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インプラントを抜くときの治療法や除去のリスクなどについて解説

 公開日:2026/02/25
インプラントを抜くときの治療法や除去のリスクなどについて解説

せっかく費用と長い期間をかけて治療したインプラントでも、なんらかの理由で抜く必要性に迫られるケースはあります。そんなときに、将来的なお口の健康の維持のためにどうするべきかや、抜くことによるリスクなどが気になることでしょう。
この記事では、インプラントを抜くことのリスクや、除去後の対処法などについて解説します。

松浦 明

監修歯科医師
松浦 明(歯科医師)

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職場
医療法人 松栄会 まつうら歯科クリニック

出身大学
福岡歯科大学

経歴
1989年福岡歯科大学 卒業
1991年松浦明歯科医院 開院
2020年医療法人松栄会まつうら歯科 理事長就任

資格
厚生労働省認定研修指導医
日本口腔インプラント学会認定医
ICOI (国際インプラント学会)Fellowship認定医

所属学会
ICOI(国際口腔インプラント学会)
日本口腔インプラント学会
日本臨床歯科学会(SJCD) 福岡支部 理事
日本顎咬合学会 会員
日本臨床歯科CAD/CAM学会(JSCAD)会員

インプラントを抜くのはなぜ?

インプラントを抜くのはなぜ?

どのような場合にインプラントを抜く必要がありますか?

インプラントを抜かなければならない状況には、いくつかの要因があります。
そのうち代表的な原因はインプラント周囲炎です。これはインプラントにおける歯周病のような病気で、細菌感染によって周囲の骨が溶けてしまうのが特徴です。進行するとインプラントを支える土台が失われてぐらつきが生じ、最終的には抜去せざるを得なくなります。
また、まれに金属アレルギーが原因となることもあります。使用されているチタンなどの金属が身体に合わず、口腔内の炎症や全身の湿疹といったアレルギー反応が出た場合は、継続使用が困難です。この場合は、ジルコニアなどの別の素材による再治療や、入れ歯、ブリッジといったほかの治療法を検討することになります。
そのほか、強い衝撃や過度な負荷によるインプラント体の破損、あるいは事前の骨造成が不十分でインプラントが骨と正常に結合しなかった場合にも、抜去が必要になることがあります。

インプラントがぐらつく・痛む場合は抜くしかない?

インプラントがぐらついたり、痛んだりする場合でも、必ずしもすぐに抜去が必要になるわけではありません。
ぐらつきの原因が、本体を固定しているアバットメント(連結部)のネジの緩みであれば、歯科医院で締め直すことで解消できます。ここで重要なのは、ご自身で調整しようとしたり放置したりせず、すぐに手術を受けた歯科医院へ相談することです。無理に力をかけると、根本的な破損を招く恐れがあります。
一方で、ぐらつきや痛みの原因が骨との結合不良やインプラント周囲炎など、ネジの緩み以外にある場合は、抜去が必要になるケースが多くなります。その際は、一度抜いて数ヶ月間骨の回復を待ってから再手術を行うか、もしくはお身体の相性などを考慮して入れ歯やブリッジなどほかの治療法を検討することになります。

インプラントを抜くときに知っておきたい治療の流れと費用

インプラントを抜くときに知っておきたい治療の流れと費用

インプラントを抜くときの方法を教えてください

インプラントを抜去する際は、通常の治療と同様に局所麻酔を施したうえで外科手術を行います。
骨吸収が著しく進んでいる場合は軽く引っ張っただけで容易に抜けることもありますが、基本的には専用の器具を用いて慎重に取り出します。インプラント体はネジのような形状で骨に固定されているため、専用器具で逆回転のトルクをかけることで、周囲の組織へのダメージを抑えながら抜き取ります。
ただし、インプラントが骨と強固に結合している場合や周囲の状態によっては、やむを得ず周囲の骨をわずかに削って取り出すこともあります。抜去後は、傷口の回復を待ちながら、その後の再治療に向けた計画を立てていくことになります。

インプラントを抜くときに痛みはありますか?

インプラントを抜く手術の際には、局所麻酔を施すため、手術中の痛みはほとんどないといえます。しかし、麻酔が切れた後に痛みや違和感を感じることはあります。
痛みの度合いによっては鎮痛剤を処方されることがあるため、気になる場合は歯科医師に相談するのがよいでしょう。

インプラントを抜くときは保険適用ですか?

インプラントを抜く施術は、歯科用インプラント摘出術として、保険適用となることが多いです。
保険適用になるケースとしては、インプラントの埋入を行った歯科医院とは別の歯科医院で、歯科医師によってインプラント除去が必要と判断された場合となります。
また、条件として、インプラントを抜く前に撮影した患部のレントゲン写真が必要です。
歯科用インプラント摘出術の保険適用時の費用は3割負担で1本あたり1,500円前後です。追加処置として骨を削る場合には、骨開削術として3割負担で690円が加算されます。
さらに、レントゲンの撮影料も保険適用で、パノラマレントゲン撮影で1206円となります。

自費診療でインプラントを抜くときもありますか?

インプラントを抜去する際の費用設定は、その処置を行う歯科医院や状況によって異なります。
もともとインプラント治療そのものが自費診療であるため、埋入を行った歯科医院で抜く場合は、自費診療として扱われることが一般的です。費用設定は歯科医院ごとに独自の基準があるため、事前に確認しておくことが大切です。
ただし、歯科医院によっては独自の保証制度を設けているケースがあります。一定期間内のトラブルであれば、抜去処置やその後の再治療を無償、あるいは安価な負担で受けられる場合もあります。まずは治療を受けた歯科医院の規約を確認し、担当医に相談してみることをおすすめします。

インプラントを抜いた後の治療

インプラントを抜いた後の治療

インプラントを抜いたらそのまま放置しても大丈夫ですか?

インプラントを抜去した後にそのまま放置することは、お口全体の健康維持の観点から推奨されません。
放置してしまうと、歯を失った部分の顎骨が次第に吸収されて痩せていってしまいます。将来的に、再度インプラントにしたいと思ったときには、骨の量が足りず適応できなかったり、大幅な骨造成手術が必要になったりするため、治療費や期間の負担が増大するリスクがあります。
抜去後に再度インプラントを検討する場合、一般的には抜いた箇所の治癒を待って2ヶ月から3ヶ月後に行う待時埋入が検討されますが、お口の条件が整っていれば、抜去と同時にインプラントを埋入できるケースもあります。
また、インプラントを再開しないという選択をする場合でも、そのままにはせず、入れ歯やブリッジなどの適切な補綴治療を行うことが大切です。これにより、周囲の歯が動くのを防ぎ、顎骨の過度な吸収を抑えることができます。

インプラントを抜いた後すぐに再治療は可能ですか?

インプラントを抜いた直後の再治療は、一定の条件を満たせば可能ですが、適応となるケースは慎重に見極める必要があります。
抜歯がスムーズに行われ、抜去箇所の骨量や骨質が十分に確保されていることが大前提となります。さらに、周囲に深刻な感染症や炎症がなく、歯周病が軽度で全身の健康状態も良好であれば、抜歯と同時に新しいインプラントを埋入する抜歯即時埋入を検討できます。
一方で、抜去後の骨欠損が大きすぎる場合や、重度の感染、あるいは急性炎症が起きている場合は、即時の再治療は行えません。この場合は、一度患部の治癒を待ってからあらためて手術を行う必要があります。
抜歯即時埋入は、手術回数を減らし治療期間を大幅に短縮できるという大きなメリットがありますが、適応条件が厳しいという側面も持っています。ご自身の状況で即時再治療が可能かどうかは自己判断が難しいため、抜歯の手術を受ける前に、必ず歯科医師による詳細な診断と相談を行うことが大切です。

インプラントを抜いた後のインプラント以外の治療法を教えてください

インプラントを抜去した後の代替案としては、主に部分入れ歯とブリッジの2つの選択肢が検討されます。
まず部分入れ歯は、残っている歯にクラスプという金属のバネを掛けて義歯を固定する治療法です。取り外して洗浄できるため衛生面で優れており、隣り合う歯をほとんど削らずに済むため、身体や歯への侵襲を少なく抑えられるというメリットがあります。
次に検討されるブリッジは、欠損した部分の両隣の歯を削り、橋を架けるように一体型の義歯を被せて固定する治療法です。見た目が天然歯に近く、ご自身の歯と同じ感覚でしっかり噛めるメリットがある一方で、支えとなる健康な歯を削らなければならないというデメリットがあります。
いずれにしても、抜去したまま放置すると顎骨の吸収が進むだけでなく、歯並びや噛み合わせを崩すリスクがあります。将来のお口の健康を守るためにも、できるだけ早期にいずれかの治療を行うことが強く推奨されます。

編集部まとめ

編集部まとめ

やむを得ない理由でインプラントの抜去が必要になることはありますが、その後の適切な対処が、将来お口の健康を取り戻せるかどうかの分かれ道となります。

インプラントの再治療を迷っている場合でも、まずは抜去した箇所の治癒を待ち、2〜3ヶ月後を目安に部分入れ歯などを検討しましょう。ひとまず装置を使用することで、顎骨が痩せるのを防ぎ、歯並びを維持することにつながります。

抜去後の適切な治療法は患者さん一人ひとりの状況によって異なります。大切なのは自己判断で放置せず、信頼できる歯科医師と対話を重ねながら、将来を見据えた治療計画を一緒に立てていくことです。

この記事の監修歯科医師

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