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マウスピースの正しい洗浄方法とは?お手入れの注意点やおすすめの洗浄剤も紹介します

 公開日:2023/12/14
透明なマウスピースを持つ女

マウスピース矯正中に、汚れの取り方や毎日の洗浄方法をきちんと知りたいと思ったことはありませんか。

マウスピースの洗浄が不十分だと、口臭・虫歯・歯周病の原因になるだけではなく、劣化に繋がって矯正がうまくいかなくなってしまいます。

こちらではマウスピースの汚れの原因・洗浄方法を詳しくご紹介いたします。日々のお手入れ・スムーズな矯正のためにぜひ参考にしてください。

熊谷 靖司

監修歯科医師
熊谷 靖司(歯科医師)

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熊谷歯科医院 院長

マウスピースの3つの洗浄方法

洗浄中のマウスピース
毎日長時間装着しているマウスピースには、さまざまな汚れがついています。
ここでは、マウスピースの主な洗浄方法を3つご紹介します。
自分の手を使ってしっかりお手入れする方法もありますが、時間がないとき・お手入れにあまり手をかけたくないときなどにもよい方法もあります。
洗浄時に使わない方がよいものも一緒にご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

歯ブラシ

歯ブラシを使う場合は、歯を磨くときと同じようにブラッシングを行います。
その際、柔らかめの毛の歯ブラシを使用してください。硬めの毛の歯ブラシは、マウスピースの表面に細かな傷をつけてしまう恐れがあります。
また、歯磨き粉も使わないようにしましょう。歯磨き粉には研磨剤が入っていることが多く、これもマウスピースの表面を傷つけてしまう恐れがあります。
歯磨き粉を使わず、水道水または中性洗剤(台所洗剤)で洗浄するようにしてください。汚れを落とした後は、水道水でしっかりすすいでください。
ただし、マウスピースの素材によっては歯ブラシを使わない方がよいものもありますので、洗浄前に確認しておきましょう。

洗浄剤

洗浄剤は、酵素などの成分の力で、歯ブラシでは落としきれない汚れを落としてくれます。
漂白剤・消臭成分が配合されている洗浄剤であれば、タバコ・濃い飲み物などによる変色に効果を発揮しますし、凹凸に入り取りにくい汚れ・目には見えない細菌・臭いまで綺麗にしてくれます。
洗浄剤にはつけ置きタイプと泡スプレータイプが主流です。
つけ置きタイプは、水またはぬるま湯を入れた容器に洗浄剤を入れ、マウスピースを一定時間つけ置きます。
泡スプレータイプは、マウスピースに直接泡をスプレーし、指でこすって洗います。数分で洗浄でき、ボトルタイプもあるので持ち運びにも便利です。
自宅ではつけ置きタイプを使用して、外出先では泡スプレータイプを使用するなど、状況によって使い分けることもよいでしょう。

超音波洗浄機

超音波洗浄機は、水を入れた超音波洗浄機にマウスピースを入れて洗浄します。水を超音波によって振動させて汚れを取り除きます。
この方法は、目に見えない細菌・汚れ・臭いを落としてくれるので、歯ブラシや洗浄剤に比べてより効果的です。
超音波洗浄機の購入が必要ですが、使用方法は機械にマウスピースを入れてスイッチを押し、あとは機械に任せるだけなので簡単です。

マウスピースに汚れがつく原因

タバコ
先程洗浄方法をお伝えしましたが、では実際にマウスピースを汚してしまう原因をご存じでしょうか。
マウスピースを着色させてしまったり、細菌などを繁殖させたりしてしまう汚れの原因について詳しくご紹介します。
マウスピース矯正中にはどのように注意して汚れを防げばよいのかもお伝えしますので、こちらも合わせて参考にしてください。

ワインや紅茶などの色の濃い飲み物

色の濃い飲み物は、マウスピースを汚し、ステイン(着色汚れ)になって残ってしまう可能性があります。
マウスピースを汚しやすい色の濃い飲み物としては、ワイン・コーヒー・紅茶などが挙げられます。
ステインは一度着色してしまうと、なかなかもとに戻りにくいものです。
マウスピースを装着したまま飲まないことはもちろんですが、マウスピースを外して飲んだあとも口内を綺麗にしてから再装着するようにしてください。

タバコ

マウスピースを使用したままのタバコはやめましょう。
タバコに含まれるニコチン・タールがマウスピースに付着してしまい、汚れを付けて変色してしまうだけでなく、その臭いも残ります。
タバコを吸う場合は、マウスピースを外すようにしてください。
ただし、マウスピースを外してタバコを吸ったあとにも注意が必要です。タバコと吸った後の口の中はタールで汚れた状態になっています。
そのままマウスピースを装着すると、ニコチン・タールが付着し、変色の原因となります。一度変色してしまうとなかなか元通りの色には戻りにくくなります。
タバコを吸ったあとに、歯磨きなどのケアをしてからマウスピースを装着するとよいでしょう。

唾液

口腔内は唾液の働きによって自浄作用があります。
しかし、マウスピースを装着している際にはその唾液の分泌が減り、それと同時に自浄作用の働きも減ってしまいます。
また、唾液にはミネラル成分が含まれており、その成分によって歯石ができてしまいます。
その歯石がマウスピースに付着すると、細菌やカビが繁殖する原因となり、臭いも発生してしまうのです。

お手入れ不足

飲み物・タバコなどをいくら気をつけても、そもそもマウスピースのお手入れを怠ってしまうと、汚れがたまってしまいます。
そして、蓄積された汚れは細菌やカビが繁殖する原因となってしまうのです。
細菌が繁殖しているマウスピースを長時間装着していると、虫歯・歯周病・口内炎などのトラブルを引き起こすリスクが高まります。
毎日のお手入れをしっかり行い、清潔なものを装着することが大切です。
日々のこまめなお手入れを怠らないことが大切です。

マウスピースを洗浄しないとどうなる?

口元を隠す女性
洗浄方法・汚れが付く原因をお伝えしましたが、そもそもマウスピースを洗浄しないまま放置しておくとどんなことが起こるのでしょう。
代表的なトラブルを3つご紹介します。

口臭

マウスピースに唾液・食べかすなどが付いて汚い状態のままにしておくと、その汚れが細菌・カビの繁殖を促し、口臭を引き起こします。
口臭があるということは、口内環境が悪くなっていることを示しており、それはまた病気を引き起こす兆候になりえます。
口臭は自分だけでなく、相手にも不快感を与えますので、しっかりとマウスピースを洗浄するようにしましょう。

虫歯・歯周病

マウスピースは長時間装着しているため、その汚れから細菌が繁殖してしまい、そのまま健康な歯についてしまうこともあります。
細菌が歯についた状態が続くと、虫歯・歯周病の原因になってしまうのです。矯正中に虫歯・歯周病になってしまうと、矯正期間も長引いてしまいます。
そうならないためにも、しっかりとしたマウスピースの洗浄が大切です。

マウスピースの劣化

マウスピース矯正では、定期的に新しいマウスピースに交換するので、劣化してくることは少ないです。
しかし、洗浄が不十分でマウスピースに食べ物・唾液などの汚れが残ったままにしておくと、劣化が早くなる可能性があります。
マウスピースが劣化してしまった場合は、歯に合わなくなるので正しく矯正の機能がしなくなったり、噛み合わせが悪くなったりすることもあります。
劣化を早めないためにも、しっかり洗浄することが大切です。

マウスピース洗浄の注意点

矯正用マウスピース
マウスピースは治療にかかわる大事なものです。一定期間で交換するものではありますが、交換前に使えなくなると費用もかかってしまうので傷・劣化などはなるべく防ぎたいものです。
それでは、洗浄時の傷・劣化を防ぎ、長持ちさせるための大切な注意点をお伝えします。
以下のことに気をつけながら適切なお手入れをしましょう。

傷がつかない素材を使用

マウスピースには凹凸があり、汚れがたまりやすい形状になっています。
汚れが気になってしまうと、ついつい汚れ落としに力が入ってしまい、その結果マウスピースを傷つけてしまうことも少なくありません。
マウスピースを洗浄する場合は、傷がつかない素材の歯ブラシや洗浄剤を使用しましょう。
硬い歯ブラシはマウスピースを傷つけてしまう可能性があるので、毛の柔らかい歯ブラシを使い、磨くときはゴシゴシと力を入れて磨かないようにすることが大切です。
そうすることで、マウスピースに傷をつけてしまうことを防ぐことができます。

マウスピースの状態にあった洗浄液・洗浄方法を選ぶ

マウスピースによっては、洗浄剤や洗浄方法が異なります。先ほどご紹介したように、歯ブラシ・洗浄剤・超音波洗浄機などさまざまな方法があります。
汚れの状態によってだけでなく、素材によってもその方法は異なりますので、マウスピースの取り扱い説明書などを参考にして、適切な洗浄方法を選ぶことが重要です。

お湯や熱湯は避ける

マウスピースを洗浄する際には、お湯や熱湯は使わないようにしましょう。
ぬるま湯(40度くらいまで)であればよいですが、熱湯はマウスピースが変形し、劣化する可能性があります。
マウスピースが変形・劣化してしまうと、歯に合わなくなって作り直しになることもあります。そうなると費用がかさみ、治療期間も伸びてしまうので注意が必要です。

マウスピースの正しい保管方法

マウスピースと専用ケース
きれいに洗い終わったマウスピースはどのように保管したらよいでしょうか。
劣化を早めてしまう可能性があるので、ただケースにしまうだけではよくありません。
実際にどんな保管方法を行えばよいのか、こちらで詳しくご紹介します。

洗浄後はよく乾燥させる

洗い終わったマウスピースは、水分をきちんと取り除いてしっかりと乾燥させることが重要です。水分が残っていて湿ったままだと、細菌やカビが繁殖する可能性が高くなります。
おすすめの方法は、洗浄後のマウスピースを保管用の専用ケースに入れる際、下にティッシュなどを敷いてマウスピースを置くことです。
そして、ケースの蓋を開けたまま置いて乾燥させてください。乾燥したらティッシュを取り除き、ケースの蓋を閉めることを忘れないようにしましょう。
硬い素材の場合は、逆に乾燥させてはいけないものもありますので、歯科医師からの説明・製品の説明書などで取り扱いを十分確認してから行ってください。

専用ケースに入れて管理

マウスピースは専用のケースに入れて管理することで、ほこりなどの汚れ・変形を防ぎ、長持ちさせることができます。
直射日光も変形・変色の原因となることがありますので、それを防ぐためにも専用ケースを利用しましょう。
専用ケースに入れておくと、紛失・破損なども防ぐことができます。

涼しい場所で保管

マウスピースは涼しい場所で保管することで、温度変化・湿気の影響を受けにくくなります。
急激な温度の変化・湿気の中でマウスピースを保管してしまうと変色・亀裂などが入り、劣化を早めてしまい、長持ちさせることができなくなってしまいます。
また、部屋の窓辺・車内のダッシュボードの上など、直射日光が当たるような場所も変形の原因になるので避けましょう。

マウスピースのお手入れにかかる費用相場

矯正用マウスピース
マウスピースのお手入れにかかる費用をご紹介します。

  • 洗浄剤:数百円〜数千円程度。(内容量によって異なる)
  • 専用ケース:数百円〜数千円程度。
  • 超音波洗浄機:数千円〜数万円程度。

こちらの価格は相場であり、実際の費用はメーカー・店舗によって異なります。
マウスピースの汚れの状態・生活スタイルなどによってお手入れ方法が異なるため、費用も変わってくることになります。
また、歯ブラシなどで自分自身でお手入れをすると、比較的費用を抑えることができるでしょう。
そして、持っているマウスピースが合わなくなったり、破損したりした場合には、マウスピース自体を交換することになります。
その場合、部分矯正では30〜60万円程度(6ヶ月~1年)、全体矯正の場合は70〜100万円(2年~2年半)が相場となっています。
矯正期間・部位によって費用身の幅が出てきますので、しっかり確認しましょう。

マウスピースの素材や状態に合わせた洗浄方法を選ぼう

マウスピースと歯の模型
マウスピースには、素材の硬さ・厚みなどの状態によって複数のタイプがあり、それによって洗浄方法も異なります。
例えば、ポリウレタン製のマウスピースは水洗い・歯ブラシ・洗浄材・超音波洗浄機などほとんどの洗浄方法が可能です。
シリコン製のマウスピースの場合、シリコンは傷がつきやすい素材なので、歯ブラシを使わずに指で洗うようにしてください。指でしっかり洗浄できないときは、洗浄剤を使用しての洗浄方法がよいでしょう。
マウスピースの洗浄方法は、素材によって違いますので、それぞれの製品の説明書や歯科医師からの説明を確認し、適切な洗浄方法を選ぶことが重要です。

マウスピースの洗浄剤がないときの代用品

矯正用マウスピースと歯ブラシ
マウスピースの洗浄剤がない場合は、重曹を洗浄剤の代用として使用することも可能です。
重曹を大さじ2杯程度入れて溶かしたコップ1杯の水に、マウスピースを30分程度つけておくと汚れ・臭いをとることができます。
ただし、マウスピースの素材や状態によって使用できない代用品もあるので、製品の説明書や歯科医の指示のもと、適切な代用品を選んで使用することが重要です。
そして、代用品だということを忘れずに、長期使用せずに早めに専用の洗浄剤を用意しましょう。

自分で落とせないマウスピースの汚れは歯科医師に相談しよう!

歯科用設備
正しいお手入れ方法を行っても自分で落とせない汚れや、洗浄方法についてわからない場合は、歯科医師に相談することが重要です。
歯科医師は、専門的な知識と技術を持っているため、口内のトラブルやマウスピースの細かな異常にも気づくことができます。
また、歯科医師はマウスピースのサイズや形状に合った新しいマウスピースを作成することもできるため、フィット感を改善することもできます。
マウスピースを効果的に使用するためにも、気になったことがあれば早めに歯科医師に相談しましょう。

編集部まとめ

カルテを見る歯科スタッフ
マウスピースの汚れの原因・洗浄方法について詳しくお伝えしました。

汚れの原因・種類を知って、素材・汚れ・生活に合った方法で洗浄することは、マウスピースを長持ちさせて矯正治療を成功させるためにとても大切です。

使用するマウスピースにはさまざまな種類がありますので、説明書を読んだり、歯科医に確認したりして、ご自身の使用しているマウスピースに合った洗浄方法で行うにしてください。

この記事が、マウスピースを使用されている皆さんのお役に立てば幸いです。

この記事の監修歯科医師