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学校歯科健診で噛み合わせや歯並びを指摘されたら?判定基準や治療方法も解説

 公開日:2025/09/14
学校歯科健診で噛み合わせや歯並びを指摘されたら?判定基準や治療方法も解説

口腔の健康状態は全身の健康維持に影響するため、口腔異常の予防や早期発見・治療がとても大切です。

公的な歯科健診は、母子保健法に基づいた1歳半と3歳に加え、大学以外の学校(必要に応じて幼稚園を含む)で学校保健安全法による学校歯科健診があります。

学校歯科健診ではむし歯や歯肉の状態、噛み合わせ、歯磨きなどセルフケア状況をチェックして子どもたちの健康管理や健康教育に役立てています。

噛み合わせや歯列を指摘される場合もあり、その後の検査や治療、費用などの流れが気になる場合があるのではないでしょうか。

本記事では学校歯科健診で噛み合わせや歯列を指摘された場合を詳しく解説します。

小田 義仁

監修歯科医師
小田 義仁(歯科医師)

プロフィールをもっと見る
小田歯科・矯正歯科
院長 小田 義仁
岡山大学歯学部 卒業
広島大学歯学部歯科矯正学教室
歯科医院勤務をへて平成10年3月小田歯科・矯正歯科を開院
所属協会・資格
日本矯正歯科学会 認定医
日本顎関節学会
日本口蓋裂学会
安佐歯科医師会 学校保健部所属
広島大学歯学部歯科矯正学教室同門会 会員
岡山大学歯学部同窓会広島支部 副支部長
岡山大学全学同窓会(Alumni)広島支部幹事
アカシア歯科医会学術理事

学校歯科健診の内容や判断基準

歯のことを教える

学校歯科健診はどのくらいの頻度で行われますか?

学校歯科健診を規定する学校保健安全法では、毎学年の児童生徒を対象とし、6月30日までに歯科健診を施行する規則があります。年に1回の実施が原則ですが、市町村など自治体の教育委員会や学校責任者の求めにより2回以上実施されることもあり、自治体の判断に委ねられる場合がほとんどです。

学校歯科健診の内容を教えてください。

自治体の使用する健康診断票を用いて学校歯科医師が以下のような内容を検査し、要治療の場合(2)要観察の場合(1)健全な場合(0)にマークが付きます。

  • 顎関節
  • 歯列
  • 咬合
  • 歯肉
  • むし歯
  • 歯垢

顎関節の項目は、お口を開閉する際に下顎が不均衡に動き、顎関節部位に雑音が生じるなどの症状の観察です。歯列咬合の異常は下顎や上顎の突出(受け口や出っ歯)、隙歯、開咬(前歯で噛めない状態)などさまざまな口腔障害に発展する可能性があり注意が必要です。歯肉の観察は歯肉炎の有無を確認し、歯肉炎(G)歯肉炎の要観察(GO)にふるい分けます。むし歯の観察項目も、むし歯(C)むし歯の要観察(CO)に区別しスクリーニングします。歯垢はむし歯や歯周病を引き起こす原因になり、口腔疾患を予防するうえで重要な観察項目です。

学校歯科健診での噛み合わせや歯並びの判定基準を教えてください。

学校歯科健診での歯列と咬合の異常があり要治療とされる場合には、主に以下のような診断基準があります。

  • 下顎前突
  • 上顎前突
  • 叢生(乱抗歯)
  • 正中離開
  • 開咬

下顎前突は2本以上の前歯が逆被蓋(受け口)の状態です。上顎前突とは、上下の歯を噛み合わせたときに上の前歯が下の前歯よりも7〜8mm以上突出している状態です。歯科医師は健診で使用するデンタルミラーの直径の半分以上を判断基準にします。叢生(乱抗歯)は隣り合う歯同士が重なり合い、見える歯の部分の1/4以上が重なっている状態を指します。正中離開は上顎の正中にある前歯2本(中切歯)の間が6mm以上の隙間がある状態、開咬は上下顎の前歯の先端(切縁)の間に6mm以上の隙間がある状態です。正中離開、開咬の診断ともに、歯科医師はデンタルミラーの持ち手部分の太さ以上を目安にする場合があります。

学校歯科健診で噛み合わせや歯並びを指摘されたら?

歯科衛生士と子供

学校歯科健診で指摘される可能性のある、不正咬合の種類を教えてください。

先に述べた上下顎の前突や叢生、正中離開、開咬のほかにも以下のような要治療とされる不正咬合があります。

  • 過蓋咬合
  • 顎変形症
  • 交叉咬合
  • 鋏状咬合
  • 過剰歯
  • 限局した咬耗

過蓋咬合は、噛み合わせが深く、上の前歯が下の前歯を隠してしまっている状態です。顎変形症は上下の顎がずれて傾きや変形を生じる疾患で手術を必要とする場合もあります。交叉咬合は上下の歯が前後左右にずれて噛み合っている状態で、顎の成長段階で交叉咬合が生じると、顎やお顔の歪みや変形につながるリスクがあります。鋏状咬合は上の奥歯が外側、下の奥歯が内側に位置しており、奥歯がうまく噛み合わない状態です。過剰歯は通常生える歯の本数よりも多く生えている状態で、歯列や噛み合わせに障害の原因になる可能性があります。また、特定の歯や粘膜組織に負荷がかかり限局した咬耗がみられる場合は、治療対象となることがあります。

学校歯科健診で噛み合わせや歯並びを指摘されたら、すぐに治療を受けるべきですか?

学校歯科健診で歯列や噛み合わせを指摘されたら、できる限り早期の歯科受診がおすすめです。現時点で早期治療の必要性に判断を迷う場合であっても、将来口腔疾患を発症する可能性は否定できないでしょう。放置して悪化を招くとむし歯や歯周病だけでなく咀嚼や講音、審美的な障害を併発するリスクが高まります。

学校歯科健診で要精密検査といわれた場合の、歯科医院での検査内容を教えてください。

歯列や噛み合わせの項目で要精密検査の診断があった場合、歯科医院での検査内容は以下のとおりです。

  • 問診
  • 視診
  • レントゲン撮影
  • お顔とお口の写真撮影
  • 歯型

問診や視診、あるいは触診などで、患者さんの口腔の症状や程度を確認します。レントゲン撮影では正面や横顔、パノラマ画像、歯のレントゲン画像など症状や疾患に合わせて撮影します。お顔やお口の写真で治療経過や左右対称を確認する場合があり、歯型も治療方針を検討する大切な検査です。顎関節を原因とする場合は、顎関節のレントゲン撮影や顎運動機能検査などで精査する場合もあります。

噛み合わせや歯並びの治療方法

歯科矯正の道具

歯科医院での噛み合わせや歯並びの治療方法を教えてください。

歯科医院での噛み合わせや歯列の治療方法は、歯列矯正の場合が多く、次のような装置を使用します。

マルチブラケットは個々の歯に小さな装置(ブラケット)を接着して、ブラケットにワイヤーを通して歯列矯正する装置です。ブラケットの種類には金属だけでなくプラスチックやセラミックジルコニアなど患者さんの意向に合わせて選択でき、ブラケットにワイヤーを固定するための極細い輪ゴムも色が選べて治療に楽しみを添えることができるでしょう。歯列矯正用アンカースクリューはチタン合金製の小さなスクリューを顎骨に埋め込み、スクリューにワイヤーを固定源として治療の効率化を図るもので、治療後はスクリューを抜去します。拡大装置は歯列を拡大させる装置で、固定式と可撤式があり、顎骨の成長過程が終わる頃までの使用が望ましいです。顎外固定装置はヘッドギアや上顎前方牽引装置、チンアップなどがあり、口腔内以外の頭部や頸部を固定源に顎骨を移動させる装置です。マウスピース型矯正は、可撤式の透明のマウスピースを装着し、数週間おきにマウスピースを新調し少しずつ歯を動かしていきます。症状や診断に合わせて治療方針と装具を選択しますが、学校健康診断で指摘された場合の治療では小児が対象なので、適応年齢や心身に過剰負荷のない治療方法は歯科医師と相談しましょう。

噛み合わせや歯並びの治療には保険が適用されますか?

厚生労働省の認める一部の疾患を除き、噛み合わせや歯列の治療は健康保険は適用されず全額自己負担になります。

噛み合わせや歯並びの治療費用はどのくらいかかりますか?

噛み合わせや歯列の治療でイメージされることのある歯列矯正のマルチブラケット装置を例に挙げると、初診から治療、治療後の通院など一連の流れで総額800,000〜1,200,000円(税込)前後を要する場合が少なくありません。治療過程で治療が難しかったり加療が必要になったりする場合は追加で費用が生じる可能性もあります。治療費用は歯科医院により異なるため、ご予算の検討や治療方針に関するインフォームドコンセントをしっかり受けることが大切です。

噛み合わせや歯並びの治療にかかる期間を教えてください。

噛み合わせや歯列の治療期間は、歯や場合によっては顎骨を動かすため長期間かかることが予想され、基本的な治療ではおおよそ2〜3年程度を要すると考えられます。下顎前突や顎変形症など治療が複雑なケースでは、さらに長期に渡る可能性があるでしょう。

編集部まとめ

子供と歯医者

学校歯科健診ではむし歯や歯周病だけでなく歯列や噛み合わせのチェック項目もあり、歯列や噛み合わせの障害の原因は上下顎の前突や叢生、顎変形症などが挙げられます。

学校歯科健診で歯列や噛み合わせを指摘された場合は早期の受診が望ましいでしょう。

歯列や噛み合わせの原因に対する治療は歯列矯正の選択が多く、治療装具はマルチブラケットや拡大装置、マウスピースなど多岐におよびます。

歯列や噛み合わせの治療は健康保険が適用せず自己負担になる可能性が高いため、治療の選択はお子さんの年齢や治療期間、ご予算などを総合的に検討することをおすすめします。

この記事の監修歯科医師