歯をゴシゴシ磨いたらダメって本当?
毎日行う歯ブラシですが、むし歯予防のためとはいえ強く磨きすぎている人はいませんか? ゴシゴシ磨くと汚れがきちんと取れて効果的な気がしますが、その磨き方は本当に正しいのでしょうか。正しい歯の磨き方の強さはどれくらいなのか、都立家政南口歯科の來山先生、教えてください!
監修歯科医師:
來山 修三(都立家政南口歯科 院長)
大阪大学卒業後、東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科う蝕制御学分野に入学。2007年〜2008年、キングス・カレッジ・ロンドン歯学部大学院に留学。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科う蝕制御学分野修了後、香港大学歯学部大学院インプラント科を修了。都内にて勤務後、中野区に「都立家政南口歯科」を開院。患者さんが歯のことで悩まず、楽しい食生活や人生を送れるように取り組んでいる。
強く磨き過ぎることは歯や歯ぐきを痛める原因に
編集部
歯をゴシゴシ強く磨くのは正しいのですか?
來山先生
歯を磨く目的は、歯についたむし歯の原因となるプラークを除去することです。プラークが除去できればよいので、力強くゴシゴシ磨く必要はありません。
編集部
強く磨きすぎることで起こる、デメリットはなんでしょう?
來山先生
あまり強く磨くと、歯の根元が削れてしまうことや、歯ぐきが傷ついてしまうことがあります。それにより歯ぐきが下がり、知覚過敏を起こすこともあります。そうならないよう、やさしく磨いてあげてください。
編集部
強く磨いている人は、自分で気づくことができますか?
來山先生
強く磨いていることを自覚されている方は少ないですね。強く磨いている方は先ほどお話ししたように、歯の根元が削れている、歯ぐきが傷ついている傾向があります。歯医者さんは口の中を見ればわかりますので、気になる方は聞いてみてください。
歯と歯ぐきの間を1本ずつ磨こう
編集部
では、正しい歯の磨き方を教えてください。
來山先生
先ほどお話ししたように、力を入れずに優しく磨いてあげてください。歯と歯ぐきの境目に歯ブラシを当てて、1本に対して歯ブラシを横に10から20往復させて磨くとプラークを除去する事ができます。特に、奥歯は前歯より歯ブラシが届きにくいので、1本ずつ丁寧に磨くようにしましょう。
編集部
歯と歯ぐきの境目に当てるのですね。歯と歯の間はどうやって磨くのがよいですか?
來山先生
歯ブラシだけでは歯の汚れは5〜6割しか取れません。残りの汚れは歯と歯の間についています。どれだけ歯ブラシを頑張っても、歯と歯の間の汚れが残っていると、虫歯や歯周病になることはあります。ですので、歯と歯の間は、デンタルフロスや糸ようじ、歯間ブラシを使用して汚れを取りましょう。一般的に、歯と歯の間の隙間が大きい場合は歯間ブラシ、隙間が小さくて歯間ブラシが入らないような場合は、デンタルフロスや糸ようじを使います。
編集部
磨くタイミングについても教えてください。
來山先生
食事のあとはもちろんですが、寝る前は特に念入りに磨きましょう。寝ているときは口の中の唾液量が減るため、細菌が洗い流されず、むし歯が増えやすいのです。就寝前に歯を磨いたら、それ以降は水かお茶以外は飲まないようにしましょう。
将来のためにしっかりケアを
編集部
歯ブラシの選び方で注意することはありますか?
來山先生
歯に対してブラシが大きすぎるものは避けましょう。海外のホテルに置いてあるような大きいブラシのものは、奥歯の汚れが取りにくいためおすすめしません。硬さは人によって好みがあると思いますが、柔らかめ〜普通くらいがよいと思います。硬いのが好きな方はやさしく磨いてあげてください。
編集部
歯磨き粉の選び方はありますか?
來山先生
歯磨きの目的は、プラークを除去することですので、正しくブラッシングできていれば、歯磨き粉は使用しなくても構いません。歯磨き粉を使用する場合は、むし歯予防のためにはフッ素入りがおすすめです。また、知覚過敏用の歯磨き粉を使用すると、知覚過敏が軽減することがあります。
編集部
最後に歯磨きを行う上で、アドバイスやメッセージをお願いします。
來山先生
永久歯は一度しか生えてきません。年を重ねても健康な歯を維持できていれば、一生美味しくご飯を食べる事ができます。しかし、歯は失ってみるまでその価値がわかりません。むし歯や歯周病のために抜歯した場合、ブリッジ、インプラント、入れ歯などで歯を補うことになります(そのために治療費や通院の時間がかかってしまいます)。また、入れ歯になると、ご飯が美味しく感じられなくなります。大切な歯をむし歯や歯周病から守るため、日頃の歯磨きをがんばりましょう。
編集部まとめ
歯を守っていくために大切な歯磨きですが、ゴシゴシ強く磨くのは歯や歯ぐきを傷つけてしまうのでNG! 歯ぐきと歯の間を1本ずつ、やさしく丁寧に磨くのが確実なプラーク除去につながります。また、歯と歯の間のプラークを除去するためには、歯間ブラシやデンタルフロス・糸ようじを使うのが効果的とのこと。特に就寝中は虫歯になりやすいので、寝る前の歯磨きはしっかり行いましょう。
医院情報
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診療科目 | 歯科 |