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「腰椎分離症」の初期症状はご存じですか? なりやすい人の特徴・予防法も医師が解説!

 公開日:2024/06/06

小学校高学年から高校生くらいの時期に発症することが多いとされる「腰椎分離症」。治療の開始が遅れると、腰痛や下肢のしびれなどの後遺症が残ることもあり、注意が必要な疾患です。腰椎分離症になりやすい人や心がけたい予防法などについて、「まつど西口整形クリニック」の後藤先生に解説していただきました。

後藤 達広

監修医師
後藤 達広(まつど西口整形クリニック)

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愛知医科大学医学部卒業。その後、中部ろうさい病院、東京女子医科大学整形外科、亀田総合病院スポーツ医学科で経験を積む。2013年、千葉県松戸市に位置する「まつど西口整形クリニック」を継承開業。日本整形外科学会専門医・認定スポーツ医。東京ヤクルトスワローズチームドクター。

腰椎分離症とは?

腰椎分離症とは?

編集部編集部

まず、腰椎分離症について教えてください。

後藤 達広先生後藤先生

一般的に、スポーツのやりすぎによって、腰の骨に炎症や疲労骨折が起こる疾患です。中学生くらいのスポーツ選手に発症しやすいとされています。中学生くらいの成長期の子どもは骨が未発達であるため、それくらいの時期の子どもがなりやすいですね。

編集部編集部

なぜ、疲労骨折が起きるのですか?

後藤 達広先生後藤先生

ジャンプや腰をねじる動きなどを繰り返しおこなうことにより、腰椎に負荷がかかって疲労骨折してしまうと言われています。疲労骨折になりやすいのは、特に第5腰椎です。

編集部編集部

第5腰椎とは?

後藤 達広先生後藤先生

そもそも、腰椎は「椎骨」と呼ばれる骨が5つ連なった状態で構成されています。第5腰椎は、上から5番目の椎骨です。

編集部編集部

椎骨について、もう少し詳しく教えてください。

後藤 達広先生後藤先生

椎骨はリング状になっており、前方は「椎体」、後方は「椎弓」「上関節突起」「下関節突起」「横突起」「棘突起」からなります。腰をねじったりジャンプしたりする動きを繰り返すと、椎弓に負担がかかって骨が炎症を起こします。すると骨にひびが入り、疲労骨折を起こしたり分離したりしてしまうことがあるのです。

腰椎分離症の症状とリスク

腰椎分離症の症状とリスク

編集部編集部

腰椎分離症を発症すると、どのような症状が表れるのでしょうか?

後藤 達広先生後藤先生

腰痛が出るようになります。特に、腰を反らしたり、ひねったりしたときに痛みを感じることが多いとされています。

編集部編集部

進行するとどうなるのですか?

後藤 達広先生後藤先生

進行すると、スポーツをしているときだけでなく、日常生活でも痛みを感じることがあります。さらに放置すると、やがて骨のひびが入った部分がきちんとつながらず、「偽関節」になってしまいます。偽関節とは、本来つながっているはずの骨の部分がつながらずに、不安定で関節のようになる状態を指します。

編集部編集部

偽関節になるとどうなるのですか?

後藤 達広先生後藤先生

加齢とともに、分離した腰椎が前後にずれてしまうことがあります。これを「腰椎分離すべり症」と言い、腰痛のほかに、神経が圧迫されることによる痛みやしびれが生じることもあります。

編集部編集部

腰椎分離症は、早めに治療しなければならないのですね。

後藤 達広先生後藤先生

そのとおりです。腰椎分離症はしばらく休んでいると痛みが治り、スポーツを再開できることが多いので、「つい、治療せずに放置してしまった」というケースが少なくありません。しかし、そうなると治癒が難しくなり、いずれ腰椎分離すべり症へ進行するリスクが高まります。必ず医師による診察を受け、適切な治療を受けましょう。

腰椎分離症の治療と予防法

★★

編集部編集部

腰椎分離症は、どのように治療するのですか?

後藤 達広先生後藤先生

まずは正しく分離している箇所を調べるためレントゲン検査や、必要に応じてCT検査やMRI検査などをおこないます。ただし、早期の場合にはレントゲン検査だけで正しく診断することは難しいため、CTやMRIの検査をおこなうことが望ましいとされています。

編集部編集部

治療法について詳しく教えてください。

後藤 達広先生後藤先生

早期に発見できれば保存療法が適用となります。具体的には、運動を中止して安静にすること、それからコルセットを着用して患部を固定することが必要です。基本的に固定期間は運動が禁止されますが、骨の癒合状況を見ながら再発予防を目的とした運動療法などを開始します。

編集部編集部

再発予防を目的とした運動療法とは?

後藤 達広先生後藤先生

以前と同じような体の使い方をしていれば、再び腰椎分離症を発症してしまうかもしれません。そのため、腰に負担をかけない体の使い方を学び、再発予防とパフォーマンスの改善を目指すのです。また、腰を支える筋肉を鍛えることも再発予防につながります。

編集部編集部

別の部位の筋肉を鍛えることも必要なのですね。

後藤 達広先生後藤先生

そうですね。そのほか、股関節や背中の可動性を高めておくことも、再発予防には重要な要素です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

後藤 達広先生後藤先生

腰椎分離症は、早期に発見して治療をすれば、基本的には完治を見込める疾患です。一般に完治までには3カ月以上かかるとされており、その期間はスポーツを休まなければならないので、腰椎分離症を発症しても無理にスポーツを続けてしまう子どもも少なくありません。しかしそうすると、将来的に腰椎分離すべり症の発症リスクを高めることになり、場合によっては手術が必要になることもあります。腰椎分離症を発症した場合には適切に治療をおこなうこと、そしてMRI検査で再度評価し、スポーツを再開するタイミングをきちんと見定めることが必要です。

編集部まとめ

腰椎分離症は中学生くらいの子どもに多く発症するため、コーチや監督などの指導者や親が疾患についての理解を深め、子どもをサポートすることが重要です。子どもの将来的な健康のためにも、疾患を発症したら適切に対処して、無理をさせないようにしましょう。

医院情報

まつど西口整形クリニック

まつど西口整形クリニック
所在地 〒271-0091 千葉県松戸市本町19-16 松戸ウエストビル2F
アクセス JR「松戸駅」 徒歩1分
診療科目 整形外科、リハビリテーション科

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