白板症の症状や原因、治療法とは?
白板症とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
監修歯科医師:
金箱 志桜都(栗林歯科医院)
東海大学医学部付属病院にて2年間の研修の後に、東海大学医学部付属病院麻酔科及び、千葉県浦安市の栗林歯科医院にて勤務。
現在、歯周病治療、歯科恐怖症患者や全身管理が必要な患者さんへの歯科治療を中心に診療している。
【資格】
・歯科麻酔学会認定登録医
・歯科恐怖症学会認定医
【所属学会】
・日本歯科麻酔学会
・日本歯周病学会
・日本臨床歯周病学会
・歯科恐怖症学会
白板症とは
白板症とは、口腔内の粘膜の部分に白い病変がみられることをいいます。放っておくとがんになることもある口の中の病気です。
どんな症状が現れるの?
口の中に白い病変ができ、こすってもとれないものを白板症といいます。ほっぺの内側や舌に多く、歯肉にできることもあります。比較的頻度の高い病気とされる白板症ですが、悪性化する可能性があり、特に舌にできた場合には注意が必要です。
びらんを伴う場合には、食事のときなどものがあたると痛みを感じたり、しみたりすることもあります。
口内炎とのちがいは?
口内炎は、はっきりとしたまるい輪郭がある浅い潰瘍のことをいいます。周りは赤く、痛みを伴います。白板症は、口内炎とは違って白く、形もまるいとは限りません。また、白板症のほとんどは無症状で痛みを伴うのは一部です。
白板症の原因は?
白板症のはっきりとした原因はわかっていません。男性の方が女性よりも2倍程度多いといわれています。
白板症の検査方法・診断方法は?
無症状で経過し、歯科を受診した際などに気付くことが多くあります。見た目で白板症と診断され、がん化の可能性があることから組織検査を行います。
白板症の病変部を拭って行う擦過細胞診、場合によっては組織をとって行う生検を行います。擦過細胞診で悪性の可能性があれば生検は必ず必要です。組織検査は局所麻酔で行い、5分程度で終わります。
生検でがんの診断がついた場合には、採血検査や画像診断、全身の精密検査なども必要になります。
金箱先生の解説
白板症は、他のいかなる疾患としても特徴付けられない著名な白色の口腔粘膜の病変のことを言います。正常な状態より角化しているため、白く見えます。形や大きさは様々です。白板症は前癌病変と言われ、生検の結果、がんではなくても定期的な診察が大切です。
白板症の治療方法
まずは病変部分に刺激を与えないようにします。禁煙や節酒をしたり、歯ブラシの使い方を見直したりするほか、義歯があたっていないかなどにも注意します。また、ビタミンBやAの不足が関係していることもあるため、ビタミンの補充などを行うこともあります。
刺激となっているものを除去したり、ビタミンA補充などの薬物療法を行ったりすることで改善、消失が得られれば、定期的な経過観察となります。
改善がない場合には外科的手術が推奨されます。完全に切除できたのちも10~20%で白板症の再発がみられるため、切除の有無にかかわらず、定期的な経過観察の対象となります。定期的な経過観察により早期発見できることから、1~25年の経過で8%の悪性化がみられるものの、治療成績は良好です。
薬での治療の場合
ビタミンAの不足により白板症をきたす場合には、ビタミンAの補充により症状の改善が得られる可能性があります。
ただし、薬物治療で治るのはなかなか難しく、潰瘍やしこりを伴う場合にはがんが疑われるため必ず組織検査をする必要があります。
金箱先生の解説
ビタミンA製剤を処方する先生もおられるみたいですが、普通の方がビタミンAのサプリメントを飲んでいれば、白板症にならないというわけではありません。
通院の頻度は、病気の状態にもよりますので、主治医に聞いてみてください。
手術・切除をする場合
白板症の切除では、舌の一部のみを切り取ります。局所麻酔で日帰り手術を行うこともありますが、病変の部位によっては全身麻酔で手術を行い数日間の入院となります。
白板症ががん化して浸潤している場合には、広範な切除になることもあるでしょう。その際には口から食事をとれるのが術後1~2週間後となるため、その間は点滴などで栄養をとることになります。
白板症を外科的手術ですべて切除した場合でも再発の可能性があるので、定期的な経過観察が必要です。切除した部分の病理組織が良性だった場合で、半年に一度の経過観察を行います。がんの可能性がある場合には厳重な経過観察が必要であり、2~3ヶ月に一度診察を行います。
金箱先生の解説
創部が治るまでは、短い期間で経過観察を行います。
その後、再発していないかを数ヶ月、半年と観察します。
病理検査の結果を受け、通院の頻度が変更になる可能性もあります。
・手術後、傷の完治にはどれくらい時間がかかるのか
小さい切除の場合は、1〜2週間で創部は閉じますが、切除した分引きつった感じなど、通常とは違う感じが残る場合があります。
天笠光雄らの報告では、再白板症158例の経過・転帰は、再発なし67例(42.4%),初 診時より縮小23例(14,6%),不変55例(34.8%),増大3例(1.9%)および悪性化10例(6.3%)と報告が上がっています。
白板症の予防方法
白板症は、口の中の刺激が誘因になることがあります。たばこや慢性的に義歯があたっているなど、慢性的な刺激は避けることをおすすめします。ビタミンAやビタミンBの不足も原因になることがあるため、日頃からバランスのよい食事を心がけてください。
もしかして白板症?初期症状・気になる症状を解説
ここでは白板症の初期症状や、白板症の疑いのある症状、病院へ行くべき目安や対処法などを解説します。
舌や頬の内側が白く変色している
白板症ができることが多い場所は、舌や頬の内側です。症状がないことも多く、歯医者で指摘されるケースが散見されます。白板症を認めた場合、がん化の可能性があるため医療機関を受診するようにしてください。
金箱先生の解説
患部に刺激となっている尖った入れ歯や歯がある場合は、歯科医院を受診されてください。
舌や歯茎など、口内が沁みるように痛む
舌にできることが多い白板症ですが、歯肉にできることもあります。粘膜が白くなるだけでなく、しこりができたり、びらんで痛みが伴ったりするときには、がん化の可能性を考えなくてはいけません。歯茎に白板症ができ、それががん化すると、知覚過敏を起こすようになります。
金箱先生の解説
もし痛みがある場合は、鎮痛剤を服用してください。ただしあくまで専門医を受診するまでの症状緩和です。
喉や奥歯の近くがひりひりする
白板症は喉にできることもあります。喉の白板症ががん化すると、固形物を食べたときに喉につかえる、息苦しいといった症状がでるかもしれません。
見えにくい部位なので白板症に気付きにくいですが、症状がある場合にはがん化の可能性もあるため医療機関を受診してください。
金箱先生の解説
痛み止めで痛みをごまかそうとせず、専門家を受診をお勧めします。
白板症についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「白板症」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
白板症の発症により口腔癌になる可能性はあるのでしょうか?
白板症と扁平苔癬のちがいはなんですか?
白板症の症状と見られる白い病変が勝手に取れることはありますか?
白板症の切除・手術をする際の費用はどれくらいですか?
まとめ
無症状で経過することも多い白板症ですが、がん化のリスクもあることから、気付いたときには必ず医療機関を受診してください。刺激の除去、切除で白板症の改善があった場合にも、再発の可能性があることから定期的に医療機関を受診し経過観察が必要です。
白板症と関連する病気
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白板症と関連する症状
「白板症」と関連している症状は2個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
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