アフタ性口内炎の症状や原因、治療法とは?
アフタ性口内炎とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
監修歯科医師:
渡邊 稔允(マリコ歯科クリニック)
【歯科恐怖症学会 認定医】
昭和大学を卒業後、インプラント/歯周病専門クリニックにて研修。
昭和大学歯科病院の歯科麻酔科入局し、全身麻酔180件・鎮静麻酔250件を担当する。
日本歯科麻酔学会をはじめ、点滴療法研究会、日本障害者歯科学会、日本歯周病学会などの多数学会に所属している。
また、GCインプラントセミナーやマウスピース矯正に関するセミナーを修了しており、ハリウッド式小顔整顔 認定セラピストであるなど、審美歯科への知見も広い。
現在は、マリコ歯科クリニックにて歯科医師・歯科麻酔を担当している。
目次 -INDEX-
アフタ性口内炎とは
口内炎のなかでも、最も一般的な口内炎として知られているのが、アフタ性口内炎です。
頬の内側をはじめとする口腔内の粘膜などに、直径3〜5mmの円形の潰瘍として現れます。表面は白く、潰瘍の縁は赤みを帯びているため周囲の軟組織との境目が明瞭であり、真ん中はくぼんでいます。
どんな症状が現れるの?
アフタ性口内炎の好発部位は、頬の内側、歯肉、舌、口唇などの粘膜です。おなじ口のなかでも、赤唇部や硬口蓋などの角化層には発生しにくい傾向にあります。
アフタ性口内炎の症状が進行していくと、出血を伴うケースもありますが、発熱やリンパ腺の腫れは認められません。
渡邊先生の解説
口の中を清潔に保つために、うがいをしましょう。
食べ物や歯ブラシ、舌などが患部に当たると疼痛を伴うため、食事しづらい、しゃべりづらい、歯磨きがしづらいなど、生活の妨げになることもあります。また、刺激性のある辛い食べ物、酸っぱい食べ物、熱い食べ物が患部に触れると、しみるなどの症状も現れます。
アフタ性口内炎の原因は?
アフタ性口内炎の原因は、ウイルス、細菌、ストレス、食物アレルギー、ビタミンB2欠乏、ホルモンバランスの崩れ、消化器官疾患、免疫異常などと、さまざまな要因が考えられていますが、明確な原因は証明されていません。
渡邊先生の解説
すべての年齢層でアフタ性口内炎が認められていますが、比較的若い年代の女性に多くみられる傾向があります。
アフタ性口内炎の検査方法・診断方法は?
アフタ性口内炎以外にも、口腔内に生じる口内炎があります。まずはウイルスが原因となるヘルペス性口内炎でないことを確認するための血液検査を行い、ウイルスの抗体価を調べて行きます。
次いで、カビ(真菌)が原因となって生じる、カンジダ性口内炎でないことを確認するため培養検査を行うこともあります。
渡邊先生の解説
義歯や補綴物が口腔内の軟組織に物理的な刺激を与えて生じるカルタ性口内炎でないことを確認し、これら口内炎ではないことをすべて否定できてようやく、アフタ性口内炎であると診断されます。
アフタ性口内炎の症状以外の気になる所見がない場合には、即日診断されることもありますが、血液検査や培養検査を実施した場合は1週間程度の時間が必要になります。
アフタ性口内炎の治療方法
はっきりとした原因が分からないため、症状に対処する治療が中心となります。1〜2週間で自然治癒することがほとんどです。
瘢痕(はんこん)は残りませんが、アフタ性口内炎は繰り返し生じるケースもあり、その場合は1度に複数個認められ、再発性アフタ性口内炎とも呼ばれています。
薬について
ステロイドを含む軟膏や、患部を覆うように貼るシールタイプの口腔粘膜貼付錠が処方されます。
痛みをやわらげ、回復を促進することはできますが、原因が分からないため、対処法のみとなります。また、症状や回復経過によっては、ビタミン剤や抗炎症薬、抗アレルギー薬の服薬も検討されます。
渡邊先生の解説
軟膏などの市販薬を使用しても問題ないと思われます。劇的な改善はみられないと思いますが、塗布することによりバリアー効果になり、患部との接触が減り、痛みが和らぐことがあります。しかし、一番大事なのは専門家による診断です。
医師・歯科医師に処方された薬があるのであれば、そのお薬のみ使用するのがよいかと思われます。処方された薬と市販薬の併用については、処方された時に医師・歯科医師に相談してみてください。
痛みや腫れへの対処法
痛みや腫れがある場合は、激しい運動や飲酒は避け、身体を休めましょう。刺激が強い辛い食べ物や、酸っぱい食べ物、熱い食べ物も患部を刺激するため、控えましょう。
また、痛みを理由に歯磨きや口腔ケアを疎かにしてしまうとかえって症状が悪化する恐れがあるため、口腔内は清潔に保ちましょう。
渡邊先生の解説
症状が出てから、痛みが増している場合、または、歯肉や口唇の色の変化が大きくなってきた場合は、アフタ性口内炎とは別の疾患の可能性があるので、すぐに病院を受診しましょう。
患部の場所にもよりますが、痛みがでないように工夫しながら口腔ケアをするほうがよいです。
患部に軟膏を塗布した状態で口腔ケアをしたり、ブラシ圧をとても弱めにして磨くなどするのがよいかと思います。
うがい薬も使用していただいて構いませんが、うがい薬はお口の中の汚れを取り除くわけではありませんので、できる限り、通常のブラッシングを行うことが必要です。
アフタ性口内炎の予防方法
アフタ性口内炎の原因は明らかになっておりませんが、口腔内の汚れは免疫力の低下につながります。歯医者で受ける歯のクリーニングは、口腔内環境の改善が見込まれるため、アフタ性口内炎の予防にもなるでしょう。
渡邊先生の解説
歯医者で受けるクリーニングでは、磨き残し部位の確認、歯石・プラーク除去などを行い、口内炎など口腔粘膜疾患の早期発見に繋がりやすいとされています。
クリーニングのメリットとしては、口腔内の清掃ができること、口腔内の疾患を早く見つけることができること、日々のブラッシングへのモチベーションが上げられることなどです。
定期的な検診やお口のクリーニングは推奨しています。先ほどお伝えしたように、お口のトラブルは虫歯・歯周病・食いしばりに加えて、口内炎などの口腔粘膜疾患(軟組織疾患)というものがあります。そういった疾患は早期発見・早期治療が大切なので、痛みの有無に関わらず、定期的なクリーニングは有効であると考えます。
食生活・生活習慣
アフタ性口内炎は、生活習慣に深く関係があるとも考えられています。
睡眠不足、栄養不足、ホルモンバランスの乱れなどから免疫力が低下した時に生じるリスクがあるため、以下の点に気を付けながら生活を送りましょう。
- 良質な睡眠
- 適度な運動
- バランスの取れた食事
- ストレスをためない
オーラルケア
痛みが酷い場合は、研磨剤や香料、発泡剤が配合された刺激になる歯磨き粉の使用は避けます。歯ブラシの使用も難しい場合は、口を水でゆすぐだけでもいいでしょう。
また、痛みなどを避けるために水分を控えてしまいがちですが、口腔内の乾燥は進行を促進させてしまう恐れもあるため、常にうるおいを保ちましょう。
もしかしてアフタ性口内炎?初期症状・気になる症状を解説
ここではアフタ性口内炎の初期症状や、アフタ性口内炎の疑いのある症状、病院へ行くべき目安や対処法などを解説します。
口内に白いできものがずっとある、口内炎が治らない
アフタ性口内炎は直径3〜5mm程度の白い潰瘍です。潰瘍の縁は赤くなり、周辺組織と境目がはっきりとしています。初期の段階では少し違和感を覚える程度でありますが、徐々に潰瘍が大きくなり、痛みを伴います。
2〜3週間経過しても症状が改善しなかったり、反対に悪化したりする場合は、他の疾患も考えられるため、医療機関を受診しましょう。
渡邊先生の解説
病院へ受診するまでにできることは、市販の軟膏を塗って応急処置しておく程度です。
効果には個人差がありますが、痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤を使用するのも一つの方法です。
舌や喉、歯茎に痛みや違和感がある
アフタ性口内炎は舌や喉、歯茎にも生じる恐れがあります。舌や喉、歯肉に痛みや違和感がある場合は、直径3〜5mm程度の白い潰瘍が周囲にないか確認しましょう。潰瘍が認められない、2〜3週間経過しても症状が改善されない場合は、別の疾患も考えられるため医療機関を受診しましょう。
渡邊先生の解説
痛みが強い場合や、潰瘍の範囲が日に日に大きくなってきている場合、アフタ性口内炎ではない別の疾患の場合が疑われる場合はすぐに受診しましょう。
アフタ性口内炎についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「アフタ性口内炎」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
アフタ性口内炎を他人へうつしたり、他人からうつって罹患したりすることはありますか?
渡邊先生
アフタ性口内炎は、ウイルスが原因ではありませんので、他人からうつったり、他人にうつしたりすることはありません。
カタル性口内炎とアフタ性口内炎のちがいは何ですか?
渡邊先生
カタル性口内炎は、入れ歯や矯正器具、マウスピースが接触したり、頬の内側を咬んでしまったとき刺激により生じるものです。具体的な原因が存在します。赤く腫れたり、水泡ができたりします。
アフタ性口内炎と違い、患部の境界が不明瞭で、口臭が発生したり、口の中が熱く感じたりすることもあります。
アフタ性口内炎を早く治す方法はありますか?
渡邊先生
ビタミン・タンパク質・ミネラルといった糖質に偏らない栄養豊富な食事を心がけること、十分な睡眠により免疫力を高めることが重要です。
アフタ性口内炎が原因でリンパや喉が腫れることはありますか?
渡邊先生
アフタ性口内炎の発生部位がリンパや喉に近い部分だった場合は、炎症が波及してそこまで腫れていく場合もあるかもしれませんが、実際にそれが起きた患者さんには遭遇したことがありません。
まとめ
アフタ性口内炎は口内炎の中でも最も罹患率の高い口内炎です。はっきりとした原因は明らかになっていませんが、痛みや腫れが1〜2週間続くこともあり、生活の妨げになることも少なくありません。
また、症状が繰り返される特徴もあります。口内炎と一言でいってもその特徴や症状はさまざまであり、症状が改善されない場合は自己判断せずに、すみやかに医療機関へ受診しましょう。
アフタ性口内炎と関連する病気
「唾石症」と関連する、似ている病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
アフタ性口内炎と関連する症状
「唾石症」と関連している5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについては詳細はリンクからMedicalDOCの解説記事をご覧ください。
■恩賜財団済生会再発性アフタ性口内炎
■歯科医師新谷悟の歯科口腔外科塾口内炎の診断・治療
■熊本大学病院口内炎ができてしまったら どうしたらいいですか?
■葛西耳鼻咽頭科クリニック自由が丘診療所口内炎、アフタ性口内炎