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「ラミネートベニア」が向いている人の特徴はご存じですか? 費用や注意点、メリット・デメリットも歯科医が解説!

 公開日:2025/04/07

「歯の色や形が気になる」「歯のすき間を治したい」といったお悩みを解決する選択肢の1つに、「ラミネートベニア」という治療法があります。ラミネートベニアは歯を削る量を最小限に抑えながら、前歯の見た目が改善できる治療法として注目を集めています。今回は、ラミネートベニアの特徴や治療の流れ、費用や期間、治療後の注意点について、「ブランデンタルクリニック」の溝口先生に解説していただきました。

溝口 久勝

監修歯科医師
溝口 久勝(ブランデンタルクリニック)

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福岡歯科大学卒業。その後、広島大学病院研修医課程修了、複数の歯科医院で勤務医として経験を積む。2024年、広島県広島市に「ブランデンタルクリニック」を開院。患者さんの背景やニーズに寄り添い、痛みを抑えた治療とむし歯・歯周病の予防を重視する地域密着型の歯科医療を提供する。

ラミネートベニアとは? 治療の特徴やメリット・デメリット、適応について

ラミネートベニアとは? 治療の特徴やメリット・デメリット、適応について

編集部編集部

ラミネートベニアとはどのような治療ですか? 目的や特徴について教えてください。

溝口 久勝先生溝口先生

ラミネートベニアは、薄い板状のセラミックを歯の表面に接着する治療法で、上の前歯の見た目を改善する目的でおこないます。色調の改善や、軽度の歯並びの乱れや歯と歯の間のすき間の改善をする治療などに適しています。通常の被せ物とは異なり、歯を大きく削る必要がないため、できるだけ天然歯を残したまま見た目を美しく整えられるのが大きな特徴です。噛み合わせの改善というよりも、審美的な改善を重視した治療法と言えます。

編集部編集部

具体的に、どのようなお悩みのある人にラミネートベニアは適していますか?

溝口 久勝先生溝口先生

「歯の色に関して悩んでいる人」に適していると言えるでしょう。例えば、ホワイトニングでの改善が難しい歯の変色で悩んでいる人や、西洋人のような白い歯になりたい人にはおすすめです。日本人は西洋人と比べてエナメル質が薄いため、ホワイトニングだけでは天然の歯を白くすることに限界がありますが、ラミネートベニアであればご希望の白さが実現できます。また、軽度の歯の傾きや捻れ、歯と歯のすき間などの見た目の問題が気になる人にも適しています。

編集部編集部

ラミネートベニアのメリットを教えてください。

溝口 久勝先生溝口先生

最大のメリットは、歯を最小限しか削らないため、歯への負担が少ない点です。また、使用するセラミックは汚れや着色がつきにくいという特徴があります。これはセラミックの容器(陶器)とプラスチックの容器を比べた場合、お茶碗の方が圧倒的に汚れにくいのと同じ原理です。汚れが付きにくいため、むし歯リスクが減らせるのもセラミックの利点と言えます。さらに、セラミックは透過性が高いため自然な仕上がりが実現できるほか、患者さんのニーズに合わせて形を調整できるのも大きなメリットです。

編集部編集部

では、デメリットについてはいかがでしょうか?

溝口 久勝先生溝口先生

デメリットとしては、自由診療となるため費用が高額になる点が挙げられます。また、歯を削らないノンプレップベニアを除き、通常のラミネートベニアでは歯を削る必要があるため、不可逆的な治療となってしまうのもデメリットです。加えて、歯の大きな形状の変化や歯並びの乱れには対応できないという制限もあります。

編集部編集部

ラミネートベニアを希望しても、適応できないケースはありますか?

溝口 久勝先生溝口先生

ラミネートベニアは上の前歯を対象にした治療なので、下の前歯の変色や形の改善に用いることはできません。また、重度のむし歯や歯周病がある場合も、土台が弱っているため治療の対象外となります。そのほかに、歯ぎしりや食いしばりの習慣がある人、下顎の前歯が上顎の前歯より前に来ている人(反対咬合の人)、前歯の突き上げが大きい人は、ラミネートベニアが剥がれたり割れたりするリスクがあるため適していません。加えて、歯並びの治療を希望する人の場合は、ラミネートベニアで適切に修復できるかを慎重に精査する必要があります。

ラミネートベニアの治療の流れや通院回数、費用を徹底解説

ラミネートベニアの治療の流れや通院回数、費用を徹底解説

編集部編集部

ラミネートベニアの治療の流れや通院回数、治療期間を教えてください。

溝口 久勝先生溝口先生

治療は、おおよそ3~4回の通院で完了します。初回は詳しい検査とお口の状態を確認し、具体的にどのような形や色にしたいかなど、詳細なカウンセリングを実施します。そこで具体的な治療日が決まったら、2回目の来院で歯を少し削った後、仮歯を装着します。その後、技工所でベニアを作成し、3回目の来院で最終的なベニアを装着します。最後に、噛み合わせの調整や亀裂の有無、知覚過敏症状のチェックなどをおこない、治療は終了です。治療期間については通院頻度によりますが、おおむね1カ月以内で終了します。

編集部編集部

ラミネートベニアでは、どの程度歯を削るのでしょうか?

溝口 久勝先生溝口先生

通常のラミネートベニアで歯を削る量は0.5mm以内です。歯の凸凹を整える程度であれば0.3mm以下で済むこともありますし、歯が引っ込んでいて盛り上げる必要があるケースではほとんど削らない場合もあります。歯のエナメル質の厚みはおよそ2mmなので、この程度の切削であれば、治療後にしみたり痛んだりする心配もほとんどありません。さらに近年は、歯をまったく削らない「ノンプレップベニア」も登場しています。

編集部編集部

治療中に痛みはありますか? 麻酔は必要なのでしょうか?

溝口 久勝先生溝口先生

神経の通っていないエナメル質だけを削るため基本的に痛みはなく、多くの場合は麻酔なしで治療が可能です。ただし、「歯ぐきが下がっている」「知覚過敏症状がある」「歯を削ることに不安が強い」といった場合は、安心して治療を受けていただくために麻酔を使用することもあります。

編集部編集部

ラミネートベニアの費用について、保険適用の有無や費用の目安を教えてください。

溝口 久勝先生溝口先生

ラミネートベニアは保険適用外(自由診療)で、一般的な相場は1本あたり5~10万円程度です。ただし、歯科医院によって使用する材質や技工料が異なるため、実際の費用は医院や選択する材料の種類によって大きく変わります。丈夫さを重視するか、見た目を重視するかなど、患者さんのニーズによっても費用は変動するので、治療前によく確認しておきましょう。

ラミネートベニア治療後の注意点とメンテナンス

ラミネートベニア治療後の注意点とメンテナンス

編集部編集部

ラミネートベニアの耐久性(寿命)について教えてください。

溝口 久勝先生溝口先生

定期的なメンテナンスをおこなうことで、10~20年程度の耐久性が期待できます。ただし、時間の経過とともに接着剤の劣化が起こる可能性があり、噛み合わせの状態によってはベニアが剥がれることがあります。そのため、治療後は定期健診で噛み合わせや接着具合をしっかりチェックしていくことが重要です。

編集部編集部

もし、剥がれてしまった場合はどうすればよいでしょうか?

溝口 久勝先生溝口先生

脱落したラミネートベニアは再装着できる可能性があるため、捨ててしまわないよう注意してください。外れてしまった場合は必ずそれを保管して、歯科医院に持参しましょう。外れたからといって、市販の接着剤でつけるようなことは絶対にしないでください。

編集部編集部

治療後の食事についての注意点はありますか?

溝口 久勝先生溝口先生

基本的に大きな食事制限はありませんが、極端に硬いものや粘着性の高い食べ物には注意が必要です。硬いものを食べる際は、小さくカットして奥歯で噛むといった工夫をしましょう。セラミックはガラスと同様に過度の衝撃に弱い性質があるため、硬いものを勢いよく噛むような行為は避けてください。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

溝口 久勝先生溝口先生

ラミネートベニアは比較的新しい治療と思われがちですが、じつは60年以上の歴史がある、長年の研究と実績に裏づけられた信頼性の高い治療法です。さらに、近年は歯を全く削らないノンプレップベニアなど、選択肢も増えています。現代は見た目を意識する時代なので、より良い見た目や清掃性を手に入れる選択肢の1つとして、ぜひご検討いただければと思います。

編集部まとめ

ラミネートベニアは歯を最小限しか削らずに見た目を改善できる治療法として注目を集めています。「歯を白くしたい」「歯の形を変えたい」「軽い歯並びの乱れを治したい」という人におすすめの治療法です。保険適用外となりますが、近年は歯を削らないノンプレップベニアも登場するなど、選択肢が広がりつつあります。歯の色や形で悩んでいる人は、ぜひお近くの歯科医院で相談してみましょう。

医院情報

ブランデンタルクリニック

ブランデンタルクリニック
所在地 〒730-0032 広島県広島市中区立町2-1 立町中央ビル4F
アクセス 広島電鉄白島線「八丁堀駅」 徒歩3分
診療科目 歯科

この記事の監修歯科医師

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