スポーツ用マウスピースは歯科医院でも作れるの? 市販品との違いは何?
歯を保護して口腔内を守るだけでなく、運動能力や瞬発力の向上も期待できる「スポーツ用マウスピース」。最近では部活動やサークルなどで使用する学生も増えているようです。実は、歯科医院でもスポーツ用マウスピースを作れるのをご存知でしょうか。今回は、市販品もある中で、歯科医院でスポーツ用マウスピースをオーダーするメリットを「北谷デンタルクリニック」の北谷先生に解説していただきました。
監修医師:
北谷 修一(北谷デンタルクリニック 院長)
日本歯科大学生命歯学部卒業。日本歯科大学附属病院歯周病学講座を経た1998年、埼玉県志木市に「北谷デンタルクリニック」を開院。「気軽にかかれる身近な歯医者」をコンセプトに治療を提供している。少数のスタッフで構成されるアットホームな歯科医院を目指している。
「スポーツ用マウスピース」とは?
編集部
まず、スポーツ用マウスピースについて教えてください。
北谷先生
ラグビーやボクシングなどのスポーツで、選手が口の中に何かを入れているのを見たことがある人も多いと思います。あれが、スポーツ用マウスピースです。マウスガードとも呼ばれ、最近だと野球やテニスの選手でも利用している人が増えています。
編集部
なぜ、マウスピースを装着するのですか?
北谷先生
スポーツ用マウスピースは、スポーツをする際に起こる激しい衝撃や強い力から、歯や顎へのダメージを防いだり、口の外傷を防いだりする役割があります。また、頭部への衝撃による脳震とうなどの発生率や重篤化を緩和するという役割も担っています。そのため、格闘技や激しくぶつかり合うことの多いコンタクトスポーツにおいては、使用が義務付けられていることもあります。
編集部
選手の安全を守るために装着するものなのですね。
北谷先生
そのとおりです。ほかにも、しっかり噛むことで競技のパフォーマンスを向上させるという役割もあります。一般的に、人は歯を食いしばったときに力を発揮すると言われています。そのため、瞬間的に大きな力を必要とするラグビーなどのスポーツは、どうしても歯への負担が大きく、歯がすり減ってしまったり、場合によっては折れてしまったりすることもあるのです。マウスピースは、そのようなリスクを軽減するとともに、集中力を向上させ、パフォーマンスを大きく引き上げてくれます。
編集部
歯列矯正に使用するマウスピースとは別物ですか?
北谷先生
はい、素材も構造も異なります。マウスピースには睡眠用やスポーツ用、歯列矯正用など使用用途がいくつかあります。それぞれに適した素材で、最適な形状で設計されています。
歯医者でスポーツ用マウスピースを作るメリットとは?
編集部
スポーツ用マウスピースは、どのように入手できますか?
北谷先生
大きく分けて「市販されているものを購入するという方法」と「オーダーメイドで自分にぴったり合ったものを作る方法」の2つの方法があります。前者の場合、スポーツ用品店などで販売されています。購入してすぐに使えるため利便性は高いのですが、自分の口に合わせた微調整が効かない点がデメリットです。加えて、フィット感も今ひとつであることが多いようです。
編集部
他方、自分に合ったスポーツ用マウスピースをオーダーメイドする場合は、どこにお願いすればよいのですか?
北谷先生
スポーツ用マウスピースを製作する専門店もあります。そのほかに、歯科医院でも製作することができます。個別で型取りをおこなうので、既製品と比べてぴったりフィットさせることができます。また、噛み合わせについても違和感のないように調整することができるのがオーダーメイドの特徴です。
編集部
歯科医院でオーダーメイドできるのですね。
北谷先生
これまで、歯科医院によるスポーツ用マウスピースのオーダーメイド製作は非常に費用がかかるため、一般人にはあまり普及せず、オーダーをするほとんどがプロスポーツ選手でした。しかし、近年、スポーツ用マウスピースの需要がますます高まりました。それに伴って、製作機械が普及するといった製作技術も向上したことにより、コストダウンが図られました。そのため現在では、以前よりも手軽に専用のマウスピースを作ることができるようになったのです。
編集部
先生のクリニックでは、どのような人がオーダーしているのでしょうか?
北谷先生
地域の特性かもしれませんが、当院では部活動やサークルで使用するという学生さんが多いですね。特にラクロスやラグビーなどのスポーツをしている人が目立ちます。
編集部
スポーツの種目によって、マウスピースの構造は変わるのですか?
北谷先生
はい。当院では、患者さんの話をよくお聞きして、そのスポーツに最適な厚みでマウスピースを作るようにしています。例えば、「コンタクトスポーツは厚め」、「あまり激しくぶつからないスポーツは薄めで、フィット感重視」のように、パフォーマンスの妨げにならずに装着して心地よいものを作るよう心がけています。
スポーツ用マウスピースの製作手順
編集部
歯科医院でスポーツ用マウスピースをオーダーメイドする場合、どのような工程で製作されるのですか?
北谷先生
まず、患者さんの歯の形にピッタリと合ったマウスピースを作るために、顎全体の型を取らせていただきます。そして、上下の歯の位置関係が再現できる特別な器機(咬合器)に模型をつけて、正確な噛み合わせの位置を把握し、スポーツ用マウスピースを作る下準備をします。
編集部
その次はどのような流れですか?
北谷先生
上顎の模型にマウスピース用の材料を何層か密着させて、形を整えます。その後、完成したスポーツ用マウスピースを咬合器に戻して、噛み合わせを調整して仕上げます。
編集部
作れない場合はあるのでしょうか?
北谷先生
もし、むし歯があったり、歯石が付いていたりすれば、まずはそれらの治療をおこなう必要があります。そのため、マウスピースを製作する前に、まずは口腔内のチェックをさせていただきます。後から治療をすると、噛み合わせや歯の形が変わる場合があり、マウスピースがフィットしなくなってしまうため、治療を優先させていただくことがあります。
編集部
マウスピースは、どれくらいもちますか?
北谷先生
使用する頻度や使い方にもよりますが、大抵の場合の寿命は1年程度と考えていただければと思います。特に学生さんが使用する場合、成長に合わせて口腔内の様子も変化していくので、1年程度で定期的に作り直すことを推奨しています。
編集部
最後に、読者へのメッセージがあれば。
北谷先生
スポーツ用マウスピースを歯科医院で作りたい場合は、まず、かかりつけの歯科医院で尋ねてみるといいと思います。医院内で製作していなくても、型だけ取って技工所へ発注しているケースもあります。一人ひとりに合ったフィット感のあるマウスピースを作れるのが、歯科医院に依頼するメリットです。ぜひ、スポーツ用マウスピースを使って、楽しく安全に競技をしていただきたいですね。
編集部まとめ
口腔内や頭などの大きな怪我を未然に防ぐだけでなく、スポーツのパフォーマンスも上げてくれるスポーツ用マウスピース。一度使用すると、「保護されている」という安心感で、ますます競技に集中できる人も多いようです。ぜひ、スポーツをしている人は装着を考えてみてはいかがでしょうか。
医院情報
所在地 | 〒353-0004 埼玉県志木市本町5-9-17 |
アクセス | 東武東上線「志木駅」 徒歩7分 |
診療科目 | 歯科 |