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歯周病治療って何をするの? 治療の流れや費用・治療期間を歯科医が解説

 公開日:2023/07/21
歯周病治療って何をするの? 治療の流れや費用・治療期間を歯科医が解説

歯周病は「早期発見・早期治療が重要」とよく聞きますが、一方で治療の具体的な内容や流れについてはあまり知られていません。そこで、歯周病治療ではどのようなことをするのか、実際の流れや気になる費用・治療期間などを佐藤歯科クリニックの佐藤先生に聞きました。

佐藤 正敬

監修歯科医師
佐藤 正敬(佐藤歯科クリニック)

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東京歯科大学卒業。同大学大学院歯周病学講座修了。東京歯科大学水道橋病院保存科、都内開業医での勤務を経て、佐藤歯科クリニックを継承。長年にわたり地域に密着した歯科医院として、患者さんとの対話や心くばりを何よりも大切にした診療を心がけている。東京歯科大学歯周病学講座非常勤講師。日本歯周病学会認定医。歯学博士。

歯周病の初期~中度ではどんな治療をする? 重度だと外科手術も?歯周病治療の一連の流れを歯科医が解説

歯周病の初期~中度ではどんな治療をする? 重度だと外科手術も?歯周病治療の一連の流れを歯科医が解説

編集部編集部

はじめに歯周病治療はどのように進められるか、おおまかな流れを教えてください。

佐藤 正敬先生佐藤先生

歯周病治療は「歯周基本治療」と「歯周外科治療」の大きく2つがあります。進行の程度に関わらず、どの患者さんもはじめに受けるのは歯周基本治療です。歯周基本治療が終了したら再度検査を行い、一定の改善が認められたら定期的な通院によるメインテナンスに移ります。一方で、歯周基本治療でもあまり改善が認められない場合は、必要に応じて次のステップの歯周外科治療を進めていきます。

編集部編集部

歯周基本治療と歯周外科治療の2つで治療は終わりなのでしょうか?

佐藤 正敬先生佐藤先生

歯周病治療ではそのほかに「口腔機能回復治療」といって、噛み合わせや見た目、発音などの回復を図る治療もあわせて行います。どの治療が必要になるかは最初の歯周病の状態によって異なりますが、歯周病の程度に関わらず、一通り治療が終わった後は定期的な通院によるメインテナンスが必要です。

編集部編集部

最初に行う「歯周基本治療」の目的や具体的な内容を教えてください。

佐藤 正敬先生佐藤先生

歯周基本治療の目的は歯周病の直接的な原因であるプラークの除去、ならびに炎症の除去です。具体的な治療内容に、「ブラッシング指導」「スケーリング(歯の表面の歯石除去)」「SRP(根面の歯石除去)」「生活習慣の改善・指導」などがあります。これら一連の治療が終わったら再度検査を行い、治療によって歯周病がどの程度改善されたかを評価していきます。

編集部編集部

そこで「あまり改善がみられない」と判断されると、次の歯周外科治療が必要になるわけですね?

佐藤 正敬先生佐藤先生

そうです。歯周病も中等度から重度に進行してしまうと、歯周基本治療だけではプラークや炎症の除去が十分に行えないケースが増えていきます。その場合、次のステップとなる歯周外科治療を行っていきます。

編集部編集部

歯周外科治療では、具体的にどのようなことを行うのでしょうか?

佐藤 正敬先生佐藤先生

歯周外科治療には「組織付着療法」と「歯周組織再生療法」の大きく2つがあります。組織付着療法は、歯周ポケット内部の歯石や細菌を徹底的に取り除き、歯ぐきが歯根の表面に付着するのを促していきます。「フラップ手術」と呼ばれる術式が代表的です。歯周組織再生療法では歯石や細菌の除去にくわえ、骨などの組織を再生させる材料を使って失われた組織を回復していきます。適応は限られますが、健康に近い状態に歯ぐきや骨を再生していくのが歯周組織再生療法の大きな特徴です。

歯周病治療に終わりはない? 治療にかかる期間や治療後の通院頻度について

歯周病治療に終わりはない? 治療にかかる期間や治療後の通院頻度について

編集部編集部

歯周病治療にはどのぐらいの期間がかかるのでしょうか?

佐藤 正敬先生佐藤先生

歯周ポケットが浅く、比較的軽度の歯周病であれば1~3か月程度で歯周基本治療は終了します。一方で、歯周ポケットが深い中等度以上のケースでは、治療に半年以上の期間がかかることもあります。とくに、歯周外科治療が必要な重度のケースでは年単位に及ぶことも少なくありません。

編集部編集部

歯周病は治療が終わった後も、定期的な通院が必要なのはなぜでしょうか?

佐藤 正敬先生佐藤先生

歯周病はその原因となる細菌がお口の中に常に存在することから、きわめて再発率の高い病気といえるからです。とくに、中等度~重度の歯周病は仮に治療をしても完治は難しいため、一連の治療が終了した後も、定期的な通院で病状の安定、再発予防を図る必要があります。

編集部編集部

つまり、歯周病は治療後も生涯を通じて歯医者さんで管理してもらう必要があるのですね。

佐藤 正敬先生佐藤先生

その通りです。歯周基本治療や歯周外科治療は一定の期間で終了しますが、それは歯周病治療が終わることとイコールではありません。歯周病は一度かかると、一生を通じて歯科医院での定期的なメインテナンスが必要な病気であることはしっかり認識しておきましょう。

編集部編集部

治療後は、どのぐらいの頻度で通院したらよいのでしょうか?

佐藤 正敬先生佐藤先生

こちらも最初の歯周病の程度によって異なります。軽度の歯周病で予後が良好なケースであれば3~6か月に1回の通院ペースになります。一方で中等度~重度のケースで再び進行や悪化が心配されるケースでは、治療後しばらくは1か月ごとの通院が必要です。ただ、そこから病状に応じて3か月、6か月とスパンを長くしていくこともあります。

歯周病の治療費はどのくらいかかる? 費用に保険の適用は可能?

歯周病の治療費はどのくらいかかる? 費用に保険の適用は可能?

編集部編集部

歯周病の治療には保険が適用できるのでしょうか?

佐藤 正敬先生佐藤先生

どの治療にも基本的に保険適用が可能です。ただ、歯周外科治療でご紹介した「歯周組織再生療法」に関しては、使用する材料によって自由診療になる場合があります。もちろん、保険診療でも治療は可能ですが、その場合は使用できる材料が限られるので、受診する歯科医院に確認してみてください。

編集部編集部

保険診療で歯周病治療を受ける場合、費用の目安はどのくらいでしょうか?

佐藤 正敬先生佐藤先生

治療費については個々のケースで大きく変わるため、一概にいくらとは言い難いのが実状です。おおよその目安だと、はじめに種々の検査(レントゲン・歯周病検査など)で3000~4000円程度かかります。治療にかかる費用は軽度~中等度の歯周病で5000円〜1万円前後、中等度以上の場合は多い方で3万円前後かかることもあります。

編集部編集部

治療後のメインテナンスはどのくらい費用がかかりますか?

佐藤 正敬先生佐藤先生

こちらも残っている歯の本数や歯周病の程度にもよりますが、1回につき3000〜3500円前後です。

編集部編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

佐藤 正敬先生佐藤先生

歯周病治療では「まだかかるんですか?」と患者さんに言われることも少なくありません。しかし、長い時間をかけて進行した歯周病は治すのも大変で、一生をかけて治療を続けていく必要があることを本記事でご理解いただければと思います。

編集部まとめ

歯周病治療には「歯周基本治療」と「歯周外科治療」の大きく2つがあり、歯周病の程度に関係なく最初に歯周基本治療を行います。基本治療で改善が見られたら定期的な通院によるメインテナンスに移りますが、改善がみられない場合は歯周外科治療が必要になるケースもあるようです。歯周病は最初の病状が悪いほど、治療に時間も費用もかかってしまいます。自身の歯を守るだけでなく、費用や期間の負担軽減のためにも早めの受診・治療に努めましょう。

医院情報

佐藤歯科クリニック

佐藤歯科クリニック
所在地 〒168-0072 東京都杉並区高井戸東 4-10-30-106
アクセス 京王井の頭線「高井戸」駅より徒歩7分
診療科目 歯科

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