「前頭側頭型認知症になりやすい人」の3つの特徴は?予防法も医師が解説!

前頭側頭型認知症になりやすい人の特徴は?メディカルドック監修医が、若年発症の傾向や心血管疾患との関連、現在の治療法から発症を遅らせるための予防策まで徹底解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「前頭側頭型認知症の原因」はご存知ですか?初期症状も医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
神宮 隆臣(医師)
目次 -INDEX-
「前頭側頭型認知症」とは?
前頭側頭型認知症(frontotemporal dementia;FTD)は、感情の抑制が効かなくなったり、社会の規則を守れなかったりといった行動が目立つ認知症です。
この認知症は、脳の前頭葉や側頭葉の神経細胞が変性・脱落し、萎縮する前頭側頭葉変性症(frontotemporal lobar degeneration;FLTD) が原因となります。
FLTDは臨床症状によって、行動障害型前頭側頭型認知症(bvFTD)、意味性認知症(SD)、進行性非流暢性失語症(PNFA)の3つに分類されています。一般的に前頭側頭型認知症は、これらの3つを包括した診断名として用いられています。
日本では、bvFTDとSDが指定難病に組み入れられています。
前頭側頭型認知症になりやすい人の特徴
前頭側頭型認知症のリスクを高める要因としては、以下のようなものが挙げられます。
家族に前頭側頭型認知症の方がいる
ご家族の中に前頭側頭型認知症の患者さんがいる場合、発症リスクが高くなる可能性があります。しかしながら、欧米では半数近くで家族歴が認められるものの、日本では家族性の割合は少なく、ほとんどは家族歴のない散発性です。
そのため、家族にはいないから安心とは限らず、誰にでも発症の可能性があることは知っておくことが大切です。
年齢
加齢は、ほかの認知症を引き起こす病気と同様に前頭側頭型認知症のリスクとなります。ただし、アルツハイマー型認知症よりも若い方で発症する傾向があります。65歳未満で発症する若年性認知症の割合が高いです。
心血管疾患
前頭側頭型認知症の発症リスクと、心血管疾患の有無、その他の生活習慣病、そして教育レベルとの関連を調べた研究があります。なお、心血管疾患は狭心症や心筋梗塞などのことです。
結果、遺伝性要因が特に無い孤発性の前頭側頭型認知症の方は、家族性の方と比べて心血管疾患のある方が多かったということがわかりました。
心血管疾患と前頭側頭型認知症の因果関係についてはさらなる検討が必要である点には注意が必要です。しかし、心血管疾患の有無が前頭側頭型認知症の発症リスクを高めることに関与している可能性はあります。
前頭側頭型認知症の治療法
前頭側頭型認知症の根本的な治療法は、まだ確立されていません。以下のような治療法によって、症状を和らげることが中心となります。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、抗うつ薬の一種です。前頭側頭型認知症の行動障害に対して、一部の症例では効果がみられたことが報告されています。
内服治療となり、外来通院での治療が可能です。脳神経内科や精神科での処方が一般的と考えられます。
行動療法
患者さんごとの残された機能や、症状の特徴を利用することで、介護者の方の負担を軽減できる場合があります。デイサービスや自宅などで、同じ時間帯に入浴をするなどの、日常生活の動作を習慣化することなどがあります。
抗精神病薬や抗てんかん薬
一部の症例では、抗精神病薬や抗てんかん薬の効果がみられました。副作用には注意が必要ですが、主治医との相談によって用いられる場合もあります。
前頭側頭型認知症を予防する方法
前頭側頭型認知症は、家族性の要因によって発症するものも多くみられます。近年、家族性前頭側頭型認知症の発症を遅らせることができるような行動について、研究が進められています。以下のような方法によって、前頭側頭型認知症のリスクを軽減させたり、進行を遅らせたりすることができる可能性があります。
日常的に体を動かし活動的に過ごす
余暇を活動的に過ごす方では、家族性前頭側頭型認知症の発症が遅くなったという報告があります。外に出かけたり、友人と会ったりするのも良いでしょう。家に閉じこもってじっとしてばかりいるのは、避けたほうがよいかもしれません。
健康的な食事や定期的な運動
健康的な食事や定期的な運動によって認知症全般のリスクが軽減できる可能性があります。
糖質や脂質の摂りすぎに気をつけ、良質な蛋白質やビタミン、食物繊維などを豊富に含む食事を意識しましょう。
高血圧や糖尿病などの治療を受ける
高血圧や糖尿病などの持病がある方は、きちんと治療を受けるようにしましょう。これらの病気をしっかりとコントロールすることで、心血管疾患や脳血管障害のリスクを下げることにもつながります。
「前頭側頭型認知症の原因」についてよくある質問
ここまで前頭側頭型認知症の原因などを紹介しました。ここでは「前頭側頭型認知症の原因」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
前頭側頭型認知症を発症すると怒りやすくなったり、性格が変わったりすることはありますか?
神宮 隆臣 医師
はい。前頭側頭型認知症の方では、感情の抑制が効かなくなる、などの性格変化が初期の段階からみられることがあります。
編集部まとめ
今回の記事では、前頭側頭型認知症の症状や原因などについて解説しました。
前頭側頭型認知症は、早期発見・早期対応によって、家族や本人の生活の質を守ることが可能です。性格が変わった、と同じことばかりしている、など、家族など身近な方に対して「いつもと違う」と感じた場合には、迷わず脳神経内科や精神科などの認知症専門医に相談しましょう。
「前頭側頭型認知症」と関連する病気
「前頭側頭型認知症」と関連する病気は13個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
脳神経内科の病気
- アルツハイマー型認知症
- パーキンソン病
- 進行性核上性麻痺
- 脳血管性認知症
- 脳梗塞
- 脳出血
婦人科の病気
- 更年期障害
- 骨粗しょう症
前頭側頭型認知症は単独で発症することもありますが、他の神経疾患や精神疾患と併発するケースが見られます。特に脳血管障害や甲状腺機能の異常が影響を及ぼすことがあり、全身の健康管理が重要です。
「前頭側頭型認知症」と関連する症状
「前頭側頭型認知症」と関連している、似ている症状は14個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 感情の平坦化
- 無関心・無気力
- 衝動的な行動
- 言葉が少なくなる(失語)
- 反復行動(同じ言動を繰り返す)
- 共感力の低下
- 社会的ルールの無視
- 過食や過剰な買い物などの抑制障害
- 注意力の低下
- 自発性の欠如
- 思考の柔軟性の低下
- 動作が遅くなる
- 記憶力の保持(物忘れが目立たない)
- 自己中心的な言動
これらの症状は前頭側頭型認知症で出現するものですが、他の認知症や精神疾患でも類似した症状が見られることがあります。
参考文献