歯周病には確実な治療を!歯周病治療における専門医について
歯磨きをしていたら歯茎から出血が・・・という経験がある方も読者の方の中には居るのではないでしょうか?
ひょっとしたらその出血は歯周病によるものかも知れません。
「歯茎の腫れや出血くらい大した問題では無い」と考えてしまい治療をおこなわずに放置してしまう方も多いこの歯周病ですが、重症化することによって激しい痛みの原因となってしまうことに加えて、最悪の場合には歯の欠落や糖尿病、心筋梗塞や脳梗塞などの命にかかわる重篤な疾病を招いてしまう恐れのあるとても恐ろしい病気であることから、一刻も早い治療が求められる病気なのです。
この歯周病の治療において、担当する歯科医師の技術力が高ければ高いほど効果的な治療効果が望めることは言うまでもないことですが、歯周病治療における歯科医師のスキルを図るためのポイントには一体どのようなものがあるのでしょうか?
そこで今回は、歯周病治療における歯科医師選びのポイントについて、日本歯周病学会が定める専門医制度を中心にMedical DOC編集部が解説いたします。
この記事の監修ドクター:
佐藤 博久 歯科医師 与野駅前ヒロデンタルクリニック 院長
目次 -INDEX-
歯周病についての基礎知識
歯周病治療における専門医などについて解説してゆく前に、まずは歯周病の基礎知識についてしっかりと確認しておきましょう。
歯周病とは?
平成26年の厚生労働省による調査によると、歯肉炎などの歯周疾患の治療を受診しているとされる患者数はなんとおよそ331万5,000人もおり、その数は3年前の前回調査と比較して65万人以上も増加していることがわかりました。
歯肉炎や歯周炎などの歯周疾患は総じて「歯周病」と呼ばれており、この調査結果からも歯周病は大変身近な病気であり、もはや国民病であると言っても過言ではないほどなのです。
歯周病について端的に解説すると、歯周病とは「口の内に住む歯周病原因菌が持つ毒素によって、歯肉などの歯周組織に炎症を引き起こす、口腔内の感染症である」ということになります。
この歯周病は重症化することによって様々な重篤な健康リスクを招いてしまうことが知られていますが、感染初期の段階では「サイレントディジーズ(Silent Disease:静かなる病気)」と呼ばれているほど自覚症状も無いままに進行してゆき、歯のぐらつきや口臭などによって気付いた時にはすでに相当重症化してしまっているというケースもある恐ろしい病気なのです。
歯周病進行のメカニズムとそれぞれの症状の特徴
歯周病の原因菌によって引き起こされる歯周疾患の総称である「歯周病」には、その症状の進行度によってふたつの代表的な疾患があります。
歯肉炎
歯周病の原因菌は酸素を嫌うという特性があることから、酸素の届かない歯と歯肉の隙間(歯周ポケット)に溜まった「プラーク(歯垢)」を住処として増殖します。
この増殖の過程で歯周病原因菌の毒素によって歯肉が炎症をおこし、赤み・腫れ・出血の症状が発症し、炎症が歯肉に限定されている状態が歯肉炎です。
歯周炎
歯肉の炎症をともなう歯肉炎が進行すると、歯肉に隣接する「歯槽骨・歯根膜・セメント質」と呼ばれる歯の根を取り囲む歯周組織へと感染が広がります。
この状態でもあまり自覚症状はなく静かに進行してゆきますが、さらなる重症化によって激しい痛みや膿・出血の症状が現れます。やがて重症化した歯周炎は歯根に隣接する歯槽骨を完全に溶かしてしまい、歯の欠落を招いてしまうのです。
歯周病が原因となる恐ろしい全身疾患
歯周病によって歯が抜け落ちてしまったからといって治療を怠ることは良くありません。
歯周病の病巣に残存した歯周病菌は、血管から全身へと送り込まれインスリンの働きを疎外することで糖尿病の症状を増強するケースも少なくありません。
さらに、歯周病原因菌は、狭心症・心筋梗塞・脳梗塞の原因となる動脈硬化の発症リスクの増大を招いてしまうのです。
歯周病は口内の問題だけではなく、最悪の場合には生命へと関わる危険な病気であることから、歯科医師による早急かつ確実な治療が必要とされる病気なのです。
歯周病治療における「専門医」について
ここまで歯周病についての基礎知識を確認した中で、口内のみならず全身の健康への悪影響が懸念される歯周病には、歯科医師による確実な治療が求められることがおわかりいただけたかと思います。
歯周病治療における歯科医師の専門性やスキルを計る基準のひとつとして、日本歯周病学会が定める「専門医」の認定制度があります。ここからは、この専門医について詳しく解説してまいります。
日本歯周病学会について
現在の日本において歯科医師の専門性を示す認定制度の内、厚生労働省によって広告を許可された専門制度の認定団体には以下の5つがあります。
・社団法人 日本口腔外科学会(口腔外科専門医)
・特定非営利活動法人 日本歯周病学会(歯周病専門医)
・一般社団法人 日本歯科麻酔学会(歯科麻酔専門医)
・一般社団法人 日本小児歯科学会(小児歯科専門医)
・特定非営利活動法人 日本歯科放射線学会(歯科放射線専門医)
上記のとおり、日本歯周病学会が定める「歯周病専門医」もこれに含まれており、歯周病専門医の資格は厚生労働省に認められた日本歯周病学会による認可であるという信頼性が担保されている資格であると考えられるのです。
歯周病を克服し国民の歯を一本でも多く残すことを目的として1957年に設立された日本歯周病学会。この団体についてはご存じなくても、80歳まで自分の20本の歯を残すための啓蒙活動である「8020運動」などは耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか?
歯周病治療における「専門医」の信頼性について
前述のとおり、厚生労働省に認められた日本歯周病学会による認可であるという信頼性が担保されていると考えることができる「歯周病専門医」という資格。この資格を持つ歯科医師は、すなわち同様の信頼性が担保されている歯科医師であると言っても過言ではないでしょう。
歯科医師が歯周病専門医の認定を受けるためには、日本歯周病学会による大変ハイレベルな歯周病治療技術や知識についての試験に合格する必要があり、日本に10万人以上いる歯科医師の内、日本歯周病学会に所属している歯科医師1万人以上の中の、約1100人のみが認定を受けた歯周病専門医であるという、非常に狭き門を突破して認定を受けている非常に優秀な医師であると言えるのです。
さらに、この資格を保持しつづけるためには5年ごとの更新が必要となり、試験と同様更新にも最新の歯周病治療の知識や歯周病治療における優れた実績が必要となるため、歯周病専門医であるかぎりその優秀性は永続的に保たれるシステムとなっているのです。
このように優秀性が担保されている歯周病専門医と一般の歯科医師を比較すると、もちろん一般の歯科医師の中にも優秀な医師は存在していますが医師によってスキルの高低は様々であり、歯周病専門医の場合にはその全員が日本歯周病学会が設定する大変ハイレベルな基準をクリアしている優秀な医師であると考えられるのです。
歯周病治療における歯科医師選びのポイント
歯周病治療において確実な治療を受けるための歯科医師選びのポイントとして、上記の理由から歯周病専門医を選ぶことで資格に定められた高い基準による歯周病治療が受けられる点が大きなポイントとなることでしょう。
しかし、前述のとおり歯周病専門医の認定は大変狭き門であるため、お住まいの地域に歯周病専門医が存在していない場合もあります。
確実な歯周病治療のための歯科医師選びのポイントにはこの他にも、
・正確な診断と確実な治療を実現する歯科用CTなどの「治療設備の充実」
・治療前カウンセリングの丁寧さ・適切なコミュニケーションの疎通
・治療前の検査の正確さ(口腔内写真、レントゲンを撮ったり、歯周病の検査を行なってい る等、必要な資料を取っているかどうか)
などのポイントについては、実際の治療を開始する前に確認することができます。確実な歯周病治療を受けるために、心に留めておくことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたでしょうか?今回は、歯周病治療における歯科医師選びのポイントについて、日本歯周病学会が定める専門医制度を中心に解説いたしました。
厚生労働省に認可された日本歯周病学会が認定する歯周病専門医には、その制度によって高い信頼性が担保されており、確実な歯周病治療のための歯科医師選びの基準として大いに役立つことがおわかりいただけたかと思います。
また、この他にも歯科医師選びのポイントはいくつかあり、実際の歯周病治療を開始する前に歯科医師を選ぶために有効であることがおわかりいただけたかと思います。
最悪の場合には命を失ってしまう危険性もある恐ろしい歯周病を「痛くないから」といって放置せずに、確実な治療を受けてしっかりと治すようにしましょう!
監修ドクター:佐藤 博久 歯科医師 与野駅前ヒロデンタルクリニック 院長
歯周病治療でおすすめの歯医者さん 関東編
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