ヘモクロマトーシスの症状や原因、治療方法とは?
更新日:2023/03/27

目次 -INDEX-
ヘモクロマトーシスとは
ヘモクロマトーシスは鉄代謝異常による疾患です。鉄は生体に必要不可欠な元素である一方で、過剰に存在するとラジカル産生を容易に引き起こし、心不全、不整脈、肝不全、内分泌・発育障害、発がんなどの重篤な臓器障害を呈するため、生体内で鉄は厳密に制御されています。しかし、何らかの原因によってこの調節が崩れ、異常に増加した鉄が諸臓器の実質細胞に過剰に沈着し、その結果、細胞傷害、組織障害、臓器機能不全をもたらす病気がヘモクロマトーシスです。 引用:難病情報センター http://www.nanbyou.or.jp/entry/869
監修ドクターのコメントヘモクロマトーシスとは、何らかの原因により全身の臓器に鉄が蓄積し、障害をきたす病気です。肝障害(徐々に肝硬変→肝癌)や皮膚色素沈着、心筋障害、甲状腺機能低下症、膵臓に沈着して糖尿病などを起こします。原因には遺伝性と後天性があり、遺伝性ヘモクロマトーシスは、日本人の発症は珍しく、白人の方に多い疾患といわれています。後天性ヘモクロマトーシスは、頻回の輸血治療や鉄剤の静脈注射によって発症することがあります。
ヘモクロマトーシスの症状
組織学的に鉄の沈着が認められても、症状が現れるまでに20~40年を要するため、40~60歳での発症が多くみられます。臨床的には肝硬変、糖尿病、皮膚色素沈着、心不全などが主徴として認められます。肝不全や心不全は死亡原因の主なものになります。引用:難病情報センター http://www.nanbyou.or.jp/entry/869
ドクターの解説多くの場合、無症状もしくは非特異的な全身症状のみで、症状だけでの診断は困難です。採血検査や家族歴から診断します。特に肝臓に対して、CT・MRIで肝硬変・肝癌の有無を確認すること、また肝生検などで組織への鉄の沈着を証明することもあります。
ヘモクロマトーシスの原因
原発性では、原因遺伝子の一部が明らかとなり、染色体第6番にあるHFE遺伝子が原因遺伝子として同定され、常染色体劣性遺伝をすることが知られています。他にも、原因遺伝子が報告されてきており、今後は、遺伝子診断により早期発見・早期治療が可能になると考えられています。ヘモクロマトーシスは、欧米では発症頻度が高いことが知られていますが、日本を含めたアジアではまれであるとされています。 続発性は、大量輸血、鉄剤・食事鉄の過剰摂取、再生不良性貧血、肝疾患により引き起こされることが知られています。 引用:KOMPAS 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000648.html
ヘモクロマトーシスの検査法
症状に基づいてヘモクロマトーシスを診断するのは困難です。しかし、血液検査で鉄の量と鉄の処理に関与する2種類のタンパク質の濃度を測定することで、精密検査が必要な人を特定できます。そのタンパク質とは、フェリチン(鉄を貯蔵するタンパク質)とトランスフェリン(赤血球の外にいる鉄と結合して血液中で鉄を運ぶタンパク質)です。フェリチン濃度とトランスフェリン中の鉄の割合(飽和度)が高い場合には、通常は遺伝子検査を行って診断を確定します。肝臓が損傷しているかどうかを調べるには、肝生検が必要です。 ヘモクロマトーシス患者には、遺伝子検査を受けることが勧められ、その第1度近親者(兄弟姉妹、親、子ども)は、ヘモクロマトーシスのスクリーニング(鉄の量を測定することによります)を受ける必要があります。 引用:MSDマニュアル家庭版 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/13-血液の病気/鉄過剰症/ヘモクロマトーシス
監修ドクターのコメント特異的な症状はないので、検診などで偶然見つかる場合が多いです。CTや超音波検査による画像検査で、肝臓の所見などで疑い、採血で確認いたします。
ヘモクロマトーシスの治療方法
引用:MSDマニュアル家庭版 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/13-血液の病気/鉄過剰症/ヘモクロマトーシス通常は、血液の除去(瀉血)が最善の治療法です。瀉血によって器官の損傷が進行するのを防げますが、すでに損傷した器官は元に戻りません。瀉血は、最初は週1回、またはときに週2回行います。フェリチン濃度とトランスフェリン中の鉄の割合が正常になるまで、瀉血の都度、約500ミリリットル(1単位)の血液を抜き取ります。その後、鉄貯蔵量を正常に保つため定期的に瀉血を行います。
監修ドクターのコメント鉄キレート剤、しゃ血(血を抜く)や鉄制限食により、過剰な鉄分を除去することが中心となります。ただし肝硬変まで悪化していると改善しないため、肝腎機能の経過を見ていくことが大切です。



