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インフル流行の勢い衰えず「年末まで増加続く見込み」2県で警報レベル超え

 公開日:2023/11/09

2023年11月6日、厚生労働省は全国約5000の定点医療機関から2023年10月23~29日に報告されたインフルエンザの新規感染者数が、1機関あたり19.68人だったと発表しました。大きな流行が発生または継続しつつあることが疑われるということを示す「警報レベル」の基準を超えた自治体も2県出ています。このニュースについて吉野医師に伺いました。

吉野 友祐

監修医師
吉野 友祐(医師)

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広島大学医学部卒業。現在は帝京大学医学部附属病院感染症内科所属。専門は内科・感染症。日本感染症学会感染症専門医、日本内科学会総合内科専門医、日本医師会認定産業医。帝京大学医学部微生物学講座教授。

現在のインフルエンザの流行状況は?

厚生労働省が発表したインフルエンザの流行状況について教えてください。

吉野 友祐 医師吉野先生

厚生労働省が2023年11月6日時点で発表した内容によると、約5000箇所の定点医療機関で10月23日~10月29日の1週間に報告されたインフルエンザの患者数は9万7292人でした。2022年の同時期に報告されていた人数は159人だったため、現在の流行状況がわかると思います。1医療機関あたりの患者数は19.68人で、4週間以内に大流行が起きる可能性を示す注意報レベルの基準である1医療機関あたりの患者数10人を超えています。

全国の自治体のうち、注意報レベルの自治体は40都道府県、大きな流行が発生または継続しつつあることが疑われるということを示す警報レベルの基準を超えた自治体も2県出ています。1医療機関あたりの患者数が最も多くなったのは愛媛県で51.46人で、警報レベルの30人を大きく超えている状況です。次いで、埼玉県の33.08人、山梨県の29.56人、千葉県の29.25人の順で多くなりました。また、休校や学年・学級閉鎖をした小中高校や幼稚園なども全国で増加しており、保育所で28カ所、幼稚園で112カ所、小学校で2975カ所、中学校で1280カ所、高校で275カ所、それ以外で36カ所と、合計4706施設となりました。

インフルエンザ感染拡大への受け止めは?

インフルエンザの感染者が愛媛県では1機関あたり51.46人と、かなり大きな数字になっています。この現状についての受け止めを教えてください。また、流行している地域に住んでいる人ができる対策には、どのようなことがあるでしょうか?

吉野 友祐 医師吉野先生

愛媛県の患者数は非常に多く、大きな流行が発生または継続しつつあると疑われることを示しています。愛媛県以外にも、警報レベルやそれに準ずる患者数が確認されている地域が複数あることから、今後全国的に大きな流行になる可能性も十分あり得ると思います。

インフルエンザが流行している地域では、特に個人で取り組める感染対策が重要です。具体的には、手洗いや状況に応じたマスクの着用、換気の徹底など、これまでおこなってきた感染対策が挙げられます。また、風邪のような症状が出たらできるだけ外出を控えて、早めに医療機関を受診しましょう。

インフルエンザの流行に対する懸念は?

早くも多くの感染者が出ている今シーズンのインフルエンザですが、昨シーズンの流行が今年の春夏を過ぎても続く異例の事態となっていました。インフルエンザの流行が長く続くことについての懸念点を教えてください。

吉野 友祐 医師吉野先生

通常であればインフルエンザは1月以降さらに患者数が増えるため、現在の状況を鑑みると非常に大きな流行の波を作る可能性があります。今後の患者数の増え方により一層注意して、その兆候に備える必要があると考えます。また、流行が長く継続すれば、それだけ医療機関も対策に追われ、通常の医療に影響が出る可能性も高くなります。加えて、新型コロナウイルスの流行も終わったわけではないため、インフルエンザの感染拡大が続けば同時流行に至る可能性も高くなり、結果として医療のひっ迫が問題となることも想定しなくてはなりません。

まとめ

2023年11月6日、厚生労働省は全国約5000の定点医療機関から2023年10月23~29日に報告されたインフルエンザの新規感染者数が、1機関あたり19.68人だったと発表しました。大きな流行が発生または継続しつつあることが疑われるということを示す警報レベルの基準を超えた自治体も2県出ています。インフルエンザの流行のピークは例年1~2月なので、今後も感染については十分警戒をする必要があります。

この記事の監修医師