臍ヘルニアとは?赤ちゃんだけでなく大人も発症する?手術が必要?

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臍ヘルニアとは
おへその内側にある穴に腸管が入り込んで、おへそが大きく飛び出した状態のことです。もともとは胎児のときに臍の緒(へそのお)が通っていた穴で、ほかの部位に比べて弱い部分でもあります。
生まれてしばらくの間は穴があいたままになっていて、ここに内臓である腸管が入り込んでしまうと、おへそが大きく腫れたように。臍ヘルニアは赤ちゃんだけでなく、大人になっても発症することがあります。
ドクターの解説臍ヘルニアの症状
臍ヘルニアになっていた場合、盛り上がったおへそを押し込むことができ、おへその中にある腸管の内容物によってグジュグジュとした感触があります。
臍ヘルニアの大きさは、その時々で変化します。始めは小さなサイズですが、泣くなどの強い圧力が繰り返しお腹に加わって少しずつサイズが大きくなっていきます。また、排便などで腹圧をかけたときにだけ大きく突出し、小さく戻るのも特徴です。 まれに飛び出した腸管がおへその穴で血流障害を起こし、ヘルニア嵌頓(かんとん)になることがあります。子どもの臍ヘルニアに比べて、大人になると14倍も嵌頓を起こしやすいようです。嵌頓になると、緊急手術が必要になることもあります。おへその盛り上がりが戻らなくなって、痛みや吐き気を伴うだけでなく腸管が壊死するリスクがあるからです。
ドクターの解説臍ヘルニアの原因
子どもが臍ヘルニアになる大きな原因は、臍の緒が取れたあとの穴がふさがっていないことです。臍の緒は筋膜にまで穴が通じていて、傷が治るのと同じ原理で穴が徐々に小さくなり閉じていきます。
しかし、穴がまだ閉じきらない新生児期や乳幼児期はお腹の内側から強い圧力が加わるとヘルニア(脱腸)を起こしてしまいます。全ての赤ちゃんは臍ヘルニアを起こす可能性を持っていて、10人に約1人の新生児が臍ヘルニアを発症しており、低体重児ではさらに発生しやすくなっています。 大人で臍ヘルニアを起こすのは、肥満、妊娠、腹水の貯留など高い腹圧が長期的にかかっていることが原因とされています。当然、臍の緒があった穴は閉じている状態ですが、腹筋の低下や筋膜の代謝がうまくいかないことで、内臓を抑える力が弱くなって内臓が飛び出ると考えられています。
ドクターの解説臍ヘルニアの検査法
臍ヘルニアの診断には超音波検査とCT検査を行います。ヘルニアを起こしている出入口の大きさや、飛び出している臓器も確認できます。
ドクターの解説臍ヘルニアの治療方法
子どもの臍ヘルニアの約9割は自然に治るので今まで経過観察をしていましたが、2000年頃からは積極的に圧迫療法をするようになりました。圧迫療法は早く受けるほど効果的で、ヘルニアが大きくなってしまうと治療期間が長くなり、思ったような形にならないことも。治らなかった・形が悪く治ったという場合には、小児外科で1~2歳頃に手術を行います。
大人の臍ヘルニアは自然に治ることはないので、治療方法は手術になります。穴が小さければ縫い縮めていくこともできますが、耐久性が弱く再発もあります。基本的には大人であれば人工膜(メッシュ)を使って補強します。手術には切開法と腹腔鏡があり、身体の状態によって選択します。
ドクターの解説臍ヘルニアの予防方法
子どもであれば、おむつ替えなどで泣いているときにおへそが膨らんでいないか観察して、気になれば、触って感触を確かめておくことです。症状を疑うときには、自宅にあるガーゼで圧迫しながらかかりつけの小児科を受診してください。
大人は腹筋が弱くなりすぎないように注意して、普段から適度な筋トレを行うことです。また、肥満にならないように食事や運動に気をつけて過ごしましょう。




