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「家族がALS(筋萎縮性側索硬化症)」になったらやるべきこととは?【医師解説】

 公開日:2026/04/10
家族がALS(筋萎縮性側索硬化症)になったらやるべきこと

家族がALS(筋萎縮性側索硬化症)になったらやるべきこととは?Medical DOC監修医が解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「ALS(筋萎縮性側索硬化症)の寿命」はご存知ですか?寝たきりになるまでの期間も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

神宮 隆臣

監修医師
神宮 隆臣(医師)

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熊本大学医学部卒業。熊本赤十字病院脳神経内科医員、熊本大学病院脳神経内科特任助教などを歴任後、2023年より済生会熊本病院脳神経内科医長。脳卒中診療を中心とした神経救急疾患をメインに診療。脳神経内科疾患の正しい理解を広げるべく活動中。診療科目は脳神経内科、整形外科、一般内科。日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医、臨床研修指導医の資格を有す

「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」とは?

ALS(筋萎縮側索硬化症)は、運動をつかさどる上位・下位運動ニューロンの両者が変性してしまうことで、徐々に筋肉が萎縮してしまう病気です。上位運動ニューロンとは、大脳皮質の運動野から始まり脳幹を通り、運動の指令を下位運動ニューロンに情報を伝える神経細胞です。この上位運動ニューロンが脊髄を通る場所が側索です。下位運動ニューロンは、上位運動ニューロンからの指令を受け取り、筋肉に信号を送って実際に身体を動かす役割を担っています。
ALSの症状には、運動情報を手足が動かしづらくなる、ろれつが回らなくなる、あるいは飲み込みづらくなるといったものがあります。
今回の記事では、ALSの症状や予後、治療、家族の方が知っておくべきことなどについて解説します。

家族がALS(筋萎縮性側索硬化症)になったらやるべきこと

家族がALSになった場合には、患者本人のみならずその家族の負担も大きくなる場合があります。そのため、以下のようなことが大切です。

療養環境を整える

ALS患者さんは、自宅で療養する場合が多いです。過去のデータにはなりますが、ALS患者さんのうち、入院療養中の方が約3割、在宅療養中の方が約7割だったという報告もあります。
特に病初期のうちは在宅療養を行うことが多いですが、進行してからも自宅で過ごす方も多いのが現状です。訪問看護やリハビリテーションを利用することになりますが、任せっきりにならないように注意が必要です。訪問看護やリハビリテーションのスタッフがいないときには、経管栄養や喀痰の吸引などを行わないといけません。正しい知識や手順などを身につけましょう。在宅療養をする場合には、必要に応じて介護ベッドをレンタルしたり、屋内外の段差や手すりなどのリフォームをしたりすることが必要になる場合もあります。

経済的支援を受けるための手続きをする

ALSはその重症度によって特定医療費受給が受けられる場合があります。また、その他にも経済的な支援を受けることができます。窓口は保健所や市地区町などの自治体などです。
詳しくは、かかりつけの医療機関のMSW(メディカルソーシャルワーカー)などの相談員に相談してみましょう。

訪問看護・介護サービスを受けるための手続きをする

在宅療養をすることになった場合には、訪問看護サービスや介護サービスを受けるようにしましょう。ALSの場合、訪問看護は介護保険ではなく医療保険の対象となります。
医療機関のMSW(メディカルソーシャルワーカー)や、包括支援センターに相談してみましょう。

症状進行したときにどうするかを相談しておく

ALSは進行性で現在の医療では治癒できない神経疾患です。だんだんと症状が進行していき、できないことが出てきます。ALSと診断されたあと、病状をしっかりと受け入れられる段階になったら病状が進行したときのことをきちんと相談しておく必要があります。「自分で動けなくなったり、介助が必要になったりしたときにどこで過ごすのか。」、「食事が口からとれなくなったときに、栄養療法を導入するのか。」、「自力での呼吸が難しくなった場合に、補助換気療法を導入するのか。」などなど、家族でしっかりと決めておきましょう。迷うようなことがあれば、主治医の先生にも相談してもよいでしょう。関わる方すべてが、今後の方針を理解して、ALSの治療と療養をすすめましょう。

ALS(筋萎縮性側索硬化症)の介護・日常生活で困った時の対処法

ALSの方の介護や日常生活で困った時には、以下の方法を試してみましょう。

主治医に相談

内服や治療についてなど、医学的な疑問や相談がある場合には、主治医に相談することが大切です。なかなか薬が飲めない、むせてしまう、呼吸がしづらそうになってきたなど、気になることがある場合には、主治医に相談しましょう。そのほか、困りごとなどあれば定期的な外来などの診察のときに相談しておきましょう。

難病相談支援センターへの相談

各県に、難病相談支援センターが設置されています。難病相談支援センターでは、ALSを含む難病の患者さんやその家族、支援者全般の相談を受け付けています。療養中の生活に困ったことがある場合には、相談に応じてくれます。かかりつけの病院や主治医のみでは対処が難しい場合などは、相談してみるとよいでしょう。

レスパイト入院で家族の休息

在宅介護をしていると、患者さんの家族にも疲労が溜まってしまうケースも多々あります。
終わりの見えない介護のため、疲労が限界となり、介護困難になることがあります。そういった事態を予防するため、家族が休息(レスパイト)するために、患者さんが入院するケースがあります。これをレスパイト入院といいます。レスパイト入院はどの病院でも受け入れているわけではありません。かかりつけ医やケアマネージャー、訪問看護ステーションなどと相談し、レスパイト入院可能な病院をあらかじめ知っておく必要があります。介護による疲労を感じる前に、レスパイト入院可能な病院を紹介してもらい、今後に備えておく必要があります。

「ALSの寿命」についてよくある質問

ここまでALSの寿命などを紹介しました。ここでは「ALSの寿命」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

ALSを発症してから寝たきりになってしまうまで、どれくらいなのでしょうか?

神宮 隆臣神宮 隆臣 医師

ALSの進行のスピードは、患者さんごとに異なるため一概には言えません。しかし、一般的には症状の進行に伴い、次第に手足や体幹、呼吸器筋なども障害を受け、2〜3年で寝たきりとなることが多いと考えられます。

編集部まとめ

今回の記事では、ALSの寿命や治療法などについて解説しました。
ALSは現時点では根本的な治療法はなく、薬物療法などによって症状の進行を抑えていくことになります。そして、多くの場合、在宅での療養が選択されます。今回の記事を参考にして、さまざまな社会的支援も得ながら生活を続けていくことが大切です。

「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」と関連する病気

「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」と関連する病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科の病気

  • 重症筋無力症(MG)
  • 多発性硬化症(MS)
  • 球脊髄性筋萎縮症(SBMA)
  • 慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)
  • 多巣性運動ニューロパチー(MMN)
  • 封入体筋炎

呼吸器内科の病気

循環器内科の病気

整形外科の病気

  • 頸椎症性脊髄症

ALSに似た症状を呈する可能性がある病気や、関連する病気を挙げました。気になる症状がある場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」と関連する症状

「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 筋肉が痩せる
  • 筋肉がぴくつく
  • 話しにくい
  • 息切れしやすい
  • 飲み込みづらい

ALSは、発症しても早期には特徴的な症状が現れていない場合もあります。何かいつもと違う症状を感じた場合は、医療機関に一度相談しましょう。

この記事の監修医師

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