【専門家監修】「高齢者の低栄養」を予防する方法は? 食事・運動・サプリメントも有効?
高齢者にとって注意すべきことのひとつである、「低栄養」状態。食事量の低下や味覚機能の衰えによって、高齢者は低栄養になりやすいと言われます。ですが、低栄養状態は疾患の罹患率を高めてしまう原因にもなりかねないため、予防することが重要です。そこで、介護福祉士の寺田さんに高齢者の低栄養を予防する方法について具体的に教えていただきました。
監修介護福祉士:
寺田 英史(介護福祉士)
編集部
低栄養にならないための対策はありますか?
寺田さん
低栄養を防ぐには、定期的な運動と栄養バランスの取れた食事を3食食べることが重要です。また、高齢者になるとむせやすいものや硬いものなど、食べにくい食事が増えてきますので、不足する栄養も出てきます。その場合はサプリメントで補うことも必要です。繰り返しになりますが何よりも大切なのは食事をしっかり3食食べることであり、そのためには定期的な運動で食欲の増進を図ることです。
編集部
要介護者の低栄養を防ぐために介護者ができることはありますか?
寺田さん
「要介護者の健康状態、身体機能、筋力量を把握した上で、無理のない範囲で体を動かす支援をおこなうこと」、また、「味覚や視覚、嗅覚など感覚器の低下が食欲低下に結びつくので彩りや味付けを工夫すること」が大切です。低栄養を防ぐためには、運動が大切だと先述しましたが、高齢者は我々に比べ激しい運動は難しい方が多いですし、どれくらいの運動が可能かはご病気や身体機能によって一人ひとり違います。介護者は高齢者一人ひとりをしっかり観察し、能力や状態の把握に努めることが重要です。
編集部
低栄養を予防するための工夫点はありますか?
寺田さん
食事や運動に意欲的に取り組むためには周囲の環境的要因も大きく関係してきます。私たちも一人で食事したり遊んだりするよりも、仲のいい友達などと一緒のほうが何倍も美味しく感じたり楽しめたりすると思います。高齢者にとってもそれは同じですので、友人との食事や趣味を活かした運動など、その方に合った楽しく意欲的に取り組める環境を構築していくことが大切です。何を食べるかよりも誰と食べるかが食事を楽しむのには大切なのです。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
寺田さん
高齢になっても健康的な生活を続けて長生きするためには、低栄養からフレイル、そして要介護状態にならないようにすることが大切です。食生活や運動といった日常生活を規則正しく、そして楽しく過ごすことが大切です。介護者は、高齢者がどうすれば楽しく取り組めるかに重点を置いた支援が大切です。
編集部まとめ
高齢者の低栄養状態が続くと要介護状態になりやすく、健康寿命が大きく損なわれる危険性があります。普段から友人や家族との運動や食事を楽しんで健康づくりに取り組むことが大事です。