口腔内の健康に欠かせない予防歯科と唾液検査
予防歯科の重要性について話を聞くことはあるものの、経験したことがない唾液検査がどのようなものか分からないという人もいるでしょう。予防歯科に興味はあるけれど、唾液検査が複雑なもので手間隙かかるようならやめておこうかと思っているかもしれません。歯科といえば虫歯の治療くらいしか馴染みがない人には無理のないことです。そうした人のために、予防歯科における唾液検査の概要と注意点などについてMedical DOC編集部がお届けします。
谷澤 綾乃 (DENTAL TANIZAWA 院長)
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予防歯科が重視される現代
日本では、虫歯になったら歯科医院に行って治療を受けるのが普通のことです。しかし、虫歯になって困るのは、痛い思いをすることだけではありません。治療のために削った歯は、元に戻ることがないのはもちろんのこと、健康な状態と比べて寿命が短くなるともいわれています。つまり、虫歯になって治療するたびに、その歯を失う時期が近付いている可能性が高いともいえるのです。
また、虫歯や歯周病などにより歯の健康を損ねることで、体の各部へ悪影響を及ぼすこともあります。80歳まで自分の歯を20本以上守ろうという8020運動でもわかるように、自分の歯を健康な状態で保つことに大きな意味があります。それが予防歯科です。虫歯になる前に行う予防歯科の取り組みは、早くはじめるに越したことはありません。しかし、「早くはじめること」以上に「継続して行うこと」が重要です。
予防歯科にはセルフケアも重要
予防歯科で主に行われることとしては、歯科医院で歯と口腔内の健康状態をチェックしてもらい、不具合を早期発見するというものがあります。また、歯科衛生士などが行うスケーリングによって歯石などの汚れを落とすことも予防歯科には欠かせない重要な施術となっています。重要なことは、予防歯科は歯科医院だけで行うものではないということです。日常生活におけるセルフケアを抜きにしては歯の健康は守れません。家庭でのブラッシングなどを効果的に行うことも予防歯科の領域だといえます。そのための指導は歯科医院で受けることができます。
歯科医院で行われるチェック方法としては、目視やレントゲン写真を使った診察、歯周ポケットの計測、そして唾液検査などがあります。
予防歯科における唾液検査
虫歯や歯周病には、なりにくい人となりやすい人がいるといわれています。自分は虫歯になりにくいから予防歯科なんか必要ないと思っていると、思わぬ落とし穴が待っているかもしれません。虫歯になりにくいものの、歯周病になりやすい可能性があるためです。予防歯科は、虫歯だけでなく歯周病の予防と早期発見にも役立つものといえます。
唾液検査は短時間で簡単
さて、予防歯科における唾液検査とはどのような検査でしょうか。経験したことがなければ、なにかと不安に感じるかもしれません。しかし、歯科医院で受ける唾液検査はサリバテストと呼ばれており、小さな子供にも負担が少ない簡単なものです。唾液検査を受ける側としては、いくつか注意点はありますが、(歯磨きをしてはいけない、運動した後は受診できない等)基本的には何も準備をする必要はありません。検査を受ける当日と検査結果を聞く日の2回、歯科医院へ行くだけです。
唾液検査の一般的な手順
検査の手順としては、唾液を十分に分泌させる必要があるため、用意されたガムを数分間噛むことから始まります。次に、分泌された唾液を容器に出します。本人がすべきことはたったこれだけです。採取された唾液は、歯科医院側で検査されます。検査項目としては、唾液の量と含まれるミュータンス菌とラクトバチラス菌の数です。
ミュータンス菌とラクトバチラス菌は、それぞれ2日間と4日間の培養を経てからの判定となります。また、実際の検査現場では、歯科医院によって菌の採取方法が異なることがあります。採取した唾液からラクトバチラス菌を培養するケースもあれば、ミュータンス菌と同様に口腔内から採取するケースもあります。口腔内からの採取方法は、綿棒などの採取用の道具を使い、舌をこする方法と歯垢をとる方法です。
唾液検査の結果と活かし方
唾液検査の結果から一般的にわかることは以下のとおりです。
・唾液の量…少ないと虫歯になりやすく、多ければ虫歯になりにくいとされています。
・ミュータンス菌の数…ミュータンス菌は虫歯菌とも呼ばれている有名な細菌で、多ければ虫歯のリスクが高くなります。
・ラクトバチラス菌の数…あまり一般の知名度は高くないようですが、虫歯の進行にかかわる細菌で、少ない方が良いといえます。
その他、唾液に含まれるタンパク質やアンモニア、白血球の数や唾液の酸性度などもわかります。これらの数値によって、口腔内の健康状態が判断され、将来的なリスクが予測されます。
唾液検査にもバリエーションがある
唾液検査には、前述のタイプ以外にも、培養期間を設けて行う唾液検査だけでなく、検査当日におおまかな数値による結果を聞くことができる簡易的な検査もあります。また、検査の項目として、唾液に含まれるタンパク質やアンモニア、白血球の数や唾液の酸性度などが加わるものもあります。こうした違いから、検査で分かることにも違いが生じますが、予防歯科としての意義があるという意味では同じです。
唾液検査を受けたあとが大事
予防歯科において、唾液検査は受けたあとがいちばん重要だといえます。ただ唾液検査を受けただけでは、なにも予防にならないためです。
・良くない結果が出た場合…虫歯菌が大量に見つかるなど、口腔内の状態が悪いという結果が出たなら、すぐにでもケアを始めるべきだといえます。すでに虫歯になっていた場合などは、速やかに治療を受けましょう。
・良い結果が出た場合…どの数値も問題のないものであり、その他にも特筆すべき点がなかったなら、まずはひと安心です。しかし、それで満足するのではなく、引き続き良好な状態を保つためのケアを行う必要があります。また、定期的なチェックも欠かさずに行いましょう。
唾液検査を受ける際の注意点
予防歯科には欠かせない唾液検査の重要性が確認できたところで、受けるにあたり注意しておきたい点を確認しておきます。
唾液検査は自由診療のため費用はクリニックによって違う
一般的な虫歯の治療を受ける場合は健康保険の対象となることが多いため、金銭的な負担も小さくて済むことが多いものです。しかし、日本の保険制度では、病気やケガの治療に該当しない場合は原則として保険が使えません。これは、見た目をきれいにするための審美歯科だけでなく、予防歯科でも同様となります。そのため、唾液検査も含めて予防歯科で歯科クリニックを利用する場合は費用の全額を自分で負担しなくてはなりません。
予防歯科の料金体系は、各クリニックが独自に定める「自由診療」であり、費用の予測はつきにくいものです。事前に知りたい場合は、各クリニックに個別に確認する必要があります。
長く通える歯科医院を選ぶ
また、定期的かつ長く継続して唾液検査を受けるなら、かかりつけの歯科医院を持った方が有利なことが多いといえます。そのためには、距離的・時間的な面や歯医者さんとの相性まで含めて、通院しやすい歯科医院を選ぶことも重要です。
今日からはじめる予防歯科
健康寿命が平均寿命と同じくらいになって長生きできれば素晴らしいことではないでしょうか。歯と口腔内の疾患は、健康な生活の妨げとなります。人間ドックや脳ドックを受けるように、歯と口腔内の健康状態にも積極的に関心をもつことは、健康で長生きできる人生の第一歩となる可能性があります。そのためには、歯科医院での唾液検査を含めた定期健診を受けることが重要です。少し費用はかかりますが、それほど時間もかからず、身体的な負担も少ないため小さな時期からはじめられるでしょう。ただ、歯科医院任せでは不十分であり、毎日のセルフケアがとても大切になります。予防歯科の実践を習慣にすることで、健康を守っていきましょう。
人間ドックなどで血液検査をするのと同じように、自分のリスクを把握しておくことは予防にとってとても重要なことです。予防歯科は自分のリスクの高さを知ることから始まります。リスクの高さがわからなければ、予防の対策が練れませんので唾液検査はとても重要な指標になります。一度も受けたことが無いという方は一度受けてみると、何が原因で虫歯になりやすかったのかが明確になりますのでお勧めです。また、一般的には唾液検査の際に歯科衛生士から、食習慣やケア用品についての指導がありますので、予防の専門家である歯科衛生士からデータに基づいた貴方にぴったりの予防方法を聞くことができる貴重なチャンスになります!
監修ドクター:谷澤 綾乃 歯科医師 DENTAL TANIZAWA 院長
予防歯科でおすすめの歯医者さん 関東編
DENTAL TANIZAWA
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