痔瘻(肛門周囲膿瘍)の症状・原因・治療方法について
痔瘻(肛門周囲膿瘍)(読み方:じろう(こうもんしゅういのうよう))とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
寒河江 三太郎 医師 厚木胃腸科医院 院長
痔瘻(肛門周囲膿瘍)とは
肛門の内側にある肛門陰窩という窪みから細菌が侵入し、これにつながる肛門腺に感染を起こし、膿瘍を形成した後、肛門内から外の皮膚側まで膿の通る管(トンネル)ができた状態です。
引用:松島病院 大腸肛門病センター
http://www.matsushima-hp.or.jp/diagnosis/04/
痔瘻(肛門周囲膿瘍)の症状
まず、肛門の周囲が化膿して膿がたまり、はれてズキズキと痛み、時には38~39℃の発熱を伴います(肛門周囲膿瘍)。肛門周囲膿瘍が進みたまった膿が出ると症状は楽になりますが、膿のトンネルができているので(痔ろう)、常に膿が出たりします。
こうした痔ろうや、その前段階の肛門周囲膿瘍は、市販薬では治すことができません。これらの症状が疑われたら、なるべく早く専門医を受診してください。引用:ボラギノール(天藤製薬)
http://www.borraginol.com/knowledge/jirou/
痔瘻(肛門周囲膿瘍)の原因
痔ろうの主な原因は、下痢等によって肛門の組織に細菌が入り込むこととされています。歯状線には、「肛門陰窩(こうもんいんか)」と呼ばれる上向きのポケットがあり、粘液を出す「肛門腺」と呼ばれる腺があります。小さなくぼみなので、通常はここに便が入り込むことはありませんが、下痢をしていると、便が入りやすくなり、肛門腺に大腸菌等の細菌が入り込むことがあります。
この肛門腺に大腸菌が入った際に、付近に傷があったり、体の抵抗力が弱っていたりしていると、感染を起こして化膿し、肛門周囲膿瘍になるのです。さらに肛門周囲膿瘍が進行し、肛門の内外をつなぐトンネルができると、痔ろうとなります。引用:ボラギノール(天藤製薬)
http://www.borraginol.com/knowledge/jirou/
痔瘻(肛門周囲膿瘍)の検査法
痔瘻診断に有用な検査法には, 視診, 触診, 肛門指診, 肛門鏡検査のほか, 画像診断として経肛門的超音波検査, CT, MRI検査, 瘻孔造影などがある. 中でも肛門指診が最も大切な検査であり熟練を要す.
引用:肛門疾患診療ガイドライン2014(日本大腸肛門病学会)
https://www.coloproctology.gr.jp/files/uploads/肛門疾患診療ガイドライン2014-2刷.pdf
痔瘻(肛門周囲膿瘍)の治療方法
肛門周囲膿瘍の治療の原則は切開排膿とドレナージです。広い範囲に化膿性炎症である蜂窩織炎を起こしている場合や、ドレナージでよくならない場合には抗生剤の投与を行う場合もあります。
痔瘻の場合には程度と広がりによって、さまざまな治療を選択します。基本的には長期にわたると肛門周囲膿瘍を繰り返してしまうため膿瘍の再燃防止のため外科的治療が行われます。ただし、クローン病などの炎症性腸疾患によって生じた痔瘻は、外科的な根治手術により傷口が治らなくなる場合もありますので、腸管の精査や全身的な治療が優先されます。炎症性腸疾患に伴う痔瘻や肛門周囲膿瘍の場合には、持続的にドレナージするためにシートン法というヒモを通して留置する治療を行います。引用:徳洲会グループ
https://www.tokushukai.or.jp/treatment/digestive/ji_rou.php