【専門家に聞く】高齢者の低栄養とはどのような状態? なぜ低栄養になる?
高齢の方は、体の機能がだんだんと衰えていくことに加えて、さまざまな疾患リスクが高くなる傾向にあります。その要因のひとつが”低栄養”状態であること。そこで、高齢者における低栄養状態がどのようなものなのか、低栄養状態になってしまう原因について、介護福祉士の寺田さんに聞いてみました。
監修介護福祉士:
寺田 英史(介護福祉士)
編集部
低栄養とはどのような状態のことを言うのでしょうか?
寺田さん
低栄養とは、体内のたんぱく質などが不足し、身体機能の維持に必要な筋肉や骨を作るための栄養が足りない状態を言います。人間の体は健康的に生きるために必要な栄養素として、たんぱく質のほかにも脂質や炭水化物、ビタミンといった様々な栄養が欠かせません。1日に消費する栄養に対し、摂取する栄養が足りないことで起こるのが低栄養です。
編集部
低栄養になってしまう原因とはなんでしょうか?
寺田さん
最も大きい原因が食事量の低下です。高齢者は老化の影響から全身の筋力が低下します。すると、噛む力が衰え満足に食事を摂取しにくくなり、食事量が低下しやすくなります。また、視覚や聴覚、味覚といった感覚機能が低下することで食事が美味しそうに見えないことや、先述した身体機能の衰えから運動量が低下し食欲も低下することで、食事の摂取量が不足しやすくなります。ほかにも、老年期に同年代の友人を亡くす、配偶者を亡くす、社会との関わりを失くすといった喪失体験が多くなることで、精神的不調をきたしやすいのも原因となり得ます。
編集部
低栄養の高齢者は多いのでしょうか?
寺田さん
※参照:厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf
編集部まとめ
年齢を重ねると、どうしても食事内容や身体活動量が減少してしまうので、低栄養になりやすいという問題があります。また、放置することでさまざまな疾患リスクにつながりますので、なるべく低栄養状態にならないことが重要ですので、対策を講じることが求められています。