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裏側矯正のメリット・デメリットを歯科医が解説 ワイヤー(表側)矯正やマウスピース矯正との違いとは?

 公開日:2024/01/12
裏側(舌側)矯正のメリット・デメリットを歯科医が解説 ワイヤー(表側)矯正やマウスピース矯正との違いとは?

矯正治療中の見た目(装置が見える・目立つ)が気になる際に、治療法の候補によく挙げられる裏側(舌側)矯正。裏側矯正は「装置が見えない」というほかに、どのような特長があるのでしょうか? また、同じく目立たない装置として人気の高い「マウスピース型矯正」との違いなどをかすや矯正歯科の糟谷先生に解説してもらいました。

糟谷 周吾

監修歯科医師
糟谷 周吾(かすや矯正歯科)

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鶴見大学歯学部卒業。同大学歯学部歯科矯正学講座の診療科助手・臨床助手、矯正歯科専門医院での勤務を経たのち、かすや矯正歯科を開院。わかりやすい説明とコミュニケーションを大切に、安心して矯正治療が受けられる診療室を目指す。日本矯正歯科学会認定医、世界舌側矯正歯科学会(WSLO) 認定医。

裏側(舌側)矯正の特長やメリット 一般的なワイヤー矯正(表側矯正)と仕上がりや治療期間、費用はどう変わる?

裏側(舌側)矯正の特長やメリット 一般的なワイヤー矯正(表側矯正)と仕上がりや治療期間、費用はどう変わる?

編集部編集部

裏側矯正と一般的なワイヤー矯正(表側矯正)の違いについて教えてください。

糟谷 周吾先生糟谷先生

まずは、装置を装着する場所です。一般的なワイヤー矯正はブラケットとワイヤーを歯の表側に装着するのに対し、裏側矯正はその名の通り、これらの装置を歯の裏側(舌側)に装着します。

編集部編集部

装置を裏側(舌側)につけると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

糟谷 周吾先生糟谷先生

一番は「装置が見えない」という点で、これに尽きると思います。また、歯の裏側は唾液が循環しやすいため、表側矯正に比べると「むし歯になりにくい」という特長もあります。とはいえ、「むし歯にならない」というわけではないので、そこは勘違いしないようにしてください。くわえて、裏側矯正は歯科医院で行うオフィスホワイトニングを同時並行で行えるのも利点の1つと言えます。

編集部編集部

仕上がりや治療期間はいかがですか? 表側矯正と裏側矯正で何か違いはありますか?

糟谷 周吾先生糟谷先生

仕上がりについては、両者に違いはありません。治療期間は裏側矯正のほうが長くかかる傾向がありますが、これも最初の歯並びの状態によって異なります。表側矯正と裏側矯正はそれぞれに得意分野があり、例えば歯並びのガタガタ(叢生/そうせい)は裏側矯正のほうが早く治ることもあります。また、裏側矯正でも「アンカースクリュー」という小さなネジを併用すれば、治療期間も表側矯正とほぼ変わりません。

編集部編集部

表側矯正と裏側矯正は「費用」に違いはありますか?

糟谷 周吾先生糟谷先生

費用は、表側矯正よりも裏側矯正のほうが高くなります。裏側矯正は表側矯正よりも治療の技術が難しいことにくわえ、技工料が別途発生します。したがって、コスト面に関しては表側矯正のほうが負担を少なくできると言えるでしょう。

裏側矯正のデメリット・リスク 食事や会話のしづらさはいつまで続く? 痛みはどのくらい?

裏側矯正のデメリット・リスク 食事や会話のしづらさはいつまで続く? 痛みはどのくらい?

編集部編集部

裏側矯正のデメリットを教えてください。

糟谷 周吾先生糟谷先生

先述したように「費用が高い」というのがデメリットだと思います。ただ、裏側矯正でもう少し費用を抑えたい場合は、目立ちやすい上の歯だけ装置を裏側につける「ハーフリンガル矯正」を選択するのも方法の1つです。下の歯は一般的なワイヤー矯正と同様に歯の表側に装置がつきますが、唇で隠れるためそれほど目立つ心配はありません。また、上下とも裏側に装着するよりは費用は安くなります。

編集部編集部

発音・会話はどうでしょうか? 歯の裏側に装置がつくと話しづらくなるイメージがあります。

糟谷 周吾先生糟谷先生

おっしゃる通り、装置をつけた直後はしばらく発音がしづらくなります。ただ、昔と比べると装置はかなり小さくなっているので、2~3週間程度で発音や会話も慣れてきます。

編集部編集部

食事のしづらさもそのうち慣れてきますか?

糟谷 周吾先生糟谷先生

若い方は慣れるのが比較的早いように思います。大人の場合は多少時間がかかるものの、2か月ぐらいで慣れて問題なく食事ができるようになります。

編集部編集部

治療中の痛みはどうですか?

糟谷 周吾先生糟谷先生

かつては「痛みが強い」と言われていましたが、今は材料がすごく良くなってきているので表側矯正と痛みの程度は変わらないと思います。

裏側矯正vsマウスピース型矯正 「治療中の見た目」にこだわりたい場合はどちらがおすすめ?

裏側矯正vsマウスピース型矯正  「治療中の見た目」にこだわりたい場合はどちらがおすすめ?

編集部編集部

「治療中の見た目」が気になる方が選ぶ装置では、マウスピース型矯正も近年は人気があるようですが、こちらはいかがですか?

糟谷 周吾先生糟谷先生

装置を完全に見えなくしたいなら、裏側矯正のほうが有利です。マウスピース型矯正も装置が透明なので表側矯正に比べると目立ちにくいのですが、完全に見えない・気づかれないというわけではありません。周囲の人に気づかれずに矯正治療をしたい場合は、裏側矯正のほうがおすすめです。

編集部編集部

そのほかに、裏側矯正とマウスピース型矯正で選び方の基準や目安があれば教えてください。

糟谷 周吾先生糟谷先生

裏側矯正はあらゆる歯並びに対応できるのに対し、マウスピース型矯正は対応できる歯並びが限定されるので注意が必要です。抜歯をせずに治せる軽いガタガタ(叢生)であればマウスピース型矯正でも問題なく治せますが、歯を抜いて治す重度の歯並びは裏側矯正のほうが仕上がりもよくキレイに治せます。また、「口ゴボ」と呼ばれる口元の突出感を治したい場合も、裏側矯正のほうが出っ張りを確実に治せて、顔貌も整いやすいでしょう。

編集部編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

糟谷 周吾先生糟谷先生

裏側矯正は高度な知識や技術を要する治療法ですので、熟練した矯正歯科医のもとで治療を受けることをおすすめします。その目安として、日本矯正歯科学会の認定医の資格を持つ矯正医であれば安心でしょう。矯正治療の装置は道具の1つに過ぎないので、その道具のメリットとデメリットを熟知し、それを患者さんにもきちんと説明できる歯科医をぜひ見つけてください。

編集部まとめ

裏側矯正の最大の特長は、治療中に装置が見えない・周囲に治療をしていることを気づかれないという点です。一般的なワイヤー矯正(表側矯正)よりも費用は高くなりますが、それ以外の仕上がりや治療期間は両者でさほど大きな違いはないようです。また、同じく目立ちにくい矯正で代表的なマウスピース型矯正と比較した場合、裏側矯正のほうが適応範囲が広く、仕上がりもキレイというメリットがあります。治療をご検討の際は、日本矯正歯科学会が「矯正歯科の十分な知識・経験がある」と認めた認定医をぜひ探してみましょう。

医院情報

かすや矯正歯科

かすや矯正歯科
所在地 〒662-0075 兵庫県西宮市南越木岩町5-23 アスカビル2F
アクセス 阪急甲陽線「苦楽園口」駅西口より徒歩3分
診療科目 矯正歯科

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