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【専門家に聞く】「高齢者の低栄養」が招くリスクは知っていますか? 食事記録が重要である理由

 更新日:2023/12/13

高齢者にとって注意すべき状態である、「低栄養」。食事内容や運動量が減少することで、高齢者は低栄養になりやすくなります。実際、高齢者が低栄養状態になることはどのようなリスクを招くのでしょうか? 介護福祉士の寺田さんに解説していただきました。

寺田 英史

監修介護福祉士
寺田 英史(介護福祉士)

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2003年より介護業界に従事。介護福祉士として高齢者の自立と尊厳を守るためのケアに尽力する。2016年より高齢者のQOL向上を目指し介護保険外サービス事業を運営する傍ら、後進の育成のために介護職員初任者研修、介護福祉士実務者研修の講師を務める。

編集部編集部

高齢者が低栄養状態になるとどうなるのでしょうか?

寺田 英史さん寺田さん

高齢者が低栄養状態になると、まず栄養状態の低下から体重が減少し、体の中のエネルギーが少なくなることで歩きにくくなったり、疲れやすくなったりして動きが緩慢になります。そこから、さらに筋力低下を招く事で「フレイル」に陥りやすくなります。フレイルとは元々は「虚弱」や「壊れやすい」といった意味で、高齢者にとってのフレイルとは、「健康的な生活を脅かす非常に危険な状態」であるといえます。

編集部編集部

低栄養からフレイルになると、どのようなリスクがあるのでしょうか?

寺田 英史さん寺田さん

低栄養からフレイル状態になると、さらなる運動量や食欲の低下、意欲の低下を引き起こし要介護状態になりやすくなります。また、身体の健康を保つ栄養素が極度に足りていない状態ですので、身体だけでなく免疫機能や内臓機能も低下しますので、風邪をひいてもすぐに治らず、肺炎などの重篤な二次感染を引き起こすなど、死亡リスクのある病気にかかりやすくなります。筋力が低下しているので転倒リスクも上昇し、骨折することも少なくありません。そうなると、さらに歩行機能が低下し寝たきり状態となってしまいます。ほかにも、水分摂取量が不足することで脱水症状など生命に関わる事態を招きやすくなります。

編集部編集部

高齢者の低栄養状態を判別する方法はありますか?

寺田 英史さん寺田さん

高齢者の低栄養状態を把握するには「定期的に体重測定をする」「血液検査でアルブミン値を測定する」「普段の食生活をしっかり把握する」ことなどで判別できます。低栄養とは、体に必要な栄養素が足りていない状態ですから、定期的に体重を測ると痩せているかどうかが分かります。特別な運動をしていないのに体重が落ち続けている高齢者は低栄養を疑ってもよいでしょう。また、一人暮らしの高齢者の場合は特に食生活が簡素になりやすいため、低栄養を招きやすいだけでなく、食生活を把握できる人がいないことが危険因子として考えられます。どのような食事をどれくらい食べているかを書き留めておけば、低栄養が疑われる際の重要な根拠資料となります。

編集部まとめ

高齢者の低栄養状態によって、フレイルや要介護状態、死亡リスクも高めてしまうことが分かりました。また、低栄養状態かどうかを把握するためには、定期的な検査と食事記録が重要です。自分の親族などの介護をしている人や、身近な人のためにも記録をつけてみるのも良いかもしれません。

この記事の監修介護福祉士