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「若年性アルツハイマーの初期症状」はご存知ですか?末期症状も医師が徹底解説!

 公開日:2025/01/17

若年性アルツハイマーになりやすい人とは?Medical DOC監修医が若年性アルツハイマーになりやすい人の性格・初期症状・末期症状・原因・セルフチェック法・予防法などを解説します。

※この記事はMedical DOCにて『「若年性アルツハイマーになりやすい人」の特徴はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

村上 友太

監修医師
村上 友太(東京予防クリニック)

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医師、医学博士。福島県立医科大学医学部卒業。福島県立医科大学脳神経外科学講座助教として基礎・臨床研究、教育、臨床業務に従事した経験がある。現在、東京予防クリニック院長として内科疾患や脳神経疾患、予防医療を中心に診療している。
脳神経外科専門医、脳卒中専門医、抗加齢医学専門医。日本認知症学会、日本内科学会などの各会員。

「若年性アルツハイマー」とは?

若年性アルツハイマー病とは、65歳未満で発症するアルツハイマー病を指します。アルツハイマー病は年齢を重ねるほど発症しやすくなる疾患で、65歳以降は5年ごとに有病率が倍増するとされており、65歳未満で発症する割合は少なくアルツハイマー病全体の5~6%とされています。一方で65歳未満に発症する認知症の中でアルツハイマー病が占める割合は比較的高く、イギリスで行われた研究では30-64歳で発症した認知症の中で34%がアルツハイマー病であったと報告されています。
若年性アルツハイマー病は現役で勤務している世代に発症する認知症であり、65歳以上で発症する認知症に比べて、発症者本人やその家族に与える影響はより大きなものになるため、注意が必要です。ここでは、若年性アルツハイマー病はどのような人になりやすいのか、予防法や対策はあるのかなどについて解説いたします。

若年性アルツハイマーの前兆となる初期症状

アルツハイマー病では物忘れ(記憶障害)が主な症状となることが多いですが、若年性アルツハイマー病では22~64%でうまく話せない、性格が変わるなどの物忘れ以外の症状が目立つことがあります。ここでは若年性アルツハイマー病を疑いうる症状について説明します。

記憶障害

若年性アルツハイマー病で最も多い症状は記憶障害です。アルツハイマー病の記憶障害では過去の記憶は比較的保たれていますが、直近の記憶を忘れてしまうことが多く、約束を忘れてしまう、新しい仕事が覚えられなくなる、何度も同じ話をするなどの症状がみられます。軽症であれば貴重品など重要な場所の置く場所を決める、予定はカレンダーなどに記入して記録を残すなどの生活の工夫により、生活の支障を軽減することができます。

視覚認知の異常

距離などの目測が困難となった、眼で見たものが何かわからなくなった場合にはアルツハイマー病の可能性があります(後部皮質委縮症)。このタイプのアルツハイマー病では記憶力は比較的保たれる一方で計算ができなくなる、左右がわからなくなる、見えているものを手でつかむことが困難になるなどの症状が出現することもあります。

失語症状

文法などは保たれている一方で「あれ」や「これ」などの指示語が増えて単語がでてこなくなったり、返答する際の文の繰り返しが極端に減ったりと会話の異常がみられた場合、単語の理解は悪くないのに長文の理解が困難となった場合には、アルツハイマー病の可能性があります(ロゴペニック型進行性失語症)。
記憶障害に限らず、生活に困るような認知機能の異常を認めた場合には脳神経内科を受診しましょう。受診する際は状況をよく理解している方と一緒に受診してください。

無関心、性格変化、常同行動

周囲のことに関心を持たなくなり、周囲の言葉を聞かずに毎日同じ行動を繰り返す、気持ちを抑えられず、堂々と万引きをするなど欲望に忠実な非常識な行動をとるなど、明らかにおかしな行動をする場合にはアルツハイマー病の可能性があります。前頭側頭型認知症という認知症に類似の症状ですが、記憶力の低下が目立つなどの特徴があります。

若年性アルツハイマーの末期症状

アルツハイマー病は進行性の変性疾患であり、月~年単位で症状が進行していきます。進行した場合には不安を強く訴える、怒りっぽくなるなど活動性が上がる場合と、全く意欲がなくなり食事も食べなくなるなど活動性が下がる場合があります。どちらの場合も対応に注意が必要で介助者の負担は大きくなります。

家族の認識も困難になる

記憶障害が進行した場合には、過去の記憶も思い出すことが困難となり、配偶者や子供の記憶も曖昧になります。また過去の記憶しかないため、なくなった方が生きているように話すなど、現実とかけ離れた話をするようになってしまいます。

不安が強く、怒りっぽくなる

特に施設などにいる場合などは自分のいる場所、周囲にいる人の認識ができず、不安を訴えたり、脱走しようとしたりします。また、状況理解も困難となるため、行動を制止されると非常に強く反発します。問題な行動に対しては、本人の発言、行動を否定せず、意識を他に向けることで対応できることがあります。

食事を摂らず、寝たきりになる

アルツハイマー病が高度に進行すると、活動意欲をなくしてしまい、ベッドで寝て過ごす生活をするようになります。周囲への関心や食事への意欲もなくなり、食事をほとんど食べなくなります。

「若年性アルツハイマーになりやすい人」についてよくある質問

ここまで若年性アルツハイマーになりやすい人などを紹介しました。ここでは「若年性アルツハイマーになりやすい人」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

若年性アルツハイマーを発症しやすい血液型について教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

高齢患者の認知症に関してはAB型で認知症を発症しやすかったとの報告がありますが、若年性アルツハイマー病と血液型との関係は報告されていません。また、別の研究では血液型による認知症の発症の違いはなかったとの報告もあります。

20代で若年性アルツハイマーを発症する原因について教えてください。

村上 友太(むらかみ ゆうた)医師村上 友太(むらかみ ゆうた)医師

若年性アルツハイマー病の中でも、より早期に発症するものでは遺伝性のアルツハイマー病が考えられます。20代での発症は遺伝性のアルツハイマー病としても、かなり早期の発症であるため、他の疾患ではないかの評価は必要です。

編集部まとめ

アルツハイマー病は加齢が大きく関与する疾患であり、65歳未満で発症することは少ないですが、労働世代で発症した場合には生活により大きな影響を与える疾患です。昨今は労働世代が70歳まで引き上げられつつあり、より発症に注意すべき疾患であるといえます。発症には遺伝的要因や環境要因など様々な要因が関与していると考えられ、予防法も確立できていませんが、頭部に強い衝撃が加わることを避け、適度な運動、バランスの取れた食事、適切な睡眠をとることは発症の予防につながると考えられます。
新規の治療薬としてレカネマブが保険適応となるなど、新たな治療薬の開発に期待もされていますが、まだまだ治療の難しい疾患であるため、生活習慣の改善などできる範囲で予防を心がけましょう。

「若年性アルツハイマー」と関連する病気

「若年性アルツハイマー」と関連する病気は11個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科・脳神経外科の病気

  • レビー小体型認知症
  • 前頭側頭型認知症
  • 血管性認知症
  • 辺縁系脳炎
  • 正常圧水頭症
  • 慢性硬膜下血腫

内科の病気

認知症の症状が出現する病気はたくさんあるため、頭部画像検査だけではなく血液検査などいろいろな検査を行い診断をします。

「若年性アルツハイマー」と関連する症状

「若年性アルツハイマー」と関連している、似ている症状は6個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • うまく話せない
  • 単語が思い出せない
  • 眼で見たものの名前がわからない
  • 眼でみて距離が測れず、ものがうまくつかめない
  • 新しいことができない

最も多い症状は物忘れ(記憶障害)ですが、上記のような症状が続くようであれば一度専門医療機関へ受診することをお勧めいたします。

この記事の監修医師