審美歯科で後悔しないためのクリニック選び
口腔内の機能の回復だけでなく、見た目の美しさも追求する歯科の「審美治療」。興味がある人も多いと思いますが、どの歯科医院で治療を受ければいいのか、迷っている人も多いのではないでしょうか。審美治療は、歯科医師の技量や経験によって結果が左右するそうなので、後悔しないためにも適切な歯科医院を選びたいものです。そこで今回は、審美治療を受ける際の歯科医院の選び方を「名執デンタルオフィス」の名執先生に教えていただきました。
監修歯科医師:
名執 亮太(名執デンタルオフィス 院長)
東京歯科大学卒業。東京医科歯科大学病院研修医課程修了。その後、ノースカロライナ大学、UCLA審美歯科センターでの留学でインプラントや審美治療の研鑽を積む。都内歯科医院で勤務医を務めた後、2008年に「名執デンタルオフィス」を東京都港区に開院。インプラントや再生療法、審美治療において、海外での経験を活かした治療技術を提供する。
「審美治療」とは、どのような治療?
編集部
ズバリ、審美治療とはなんでしょうか?
名執先生
通常の歯科治療は、歯や歯肉の病気を治すといった、いわゆる機能の回復を目的として行われます。その一方で審美治療は、そこからさらに一歩踏み込んで、美しく健康な口腔内を目指すことが目的です。
編集部
見た目の美しさを追求する治療ということでしょうか?
名執先生
一般には、そのようにイメージする人が多いと思います。しかし、実際に審美治療を行う際には、例えば神経の治療(根っこの治療)や歯周病の治療、場合によっては矯正治療など、必要な治療をしてから最後の集大成として審美治療を行うケースも少なくありません。つまり、審美治療とはいっても、歯が本来持っている機能的な回復も考慮しなければならないのです。
編集部
なるほど。機能面を回復させたうえで、ようやく審美治療を行うことができるということですね。
名執先生
そうです。せっかく見た目を美しくしても、噛み合わせなどの機能が十分でなければ、歯として役に立つことはできません。そのため、審美治療は機能面と審美面の両方を満たさなくてはならないと考えます。
編集部
具体的に、歯科の審美治療ではどのような治療が行われるのですか?
名執先生
例えば、詰め物の治療であれば「セラミックインレー」、被せ物の治療であれば「オールセラミッククラウン」という治療などが挙げられます。また、セラミックを薄い付け爪状にして前歯に張り付ける「ラミネートベニア」という治療もあります。いずれも経年的に変色をしない素材であるセラミックを使って行う治療です。セラミックは劣化が少ないため、再治療のリスクを軽減することができる利点があります。ほかにも、歯の汚れを落として見た目を白くするクリーニングやホワイトニングも審美治療の一環となります。
審美治療を受ける際、知っておきたい4つのポイント
編集部
審美治療に興味があるのですが、どのように歯科医院を選べばいいでしょうか?
名執先生
その前に、まずご理解いただきたいのは「審美治療に100点満点はない」ということです。なぜなら、最も優れた素材は天然の歯なので、人工の材料を使っている以上、セラミックでさえも本物の歯ではないからです。「本物の歯には絶対にならないという前提の下、いかに本物の歯に近づけられるか」を突き詰めた治療で患者様に満足していただくのが、優れた審美治療と言えるでしょう。そうしたことを踏まえて、医院選びのポイントは4つあると考えます。
編集部
具体的に、その4つのポイントとは?
名執先生
「診断用ワックスアップを作ってくれるか」「マイクロスコープを使用しているか」「技工士が立ち会ってくれるか」「プロビジョナル(仮歯)を作ってくれるか」の4つです。
編集部
それぞれ、詳しい説明をお願いします。
名執先生
わかりました。1つ目の診断用ワックスアップとは、治療する前の段階で理想的な歯の形や噛み合わせを考慮して技工士が製作した歯型の模型のことです。これにより、実際の被せ物を作る際のシミュレーションを行って、患者様のご要望が反映されているかを確認します。また、歯を過不足なく削るための目安としても使用するため、審美治療においてとても重要となるのです。
編集部
マイクロスコープについてはいかがでしょうか?
名執先生
マイクロスコープは歯科用の顕微鏡で、肉眼の約20倍もの拡大してくれます。歯科医師と歯科技工士が共にマイクロスコープを使用して歯を削り、被せ物の製作をすることで、非常に精度の高い治療が可能となります。歯と被せ物の繋ぎ目を極限まで小さくすることでむし歯の再発防止になりますし、被せ物が合っていなければ歯肉が腫れたり出血したりしますから、精密な治療を行うためにマイクロスコープは欠かせません。
編集部
技工士の立ち会いでの役割はなんでしょうか?
名執先生
例えば、一口に「白」といっても実は色々な白色がありますし、天然の歯と違和感がないように色味を合わせるのはとても困難です。セラミックを作る技工士がクリニックに来て治療に立ち会うことで、技工士自らの目で色や形などを確認することができます。写真などの画像だけの情報に比べると、格段に色の精度が上がります。また、患者様の被せ物への要望や意見を技工士と一緒にヒアリングして、その場でセラミックの色味を調整したり形を合わせたりすることができるので、患者様の満足度の高い治療につながると考えます。
編集部
最後のプロビジョナルについてもお願いします。
名執先生
プロビジョナルとは仮歯の一種で、本物の被せ物と同じ形で製作された仮歯のことを指します。実際に装着することができるので、出来上がりのイメージを患者様に直接見ていただけます。その上で歯の形や歯並びなど患者様のご要望を聞いて、本物の被せ物に反映することができるのです。
治療を受ける前に確認しておきたいこと
編集部
ほかにも、審美治療を受けるにあたって知っておいた方がいいことがあれば教えてください。
名執先生
そもそも、「美しさ」は人によって基準が違います。患者様が「綺麗にしたい・美しい歯にしたい」と望んでも、担当医や技工士の「綺麗・美しい」と必ずしも一致しているとは限りません。いきなり治療を始めてしまうと、イメージと全く違った仕上がりになってしまう可能性があります。そのため、治療前にカウンセリングを受けて、歯の色や形の希望、イメージなどを詳しく伝えるようにしましょう。また、カウンセリングでは、治療のメリットとデメリットを包み隠さずお話ししてくれるような信頼できるクリニック探しもポイントになります。
編集部
審美治療を始める前に、チェックすべきポイントはたくさんあるのですね。
名執先生
はい。ただし実際は、患者様にはわからないこともあると思います。そのため、治療の予約を取る前に電話やメールで先述した4つのポイントを参考にして質問してみるのもいいと思いますし、カウンセリングの時間があるようであれば、その時に聞いてみるのもいいでしょう。それぞれのクリニックの方針などもありますから、もし納得いく回答を得られないようであれば、ほかのクリニックを探すことも必要だと考えます。何より、ご自身で納得をしてから治療を始めていくことがとても重要です。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
名執先生
審美治療はほとんどが保険適用外のため、治療費が高額となることも多いと思います。せっかく美しい歯を手に入れるために費用をかけてまで治療を始めるのですから、ぜひ適切なクリニックを選んでご自分で納得した上で治療に臨み、ご満足のいく結果を得ていただきたいと思います。
編集部まとめ
最近では、審美治療を行う歯科医院も増えており、どこで治療を行えばいいのかの判断が困難になっています。実際に、一度治療を行ったけれど仕上がりに満足いかず、ほかのクリニックでやり直しをする人もいらっしゃるそうです。治療をやり直すことになった場合には、経済的負担だけでなく歯にも大きなダメージを与えてしまうこともあるので、今回紹介した4つのポイントを参考に、適切な歯科医院を選んでくださいね。
医院情報
所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目10−12 フォーシーズ溜池山王ビル7階 |
アクセス | 東京メトロ銀座線・南北線「溜池山王駅」 徒歩1分 |
診療科目 | 歯科 |