。これを放射線肺臓炎といいます。多くは軽症でステロイド治療などにより改善しますが、重症化すると命に関わることもあるため注意深い経過観察が必要です。
肺がんの放射線治療に必要な期間、回数は?
木村 香菜(医師)
放射線治療の期間・回数は治療の目的や手法によって大きく異なります。一般的な照射スケジュールは平日(月~金)毎日1回照射し、土日は休む形で進めます。そして、根治目的の治療では1ヶ月以上かかる一方、症状緩和目的では2週間以内ということもあります。
まとめ

肺がん治療における余命の見方や治療選択の幅広さ、そして各治療法のメリットとデメリットを解説しました。肺がんはステージが進行するとその平均余命なども変わります。また、ステージ毎に治療方法の選択は異なることが一般的です。しかし、各治療法は患者さんの状態やご希望に合わせて選択するので、医師と十分に相談して判断することが大切です。
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