目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 歯科TOP
  3. 矯正歯科TOP
  4. 矯正歯科コンテンツ
  5. 歯周病でもマウスピース型矯正はできる?進行度別の判断基準などを解説

歯周病でもマウスピース型矯正はできる?進行度別の判断基準などを解説

 更新日:2026/01/31
歯周病でもマウスピース型矯正はできる?進行度別の判断基準などを解説

歯並びを整えたいものの、「歯周病があるとマウスピース型矯正は難しいのでは?」と不安に感じる方も少なくないのではないでしょうか。

本記事では、歯周病でもマウスピース型矯正はできるのか、以下の点を中心に紹介します。

  • 歯周病の進行度別の判断基準
  • マウスピース型矯正を避けた方がよいケース
  • 治療中に歯周病が見つかった場合

歯周病でもマウスピース型矯正はできるのか理解するためにもご参考いただけますと幸いです。
ぜひ最後までお読みください。

宮島 悠旗

監修歯科医師
宮島 悠旗(歯科医師)

プロフィールをもっと見る
・出身大学
愛知学院大学歯学部
・経歴
2005年 愛知学院大学卒業 歯科医師免許取得
2006年 東京歯科大学千葉病院 臨床研修医修了
2006年 東北大学大学院歯学研究科 口腔発育学講座 顎口腔矯正学分野 入局
2010年 東北大学大学院歯学研究科 口腔発育学講座 顎口腔矯正学分野 卒業 歯学博士取得
2011年 東北大学大学院歯学研究科 口腔発育学講座 顎口腔矯正学分野 助教就任 
日本矯正歯科学会認定医取得
2014年 宮島悠旗ブライトオーソドンティクス開業
2017年 著書『国際人になりたければ英語力より歯を“磨け”-世界で活躍する人の「デンタルケア」-』出版(幻冬舎)
2021年 著書『歯並び美人で充実人生:幸せを呼ぶゴールデンスマイル』出版(合同フォレスト)
2022年 (株)オーティカインターナショナル/オーティカプロモーション myobrace® 認定講師就任
・資格
歯科医師免許、歯学博士(東北大学)、日本矯正歯科学会認定医
・所属学会 ほか
日本矯正歯科学会所属、invisalign® DIAMOND Status、 myobrace® 認定講師

歯周病とは

歯周病とは
まずは、歯周病の原因や代表的な症状、進行度について解説します。

歯周病の原因と症状

歯周病は、歯と歯茎の境目にたまる歯垢(プラーク)に含まれる細菌が引き起こす感染性疾患です。歯みがきが不十分だとプラークが増え、細菌が歯肉に炎症を起こして腫れや出血が生じます。

さらに進行すると、炎症は歯を支える骨にまでおよび、歯周ポケットが深くなり、歯が揺れたり歯茎が下がったりする原因になります。

プラークは放置すると歯石となって歯の表面に強固に付着し、その周囲で細菌が増殖することで、炎症がより深部へ広がっていきます。また、喫煙や糖尿病、合わない詰め物なども歯周病を悪化させる要因といわれています。

症状には以下のようなものがあります。

・口臭
・起床時のネバつき
・腫れ
・出血
・歯が浮く感覚
・物が挟まりやすくなる

歯周病は、気付かないうちに進行することも少なくありません。

歯周病の進行度(軽度〜重度)

歯周病は、歯茎の炎症だけでとどまる段階から、歯を支える骨が失われる重度の状態まで、以下のように段階的に悪化していきます。

・軽度(歯肉炎)
・中度(歯周炎)
・重度(歯周炎)

最初にみられるのは歯肉炎で、歯茎の赤み、腫れ、出血などが起こります。軽度の時点では、骨の破壊がないため自覚症状が乏しいとされています。

進行すると軽度〜中等度の歯周炎へ移行し、歯と歯茎のすき間(歯周ポケット)が深くなり、歯槽骨の吸収が始まります。歯茎が下がり、口臭、食べ物が詰まりやすい、歯が浮いたように感じるといった症状が現れます。

さらに悪化した重度歯周炎では、骨の破壊が進み、歯が大きく揺れ、噛むと痛みが出たり膿が出たりすることもあります。外科処置が必要となるケースもあり、放置すれば歯が自然に抜け落ちることもあります。

歯周病は早期の対応ほど改善しやすいため、初期段階での受診が重要です。

治療前に歯周病が見つかった場合

治療前に歯周病が見つかった場合
次に、歯周病が見つかった場合の対応について確認していきましょう。

基本的には歯周病治療を優先

矯正治療の前に歯周病が確認された場合は、まず炎症のコントロールを優先に行うことが基本です。

先に述べたように、歯周病は、プラーク中の細菌が歯肉や歯槽骨に炎症を起こす病気で、進行すれば歯を支える骨が溶け、歯が動揺する原因となります。その状態で歯を移動させる矯正力を加えると、歯周組織への負担が増し、骨の吸収や歯肉退縮が進行しやすくなってしまいます。土台の組織が弱った状態で矯正治療を開始すると、治療途中で歯が動揺したり、動的治療の継続が困難になったりするケースもあります。

そのため、安全な治療のためには、まず歯周組織を健康な状態に整えることが大切です。
歯周病治療は主に歯石除去や歯磨き指導を中心に進められ、炎症が改善すれば矯正治療に移行できます。

歯周病の進行度別|治療開始の判断基準

軽度の歯周病であれば、歯茎の腫れや出血が改善し、プラーク量や歯周ポケットの深さがコントロールできていれば矯正治療に移行できるケースが見られることが多いとされています。

中等度の歯周病では、初期治療後4〜8週間の再評価が重要となり、出血の減少、動揺度の改善、炎症の安定といった客観的な指標を確認したうえで慎重に矯正治療を進めます。
歯肉退縮や骨欠損がある場合は、歯の移動量や方向に制限を設け、治療期間を長めに設定する必要があります。

一方、重度の歯周病は歯槽骨の大きな吸収や歯の動揺があるため、マウスピース型矯正は基本的に適応できません。外科治療を併用して部分的な歯列矯正が可能な場合もありますが、歯科医師の厳格な管理が不可欠です。

マウスピース型矯正を避けた方がよいケース

マウスピース型矯正は口腔内の状態によっては適応が難しい場合があります。
ここでは、マウスピース型矯正を避けた方がよい代表的なケースを解説します。

重度の歯周病が進行している

繰り返しになりますが、重度の歯周病が進行している場合、マウスピース型矯正は基本的に適応できません。マウスピース型矯正は歯に継続的な矯正力をかけて位置を動かす仕組みですが、歯周病によって歯を支える歯槽骨が大きく損なわれていると、その力に耐えられず、歯のぐらつきが悪化し、歯が抜け落ちるリスクがあります。

また、マウスピースは歯全体を覆う構造のため、歯面に汚れや細菌が停滞しやすく、衛生状態が悪化すると歯周病をさらに進行させる可能性があります。矯正治療中に歯周病が悪化した場合も治療は中断され、まず歯周病治療が優先されます。

重度の歯周病では、歯列矯正を行う前に歯周組織を安定させることが何より重要です。歯周病治療によって炎症が改善し、歯槽骨の状態が一定レベルまで回復しなければ、マウスピース型矯正を安全に進めることはできません。

歯槽骨の吸収で歯の支えが弱くなっている

歯槽骨が大きく吸収され、歯の支えが弱くなっている場合は、マウスピース型矯正を避けるべきケースです。歯槽骨が薄くなっている状態では、矯正力に耐えられず、歯のぐらつきが悪化し、歯肉が下がって歯根が露出する、歯が抜けるなどのトラブルを引き起こす可能性があります。

歯槽骨が十分に回復し、歯の動揺が落ち着いた段階であれば、矯正治療を検討できるケースもあります。しかし、重度の歯周病がある場合は、歯にかかる負担を抑えることを優先する必要があります。そのため、あらかじめ歯列矯正の治療計画を慎重に調整し、歯への負担を考慮した妥協的なゴール設定が必要となる可能性があります。

歯茎の炎症が改善していない

歯茎の炎症が改善していない状態では、マウスピース型矯正を始めるべきではありません。

歯周病で歯茎が赤く腫れ、出血、排膿が続いている場合、口腔内では細菌量が増加し、歯周組織がすでに弱っている可能性があります。このような状態で矯正治療を進めると、歯を動かす力が炎症をさらに悪化させ、歯槽骨の吸収が進行し、歯が揺れたり抜けたりするリスクが高まります。

重度の歯周病の場合、改善が難しく抜歯が必要となるケースもあります。抜歯後に歯列矯正インプラントを検討することは可能とされていますが、いずれも炎症が改善してからでなければ進められません。

矯正治療を安全に行うためには、まず歯周病治療によって炎症を抑え、歯周組織を安定させることが不可欠です。

治療中に歯周病が見つかった場合

治療中に歯周病が見つかった場合
矯正治療の途中で歯周病が見つかった場合は、歯周病の進行度によって対応は異なります。
ここでは重症度別の対応を解説します。

軽度の歯周病の場合

矯正治療の途中で軽度の歯周病が確認された場合、まずは、歯垢や歯石を取り除くスケーリングや、必要に応じたルートプレーニングが行われます。
併せて、歯磨きや歯間清掃の方法を見直す口腔衛生指導が実施され、セルフケアの質を高めることで再発を防ぎます。軽度の症状であれば、抗菌性洗口剤の併用や短いサイクルでの専門的クリーニングを取り入れることで改善が早まることもあります。

マウスピースは取り外して清掃できるため歯周病治療との併行がしやすく、矯正治療を継続できる場合がほとんどといわれています。

中度〜重度の歯周病の場合

矯正治療の途中で中度〜重度の歯周病が確認された場合は、歯周組織への負担を避けるため、まず歯周病治療を優先する対応が求められます。歯周ポケットの深さや炎症の程度によっては、矯正治療を一時的に中断し、進行を抑えることが必要です。

治療では、スケーリングルートプレーニングを中心とした歯周基本治療に加え、フラップ手術GTR法といった外科的アプローチが選択される場合もあります。

中度の段階では、骨の吸収が進み始めているため、抗菌薬の使用や短期間での再評価を行い、炎症の改善状況を慎重に確認しながら治療計画を調整します。炎症が残った状態で矯正力をかけると、歯の動揺が進み、歯周組織のさらなる破壊につながる可能性があるため注意が必要です。

重度の歯周病では、歯を支える骨の著しい喪失がみられるため、矯正治療の継続が難しいケースがあります。まず歯周病を安定させ、歯を支える土台が十分に整った段階で歯列矯正を再開するのが基本です。

マウスピース型矯正中に歯周病やむし歯を防ぐための予防法

マウスピース型矯正中に歯周病やむし歯を防ぐための予防法
マウスピース型矯正中は、口腔内の環境を良好に保つことが大切です。
ここでは、具体的なむし歯の予防方法を解説します。

日常のケアで口腔内を清潔に保つ方法

マウスピース型矯正を安全に進めるためには、日常の口腔ケアと歯科医院での定期的なチェックを丁寧に行うことが欠かせません。

・食後の歯磨き
・デンタルフロスや歯間ブラシの併用
・歯科医院での歯磨き指導

マウスピースを装着する前には、歯を磨いて口腔内を清潔にしておく必要があります。食べかすが残ったまま装着すると、装置内部に細菌が増えやすく、むし歯や歯周病の発症リスクを高めてしまいます。

また、歯と歯の間はプラークが溜まりやすく、むし歯の好発部位とされているため、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することが推奨されています。
フロスを通すことで細かな隙間の汚れまで除去でき、清掃効果が高まるといわれています。歯間ブラシを使用する際は、すき間に応じたサイズを選ぶようにしましょう。

さらに、歯科医院での指導を受けることで、より効果が期待できる歯磨き方法を身につけることができます。

こうした毎日のケアを丁寧に積み重ねることが、治療中の口腔トラブル予防につながります。

マウスピースを衛生的に保つ洗浄方法

マウスピースを衛生的に保つ洗浄のポイントを紹介します。

・外したらすぐに流水で洗浄する
・歯磨き粉は使わず、やわらかいブラシで優しく洗う
・専用洗浄剤を週1〜2回使用する
・洗浄後はしっかりすすいで乾燥させる

マウスピース型矯正を快適に進めるためには、装置を常に清潔に保つことが欠かせません。

外した直後のマウスピースには、唾液に含まれる細菌が多く付着しているため、まずは流水ですすぐ習慣をつけましょう。熱湯は変形の原因となるため、冷水かぬるま湯を使用します。その後、やわらかい毛のブラシで軽くこすり洗いをしますが、歯磨き粉は研磨剤が含まれるため使用は避ける必要があります。

細かな汚れが気になる場合は、マウスピース専用の洗浄剤や中性洗剤を使うと効果が期待できます。また、週に1〜2回は専用洗浄剤に浸け置きすることで、普段の洗浄では落ちないタンパク汚れや細菌をしっかり除去できます。

洗浄後は洗剤成分が残らないよう十分にすすぎ、タオルで水分を取り除いた後に自然乾燥させましょう。湿ったまま保管するとカビや細菌の繁殖につながるため、乾燥工程も重要です。

こうした日常的なケアにより、マウスピースを衛生的に保ち、矯正治療を安全に進めることができます。

定期的な歯科検診を受ける

矯正治療を安全に進めるためには、日々のセルフケアに加え、歯科医院での定期検診が重要です。見た目に変化がなくても、専門的なチェックによりお口のトラブルを早期に防ぐことができます。

【定期検診で確認できること】
・アライナーの適合状態の確認
・むし歯や歯周病の早期発見
・歯石除去など専門的クリーニング
・歯磨き方法の見直し
・治療計画が順調に進んでいるかの評価

定期検診では、まずアライナーが正しくフィットしているかが確認されます。装置のわずかな変形でも歯の移動が乱れ、治療が計画通りに進まないことがあるためです。

また、矯正治療中は歯や歯茎への負担が増え、むし歯や歯周病のリスクが高まります。専門的な検査とクリーニングによって、セルフケアだけでは落としきれない汚れを除去し、口腔環境を健康に保つことができます。

さらに、歯磨き指導を通して、清掃が難しい部分のケア方法を改善できる点も大きなメリットです。治療の進捗確認も行われ、必要に応じてアライナーや治療計画の調整ができます。

こうした定期的な検診を継続することで、矯正治療を安全に進めることにつながります。

編集部まとめ

編集部まとめ

ここまで歯周病でもマウスピース型矯正はできるのか、お伝えしてきました。記事の要点をまとめると以下のとおりです。

  • 歯周病がある場合のマウスピース型矯正の可否は進行度により異なる。軽度なら炎症が改善すれば治療可能なことが多いとされ、中等度は初期治療後の再評価を経て慎重に進める。重度では適応が難しく、必要に応じて外科治療が検討される
  • 重度の歯周病や歯槽骨の吸収が進んでいる場合、マウスピース型矯正は歯の動揺悪化や脱落のリスクがあるため適応できない。歯茎の炎症が続く場合も細菌が増えやすく、歯周病悪化につながるため治療前の安定が必須である
  • 矯正治療中に歯周病が見つかった場合、軽度であれば清掃やセルフケアの見直しを行いながら治療を継続できることが多いとされる。一方、中等度以上では歯列矯正を中断し歯周病治療を優先する必要があり、炎症や骨の状態が安定してから再開を検討する

歯周病があっても、進行度や口腔内の状態によっては、歯周病の治療を受けることでマウスピース型矯正を進められる場合があります。マウスピース型矯正を検討している方は、歯周病があるからと諦めずに、歯科医師に相談をしてみましょう。

これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

この記事の監修歯科医師

注目記事