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腰痛の治し方は?手術が必要なケース・予防方法・原因についても詳しくご紹介します

 公開日:2023/12/14
腰を押さえる女性

日常的に腰痛に悩んでいる方は、多いのではないでしょうか。腰痛の原因は様々考えられますが、原因がはっきりしないケースも多いとされています。

慢性的な腰痛に悩まされている方の中には、治し方がわからずあきらめてしまっている方もいるかもしれません。

しかし、適切な対処をすれば症状を抑えられる可能性は十分にあるでしょう。

今回は、腰痛の治し方について解説します。腰痛により手術が必要になるケース・予防の方法・腰痛が発生する原因についても紹介します。

今回の記事で腰痛の治し方についての理解を深め、快適な生活を送るための参考にしていただけると幸いです。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

プロフィールをもっと見る
徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

腰痛の治し方は?

階段で腰を押さえる男性
腰痛の治し方を検討する際に、まずは腰痛が起こっている原因を明確にする必要があります。腰痛が発生する原因については後述しますが、その種類は多いため特定が難しい面もあります。

腰痛の基本的な治し方としては、日常生活における姿勢・生活環境・職場環境を改善しながら痛みを緩和させていく方法が一般的です。

基本的に手術は実施せず、薬物療法を用いるケースが多いです。湿布薬・ビタミン薬・血流改善薬などの投与を実施して経過観察を行う事例が多いでしょう。

また、身体を温めて血流を良くする温熱療法や、身体の筋肉を伸ばして症状の緩和を図る牽引療法なども実施されます。

腰痛で手術が必要なケースとは?

治療院
腰痛は基本的に手術を行わず、前述のような治療で改善を図ります。しかし、以下のような状況が見られた場合は、手術を検討するケースもあります。

  • 日常生活に支障をきたすほどの強い痛み
  • 排便・排尿が困難になるほどの神経障害を発症している場合
  • 神経の圧迫により足の筋力低下がみられる場合

腰痛は、何らかの原因で神経が圧迫されることによって引き起こされるものです。そのため、手術により神経を圧迫している要因を外科的に取り除く処置をします。

手術については、専門医と十分に相談したうえで実施するかどうかを決めましょう。

手術を受けることでどのようなメリットとデメリットがあるのか、納得してから治療を受けることが大切です。

腰痛の予防方法は?

腰を押さえる若い女性
腰痛は、日常的に正しく対策をすれば、十分な予防効果が得られます。普段の生活におけるちょっとした意識で、腰痛予防につなげられるでしょう。

また、日常生活で使っている道具を交換することで、腰痛予防の効果が得られる場合もあります。

すでに腰痛の症状が表れている方でも、正しい予防方法を取り入れることで症状の進行を防いだり状態の緩和効果が得られたりする場合もあるでしょう。

まずは自分でできる方法を取り入れて、腰痛対策に取り組んでみてはいかがでしょうか。

姿勢に気を付ける

普段の生活における姿勢に気を付けることで、腰痛予防効果が得られます。徒歩による移動中・座っているとき・立っているときなどに、意識的に背筋を伸ばしましょう。

長時間のデスクワークの際は、自分に合った大きさの椅子を選んだり、定期的に休憩して背筋を伸ばすストレッチをしたりすることもおすすめです。

特に、荷物の運搬などの作業をしている人は腰痛になりやすいです。姿勢に気を付けながら作業をしないと、すぐに腰に負担がかかってしまいます。

荷物を持ち上げる際は、対象物に近づき足を使い、背中を曲げないように意識しましょう。こうすることでぎっくり腰の発生も防げます。

身体が沈み込む寝具を避ける

寝室
腰痛対策においては、寝具選びも重要なポイントとなります。特に、身体が深く沈み込みすぎる寝具は、腰痛発生の原因となる場合があるため避けましょう。

近年は、感触が良く気持ちの良いふわふわの寝具が増えています。しかし、腰痛に悩まされている方にとっては、柔らかすぎて深く沈み込んでしまう寝具は相性が良くありません。

身体が深く沈み込み、「く」の形に身体が曲がってしまい、腰に負担がかかってしまうと考えられています。

逆に、硬すぎる寝具もおすすめできません。お尻と肩だけで身体を支えることになってしまい、腰に負担がかかりすぎてしまう恐れがあります。

寝具を選ぶ際は、適度な柔らかさが保たれるものを選ぶと良いでしょう。もし不安であれば、専門医におすすめの寝具について確認してみると良いでしょう。

腹筋を鍛える

腹筋を鍛えることにより、腰痛予防の効果が得られます。ただ、やみくもに腹筋を鍛えても効果が上がらないばかりか、逆に腰に負担をかけてしまいかねません。

例えば、以下のような簡単な腹筋運動から始めましょう。仰向けに横になり、膝を少し曲げて手を頭の後ろで組みます。そのまま頭を起こして自分の腹部を繰り返し見る程度の運動で問題ありません。

腰痛予防に効果のある腹筋の鍛え方は、他にも様々あります。自分に合ったやり方・量で取り組めるようにするため、専門医などと相談しながら実行するのが良いでしょう。

腰痛の原因

ベッドの上で腰を押さえる女性
腰痛が発生する原因としては、どのようなものがあるのでしょうか。腰痛対策や治し方を考えるうえで、腰痛が起こる原因をしっかりと理解することは必要不可欠です。

腰痛の原因には、腰やその周辺の部分に問題がある場合が多いです。しかし、それだけではなく身体のあらゆる部位の問題が腰痛を引き起こしている可能性があります。

さらに、ストレスなど心因性の腰痛もあると考えられています。様々な要素を考慮し、自身の腰痛を引き起こしている原因を把握して、適切な対策を取りましょう。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアは、腰や臀部及び下肢にしびれや痛みが生じる病気です。背骨が横に曲がったり、荷物を持つ際にさらに強い痛みを起こす場合もあります。

椎間板ヘルニアは、腰付近にある椎間板が何らかの原因で変形して神経を圧迫することで発生します。加齢・喫煙・無理な姿勢での動作などが主な原因です。

椎間板ヘルニアの治療は、主に薬物療法を取り入れます。また、身体を温めて血行を良くすることで症状の緩和を図る方法もあります。

他に、牽引療法や運動療法も一般的な方法です。それでも症状の改善がみられない場合や、神経症状・排尿障害がみられる場合は手術を実施するケースもあります。

腰部脊柱管狭窄

腰部脊柱管狭窄(ようぶせきちゅうかんきょうさく)は、背骨・椎間関節から突出した骨などが神経を圧迫することで痛みが発生する病気です。

主に、加齢によって発生するケースが多いと考えられています。腰部脊柱管狭窄では、腰の痛みよりも太ももや膝などでのしびれを感じるケースが多いでしょう。

続けて歩行をするのが難しくなり、さらに症状が進行すると下肢の筋力の低下・排尿障害・尿漏れなどがみられるようになります。

基本的な治療方法は、リハビリやコルセットによる腰の固定などです。症状の改善がみられない場合は、手術を行うケースもあります。

筋肉や骨の痛み

筋肉や骨の損傷により痛みが発生することで、腰痛に発展するケースがあります。筋肉や骨の損傷は、意外に身近に起こり得るため注意する必要があります。

例えば、荷物を無理な姿勢で持ち上げたり、運動中に誤った身体の動かし方をしたりすることも原因になり得るでしょう。

見た目で明らかな損傷が起こっていなくても腰痛の要因になり得ます。

交通事故や転倒による外傷を受けた場合も、腰痛に発展するケースは多いでしょう。筋肉や骨を損傷させてしまった疑いがある場合は、早めに専門医に相談すると良いでしょう。

消化器系の病気

消化器系の病気が原因で腰痛になるケースもあります。胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胆石・胆嚢炎・膵臓炎などの消化器系の病気に罹患している方は、腰痛を併発するケースが多いです。

消化器系の病気を原因とした腰痛を発症した場合は、同時に腹痛・血便・吐き気・嘔吐などの症状を伴うケースが多いです。

腰痛とともにこれらの症状がみられた場合は、消化器の異常がないか検査を受ける必要があります。

腰痛に関して専門医に相談する中で、消化器系の異常が見つかるケースも少なくありません。

婦人科系の病気

婦人科系の病気を起因として、腰痛を発症するケースもあります。子宮内膜症や子宮がんなどの病気に罹患している女性は、腰痛を併発することが多いです。

また、月経困難症が腰痛を伴うケースも多いと考えられています。ストレスが起因となることが多い病気であるため、神経質な女性が罹患しやすいといわれています。

腰痛とともに、おりものの量が多くなったり不正出血が起こったりした場合は、婦人科系の病気に関しての検査を受けると良いでしょう。

泌尿器系の病気

泌尿器系の病気を原因として、腰痛を併発するケースも多いです。尿路結石・腎結石・腎盂腎炎・前立腺がんなどの病気が代表例として挙げられます。

泌尿器系の病気を起因とした腰痛の場合は、排尿障害・排便障害・血尿・血便を伴うケースが多いです。

泌尿器系の病気は、放置していると激痛を伴う症状に発展してしまう恐れがあるため、早めに対処することをおすすめします。

腰痛程度であれば大したことはないと安易に自己判断せず、早めに専門医に相談する方が良いでしょう。

心因性のもの

悩みを抱える男女
ストレスなど、心因性の要因により腰痛を発症するケースも少なくありません。ストレスが原因で脳機能に影響を及ぼし、身体に様々な不調をきたしてしまうと考えられます。

特に腰痛に影響を及ぼすと考えられているのが、血行不良です。過度なストレスにより脳機能が正常に働かなくなり、腰に十分な血流が行き届かなくなります。

その結果、腰痛を発症すると考えられます。また、腰痛の辛さがストレスとなり、さらに症状を悪化させる悪循環に陥ってしまいかねません。

医療機関を受診する場合に伝えるべきポイントは?

医療機関に相談する女性
多少の腰痛は仕方がないとあきらめてしまっている方も多いかもしれません。しかし腰痛は、前述のように様々な病気が原因となっている可能性があります。

腰痛に関する相談をする中で、危険な病気が早期に発見される事例も少なくありません。専門医に相談することで、症状が緩和する可能性も十分あります。

腰痛を患った場合は、早めに相談すると良いでしょう。問診時に伝えるべきポイントを以下でまとめているので、医療機関を受診する際の参考にしてみてください。

いつから痛み出したか

腰痛の相談をする際には、いつ頃から痛み出したのかを伝えることが大切です。自覚症状が起こってからどのくらいの時間が経過しているのかを確認する必要があります。

また、時間の経過とともに痛みがどのように変化しているのかも伝えられると良いでしょう。あるいは、痛みがほとんど変化していない場合は、その旨も伝える必要があります。

発症の時期は、腰痛の原因を特定するうえで重要な意味を持つことが多いです。医療機関を訪れる前に、発症時期・症状の変化・現状をまとめておくと良いでしょう。

どこが痛いのか

具体的に、腰のどのあたりが痛むのかを医療機関で伝えられると良いでしょう。腰痛と一言でいっても、痛みを感じる場所によって原因が異なるケースが多いためです。

また、単に腰痛なのか、背骨・臀部・下肢など他にも痛みを感じる部位があるのか、説明できると良いでしょう。

人間の身体は、様々な部位が関連し合って構成されています。特に腰は背骨や臀部をつなぐ部位であり、多種多様な神経が集中している部位です。

腰のどのあたりが痛いのか、あるいは周辺の部位にも痛みが及んでいるのかを医療機関で伝えられれば、病気の原因特定において重要な判断材料のひとつになるでしょう。

どんな痛み方か

どのような腰痛を感じるのか、痛み方を伝えられると良いでしょう。痛みが継続するのか、それとも時々発生するのか、などの痛みの起こり方をできるだけ正確に伝えましょう。

また、しびれを伴っているのか、痛みの強さはどれくらいなのかも伝えられるのが理想的です。治療方法などを決める際、痛みの度合いを判断材料とするケースも多いです。

どんな時に痛みが強くなるか

痛みが強くなるのがどのような時なのかも、できるだけ正確に伝えましょう。腰を曲げるときに痛むのか、歩くときに痛みを感じるのか、などを伝えます。

痛みを引き起こす動作によって、腰痛の原因を特定するうえでの重要な情報になります。また、何もしなくても痛みが継続する場合も、その旨を正確に伝えましょう。

医療機関での問診の際にも、実際に身体を動かしながら痛みの具合を確認します。

腰痛に伴って出てきた他の症状にも注意

両手で腰を押さえる人
腰痛に伴って発生する他の症状にも、十分に注意する必要があります。腰痛の原因の中には、他の重大な病気もあるためです。

例えば、排尿障害や尿漏れなどがみられる場合は、腰部脊柱管狭窄や泌尿器系の病気に罹患している可能性が疑われるでしょう。

腰の痛み以外に、しびれ・麻痺・発熱・排便及び排尿の困難さなどの状態がみられる場合は、特に早めに専門医に相談することをおすすめします。

日常生活で注意すべきポイントは?

伸びをする女性
日常生活において、腰痛予防に注意するべきポイントはいくつかあります。例えば、以下のような点に注意すると良いでしょう。

  • 普段から姿勢を正す
  • 長時間のデスクワーク時は定期的にストレッチなどをして背筋を伸ばす
  • 無理な体制で荷物を持ち運ばない
  • 重い荷物は複数人で運んだり機械などでの自動化を検討したりする
  • 腹筋を適度に鍛える

腰痛対策は、日常生活においても取り組める部分が多いです。できるところから実践して、腰痛の発生及び緩和に努めましょう。

編集部まとめ

腰に手を当てる人
慢性的な腰痛に対して、仕方がないとあきらめてしまっている方もいるのではないでしょうか。しかし、場合によっては重大な病気と関連がある可能性があります。

腰痛を感じている方は、自己判断をせずに早めに専門医に相談をするのが良いでしょう。その際には、痛みの発生時期・強弱・痛み方・痛みを誘発する行動などをまとめておくことをおすすめします。

日常生活において、腰痛予防や症状の緩和に効果のある取り組みをするのも良いでしょう。普段の生活からできる対策を取り入れて、予防に努めてください。

この記事の監修医師