静脈瘤の症状・原因・治療方法とは?
静脈瘤(読み方:じょうみゃくりゅう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
河瀬 勇 医師(千葉静脈瘤クリニック 院長)
静脈瘤とは
下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)は足の血管の病気です。下肢とは足のことで、静脈瘤は血管(静脈)が文字どおりコブ(瘤)のようにふくらんだ状態のことをいいます。
下肢静脈瘤は良性の病気ですので急に悪化したり命の危険はありませんので安心して下さい。しかし、足のだるさや、むくみなどの症状が慢性的におこり生活の質(QOL)を低下させます。
まれに湿疹ができたり、皮膚が破れる潰瘍(かいよう)ができ重症になることがあります。このような方は、できるだけ早く専門の病院を受診されることをお勧めいたします。
引用:コヴィディエンジャパン(メドトロニック)「知ってください下肢静脈瘤のこと」
http://www.think-vein.jp/about2.html
静脈瘤の症状
下肢静脈瘤のおもな症状はふくらはぎのだるさや痛み、足のむくみなどです。これらは1日中おこるのではなく、長時間立っていた後や、昼から夕方にかけておこります。夜、寝ているときにおこる“こむら返り(足のつり)”も下肢静脈瘤の症状です。また、皮膚の循環が悪くなるため、湿疹や色素沈着などの皮膚炎をおこす事があります。皮膚炎が悪化すると潰瘍ができたり、出血することがあります。
引用:お茶の水血管外科クリニック
http://www.kekkangeka.com/kashi/index.html
静脈瘤の原因
心臓から脚に送られた血液の還流が正常に行われなくなることで引き起こされます。血液還流が正常に働かなくなる原因を整理すると、以下のようになります。
① 下肢の筋肉が衰えている
② 呼吸が浅いため、胸腔内の陰圧状態が不十分である
③ 腹腔内圧が上昇している
④ 血液粘度が濃い(いわゆるドロドロ血)
⑤ 長時間の逆流負荷(立ちっぱなし)や過度な運動により逆流防止弁が壊れる
その他にも、肥満・背が高いといった体型、遺伝なども影響しています。
また、女性ホルモンの影響で血管硬度が柔らかく、瘤ができやすい状態にある妊娠・出産も原因になります。引用:北青山Dクリニック
https://www.varixlaser.com/whats-varix/09.html
静脈瘤の治療方法
下肢静脈瘤の治療法には弾性ストッキングを使う圧迫療法、注射で静脈を固める硬化療法、そして手術の3つがあります。手術には、静脈を引き抜くストリッピング手術と、レーザーで静脈を焼く血管内レーザー治療の2つがあります。それぞれ良い点と悪い点があり、治療後の痛みの程度や治療費に差があります。大切なことは静脈瘤のタイプと程度を正しく診断し、ご本人の年齢や生活習慣と希望をよくうかがって、適切な治療法を選択することです。
引用:お茶の水血管外科クリニック
http://www.kekkangeka.com/kashi/index.html
近年、高齢者で足のむくみや足の皮膚の炎症を訴えて来院する人が増えています。おもに膝や腰が悪くなって動きづらくなり、かといって寝てしまうと寝たきりになってしまうので、椅子やソファにずっと座っているという人です。こういう人はただ座っているだけで足がむくんだり、皮膚に炎症が出たりしています。症状は似ていますが静脈瘤が見られないので下肢静脈瘤ではありませんが、それだけむくみが深刻な現代病であることの表れでもあり、生活に及ぼす影響も大きいと言えます。
下肢静脈瘤もこういったむくみと同様、命に危険を及ぼしたり将来的に切断する可能性がある病気ではありません。そのため治す・治さないといった判断も患者さん自身に任せる部分が多いです。けれども多少でも気になるのであれば、思い切って治してしまった方がいいでしょう。少しでも快適な老後を送るためにも、生活に不便を感じていたり足に不快を感じるのであれば、静脈瘤を放置せず積極的に治療を受けて、少しでも快適な老後を過ごす方がよいと思われます。高齢になるほど治療も難しくなり、合併症を引き起こす場合もありますので、既に静脈瘤が確認できている方は一度、専門医の診察を受けてみることをおすすめします。