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部分矯正で歯並びが改善できる例・できない例|具体的な部分矯正の流れやメリット・デメリットも解説

 公開日:2026/01/14
部分矯正で歯並びが改善できる例・できない例|具体的な部分矯正の流れやメリット・デメリットも解説

歯並びを治したいけれど、部分矯正で対応可能なのか、全体矯正が必要なのかなどが気になる方もいるのではないでしょうか。
部分矯正で改善できる例や難しい例、そして具体的な部分矯正の流れなど、治療を受ける際に気になる点をまとめて紹介します。

中山 雄司

監修歯科医師
中山 雄司(おとなとこどもの歯並び 中山矯正歯科・小児歯科 西大寺)

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所属先:おとなとこどもの歯並び 中山矯正歯科・小児歯科 西大寺
出身大学:大阪歯科大学歯科矯正学講座
経歴: 2012年3月 大阪歯科大学卒業
    2018年3月 大阪歯科大学大学院歯学研究科博士課程終了
    2019年4月 大阪歯科大学 歯科矯正学講座 助教
    2021年4月 大阪歯科大学 附属病院矯正科 診療主任
    2024年6月 おとなとこどもの歯並び 中山矯正歯科・小児歯科 西大寺 開院
    2025年1月 大阪歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学)講師(非常勤)
取得資格:日本矯正歯科学会 認定医
所属学会:日本矯正歯科学会/ 近畿東海矯正歯科学会 / 日本舌側矯正歯科学会 / 日本顎変形症学会 / 近畿矯正歯科研究会

部分矯正の種類

部分矯正の種類
部分矯正は、すべての歯に対して歯列矯正を行うのではなく、前歯だけや奥歯だけといった一部分だけの歯並びを整えることを指します。
部分矯正には下記のような方法があります。

ワイヤーによる部分矯正

部分矯正の方法の一つ目が、ワイヤーを使用する方法です。
歯の表面や裏面にブラケットと呼ばれる装置を取り付けて、そこに通したワイヤーを締めるなどすることで歯に力を加えて動かします。
歯を狙った方向に動かしやすく、幅広い症例に適応できます。
また、歯に装着したままの状態で日常生活を送るため、自己管理などが必要なく計画どおりに治療を進めやすいという利点があります。

一方で、矯正装置によって歯磨きなどのケアが行いにくくなるためにむし歯や歯周病、口内炎などのリスクが高まるほか、唇側矯正ではどうしても装置が目立ちやすく、見た目が気になるというデメリットがあります。
歯の裏側に装置を取り付けると見た目は目立ちにくくできますが、部分矯正の場合はワイヤーの端が舌に触れてしまうなどして痛みを感じることもあります。

マウスピース型矯正装置による部分矯正

マウスピース型矯正装置による部分矯正は、透明なマウスピースを使用して行う歯列矯正です。
矯正装置が透明であるため、治療中に目立ちにくく、接客業など人前に出ることが多い仕事をしている方でも受けやすい治療法です。見た目が自然なので、特に前歯の歯並びだけ部分矯正で治したいというような場合に利用しやすいといえます。
また、マウスピースは好きなタイミングでつけ外しが可能で、食事中や歯磨きの際には外しておくことができるため、口腔内を清潔に保ちやすく、むし歯などのリスクが低い点がメリットです。

一方で、しっかりと歯列矯正の効果を得るためには一定時間以上の装着が必要となるため、自己管理をきちんと行わなければ治療が適切に進められないというリスクがあります。
また、マウスピース型矯正装置は歯を大きく動かしたり、回転させたりといった動きが苦手であり、症例によって適応が難しいケースがあります。

インプラントアンカー(TAD)を用いた部分矯正

インプラントアンカーまたは歯科矯正アンカースクリューと呼ばれるネジを顎骨に埋入し、歯を動かす際の固定源として利用する部分矯正があります。
通常のワイヤー矯正のみでは、歯を上下に移動したり、歯を傾けたりといった変化を十分に達成しにくい場合があります。こういったケースで利用するのがインプラントアンカーで、歯茎に埋め込んだインプラントアンカーを固定源にすることで、歯の回転や上下の動きなどをよりスムーズに行いやすくします。

また、通常のワイヤー矯正は奥歯などが固定源として使用されますが、インプラントアンカーを使用すれば奥歯以外に固定源を用意できるため、倒れた奥歯を起こしたいというようなケースにも対応できます。

部分矯正の流れ

部分矯正の流れ
部分矯正は、主に下記のような流れで治療が進められます。

検査

歯列矯正を行う際には、事前の検査が重要です。
まずは歯並びの状態や顎骨の状態をX線検査なども含めた検査で詳しく調べて、歯列矯正で理想とする歯並びや噛み合わせの実現が可能かどうかを確認します。
そもそもお悩みの原因が歯並びではなく骨格などにある場合は、手術を含む対応などが必要になる可能性もあります。

また、歯列矯正はむし歯や歯周病などのトラブルがない状態で開始する必要があるため、お口の健康状態も丁寧に検査します。

部分矯正が可能であり、お悩み解消が十分に行えると判断できれば、一人ひとりの歯並びなどに応じた治療法の提案が行われます。
そして具体的に受ける治療が決まれば、治療が進められます。

IPR(ディスキング/ストリッピング)

部分矯正を行う際には、歯の一部を削るIPRと呼ばれる処置を行うケースがあります。
これは、歯と歯の間の隣接面の一部を削ることで歯をキレイに並べるためのスペースを作るためのものです。歯を動かすためのスペースが十分な場合はIPRの処置が不要ですが、歯並びにお悩みがある場合の多くは、歯がきれいに生えそろうためのスペースがなかったことで歯並びに問題が生じているケースが多いため、IPR部分矯正ではよく行われる処置です。

矯正装置の作製

IPRを行い、部分矯正を行うための準備が整ったら、ワイヤー矯正の場合はブラケットを装着してワイヤーにて歯を並べていきます。
マウスピース型矯正装置による治療の場合、歯型の採得を口腔内スキャナーと呼ばれる機械で行い、マウスピースを作成していきます。

歯列矯正の実施

矯正装置の作製が完了したら、実際に治療を開始します。
ワイヤー矯正の場合は歯科医師が患者さんの歯に装置を取り付け、定期的に通院して装置の調整を行いながら、歯を理想的な位置に動かしていきます。

マウスピース型矯正装置の場合、治療開始時に複数枚のマウスピースを渡されることが多く、だいたい1週間ごとに自分でマウスピースを交換しながら治療を進めます。

どちらの場合も適切に歯が動いているかを確認して、必要に応じて治療方針の見直しなどを行ったり、むし歯や歯周病などのトラブルが生じないようにケアしたりするため、定期的な通院が必要ですが、マウスピース型矯正装置による治療の場合は通院回数が少ないケースが多いといえます。

治療にかかる期間は数ヶ月から数年ですが、部分矯正は全体矯正よりも歯を動かす総量が少ないため、短めの期間で完了することが可能です。

保定

歯を目的の位置まで動かすことができたら、保定装置(リテーナー)を装着して、歯が元の状態に戻ってしまうのを防ぐ保定を行います。
歯列矯正は歯に適度な力をかけ続けることで歯の位置を動かしているため、保定を行わないと元の歯並びへと後戻りしてしまう可能性があります。
保定は歯列矯正にかかった期間と同程度の期間行う必要があります。

部分矯正のメリット・デメリット

部分矯正のメリット・デメリット
部分矯正は、全体矯正と比較して下記のようなメリットやデメリットがあります。

部分矯正のメリット

部分矯正の主なメリットは、下記のとおりです。

治療期間が短い

部分矯正は、歯並びの一部だけを治す治療であるため、治療期間が全体矯正と比べて短くすむことがメリットの一つです。
歯並び全体を治そうとすると長い場合は数年かかる可能性がありますが、部分矯正の場合は保定期間を除けば数ヶ月から一年程度で終えられるケースも多いといえます。

費用を抑えやすい

治療に必要な期間が短いということは、その分歯科医師の手もかからなくなるため、治療費用も抑えやすいというメリットがあります。
歯列矯正は基本的に自費診療で、数十万から場合によっては百万円を超える費用がかかることもありますが、部分矯正であれば数万円から受けることができる場合もあります。

抜歯をせずに対応できるケースがある

歯列矯正は、歯を動かすためのスペースを作るため、場合によっては健康な歯の抜歯などを行う可能性がある治療です。
部分矯正の場合は全体矯正よりも歯を動かす量が少ないため、大きなスペースを用意しなくても行いやすく、歯の一部を削る程度で治療を受けやすい点はメリットといえます。

部分矯正のデメリット

部分矯正には、下記のようなデメリットもあります。

適応が限られる

部分矯正は前歯の歯並びを整えて見た目を改善したり、倒れている奥歯を治したりといった対応は可能ですが、前歯から奥歯までの全体的な噛み合わせを改善することはできません。
そのため、そもそも奥歯の噛み合わせが悪い場合などでは、部分矯正による治療ができない可能性があります。
また、部分矯正は歯の一部にしか力を加えないため、そもそも歯を動かせる範囲が全体矯正と比べて小さくなります。重度の叢生など、歯並びが極端に悪い場合は部分矯正での対応が難しく、全体矯正が必要になる場合があります。

歯を削る場合がある

上述のとおり、部分矯正は抜歯をせずに行いやすい治療ですが、それでも健康な歯を削る可能性があるという点ではデメリットともいえます。

部分矯正ができる例

部分矯正ができる例
部分矯正が実際にできる例としては、下記のようなケースが挙げられます。

一部の歯のみが倒れている場合

ほとんどの歯はキレイに並んでいるけれど、1本だけ倒れてしまっているというようなケースは、部分矯正ができる例の一つです。
歯が倒れているようなケースであれば、ワイヤー矯正やマウスピースなどを用いることで効率よく改善できる可能性があります。

奥歯の噛み合わせに問題がない場合

奥歯の嚙み合わせが良好で前歯の歯並びだけが悪いようなケースは、部分矯正で対応できる例の一つです。

全体矯正後の後戻りを治したい場合

全体矯正を行った後の保定が不十分であったり、治療から年月が経過して歯並びが悪化したりしてしまったケースも、部分矯正による治療ができる例の一つです。
このケースも大きく噛み合わせがずれている可能性が低いため、部分矯正だけでしっかりと整えやすいといえます。

インプラントやブリッジのために部分矯正を行うケース

失った歯を補うために行うインプラントやブリッジの治療は、歯と歯の間のスペースが適切な状態でなければ行うことができません。
歯と歯の間が極端に狭かったり、逆に広かったりする場合は、部分矯正を行ってスペースを調整してから治療を行うことがあります。

部分矯正ができない例

部分矯正ができない例
以下のようなケースでは、部分矯正ができない可能性があります。

骨格に問題がある場合

歯並びに関するお悩みのうち、出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)といった状態は、歯を支えている顎骨の形状に根本的な原因がある場合が考えられます。
骨格に問題がある場合、部分矯正で歯並びを治しても理想的な状態の達成が困難であるため、部分矯正による治療ができない可能性が高いです。

むし歯や歯周病がある場合

歯列矯正は長期におよぶ治療であり、歯列矯正を開始するとむし歯や歯周病が進行してしまいやすい状態になるため、事前の検査でむし歯や歯周病が見つかった場合は全体的な矯正治療と同じで、治療を開始することができません。
むし歯や歯周病をしっかり治してからであれば部分矯正を行えるので、まずは歯科医院に通って歯のトラブルを解消しましょう。

全体の噛み合わせに問題がある場合

奥歯の噛み合わせなど、全体的な噛み合わせに問題がある場合、部分矯正で一部の歯並びだけを変化させることで、より歯に強い負担がかかりやすくなる可能性があります。
そのため、全体的な噛み合わせに問題がある場合は、しっかりと全体矯正で嚙み合わせ全体を改善する必要があります。

歯並びの乱れが強すぎる場合

部分矯正は、矯正装置を装着する範囲が全体矯正よりも狭く、歯に加えることができる力も全体矯正より弱くなりやすい治療法です。
重度の叢生など、歯並びの乱れが強い場合には部分矯正で改善が難しく、やはり全体矯正が必要となる可能性が高いといえます。

横顔を改善したい場合

横顔の印象を改善するために歯列矯正を検討しているという方もいるのではないでしょうか。
軽度の出っ歯などを歯列矯正で改善することで、口元の見た目を整えて横顔の印象を向上させられる可能性があります。しかしながら、部分矯正は大きな前歯の傾きなどを改善することが難しいため、横顔の改善には不向きです。

歯を動かすスペースを確保できない

極端に顎が小さい方など、歯の一部を削っても歯を動かすためのスペースが確保できないようなケースの場合は、部分矯正を行うことができません。

部分矯正以外の選択肢

部分矯正以外の選択肢
部分矯正にはできる例とできない例がありますが、部分矯正が難しい場合には下記のような選択肢があります。

全体矯正

前歯から奥歯まで、歯の全体に矯正装置を装着して歯並びを整える方法が全体矯正です。
歯並びや噛み合わせをしっかり改善したい場合の第一候補で、骨格部分の問題が強いケースでなければ、全体矯正で理想的な歯並びや噛み合わせを目指すことが可能です。

外科的矯正治療

下顎が小さいことによる出っ歯や、逆に下顎が大きすぎることによる受け口など、骨格に噛み合わせの悪さを引き起こす原因がある場合は、顎骨を切るなどの外科手術による治療が適応となります。
外科的矯正治療は外科手術と歯列矯正を組み合わせて行う治療で、顎変形症と診断された場合であれば保険診療で治療を受けることができます。

まとめ

まとめ
部分矯正ができる例は、全体の噛み合わせに問題がないケースなど一部の症例に限られますが、全体矯正よりも短期間、そして低コストで受けやすいメリットなどがあります。
どのような治療法が適しているかは人それぞれの歯並びや理想とする状態などによって異なりますので、まずは部分矯正を取り扱っている歯科医院に相談してみて、適切な治療法を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修歯科医師

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