直腸瘤の症状や原因、治療方法とは?
直腸瘤とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントを交えつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
村上 友太 医師(東京予防クリニック)
直腸瘤とは
直腸瘤とは、女性特有の病気で骨盤臓器脱の一種です。
骨盤臓器脱とは、膀胱や膣、直腸という骨盤内臓器が、その支持組織が加齢で徐々に弱ってくることで、元の位置からずれたり飛び出したりすることで起こります。
直腸瘤は、肛門の一歩手前の便をためる直腸という部分が、膣側に飛び出してきてしまう状態を指します。
直腸瘤の症状
直腸瘤の症状は、軽症なら無症状の方や膣の違和感程度ですむ方も多いです。
程度が徐々に強くなるにつれて、便秘(排便障害)として現れます。
直腸瘤のコブのなかに便がたまってしまいうまく排泄されないと、残便感や会陰部の重だるい感じが続きます。
重症の場合には、膣側に指をいれて押しださないと便がでないこともあります。
また、直腸内に便が残ることで、少量ずつ頻回にトイレに通うこと(頻便)になる場合もあります。
また、直腸が肛門から飛び出せば直腸脱となります。
骨盤臓器脱という疾患群は、飛び出す臓器と飛び出す方向によって、疾患名や症状が変わります。
直腸瘤の原因
以下の要素が考えられます。
・女性はもともと直腸と膣を隔てる組織が薄く弱いこと
・加齢により骨盤を構成し臓器を支えている筋肉が弱くなること
・出産で骨盤が開くことで骨盤を構成する支持組織が弱くなること
・慢性的な便秘で常に腹圧をかけて排便をしていること、など
直腸瘤の検査法
問診と診察が重要です。
どのような状況で、何が飛び出しているのかを確認して診断に結び付けます。
診察室で、患者が自覚する症状を再現してもらう(たとえば、排便時のように思いっきりいきんでください)、誘発動作を行うことで、医師が直接確認するようにします。
腹部CT検査なども有用ですが、腹圧をかけていない状況では引っ込んでしまい臓器が飛び出していないこともあります。
確定診断は、肛門から造影剤を注入して直腸の形をみる、排便造影検査で行われます。
直腸瘤の治療方法
軽症の場合は、保存的療法を行います。
直腸瘤で便秘になっている場合は、下剤を使用するか、便を柔らかくするような生活指導を行います。
保存的治療では違和感が改善しない、排便困難が下剤ではコントロールできない場合は、手術を行います。
手術では、弱くなった支持組織を補強し、脱出しないようにします。
なかでも、女性泌尿器科や、ウロギネ外来という骨盤臓器脱を含めた女性特有の疾患の専門家もいます。
直腸瘤の予防法
直腸瘤の原因として、出産や加齢性変化など、どうしても避けられないこと少なくありません。
排便時に腹圧をかけないよう排便習慣をつけること、運動習慣をつけ骨盤支持組織の筋力低下をさけることなどが、ご自身で行えるセルフケアです。