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毛巣洞
高藤 円香

監修医師
高藤 円香(医師)

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防衛医科大学校卒業 / 現在は自衛隊阪神病院勤務 / 専門は皮膚科

毛巣洞の概要

毛巣洞(もうそうどう)は、肛門の少し上の皮膚に小さな袋状の穴ができる病気です。
これは、皮膚の中へ向かって体毛が伸びることによって発症します。
毛が皮膚の下で巣を作り、洞(あな)を形成するとイメージすると良いでしょう。

毛巣洞は肛門の上付近にできることがほとんどですが、脇の下など他の場所にできることもあります。
穴の中に入り込んだ毛に細菌が繁殖した場合、膿が溜まり炎症を起こします。
仕事などで座る時間が長い男性の発症が多いことが特徴です。

毛巣洞

毛巣洞の原因

毛巣洞は体毛が皮膚の中に入り込むことで、皮膚の内部に穴ができ発症すると考えられています。その原因は部位によって異なります。

たとえば、お尻の場合は圧力や摩擦、ワキや眉の場合は毛の手入れが主な原因です。
お尻にできる毛巣洞は、体毛が抜け落ちた後、その毛が皮膚に圧力をかけ続けることで皮膚を突き破り、皮膚の下に入り込むことが原因と考えられています。
これは、座ったり動いたりする際の摩擦や圧力が関係しているため、体毛の濃い男性で長時間座って過ごす方に多いのが特徴です。

脇や眉の周りにできる毛巣洞は、日常的に行う毛剃りや毛抜きが原因となります。
これらの手入れによって毛の生える方向が変わり、毛の先端が皮膚の中に入り込んでしまうことがあります。

毛巣洞の前兆や初期症状について

普段は特に症状がありません。
毛巣洞は肛門の少し上辺りの皮膚にみられることが多いのですが、お尻は見えにくい部位のため、皮膚に変化が起こっていても症状がでるまで気付かないことがあります。

ただし、皮膚の下に入った体毛は身体にとって異物と認識され、炎症を引き起こし、化膿することがあります。この時に起こるのが、痛みや腫れ、皮膚の赤みです。

悪化した場合、内部に溜まった膿が外へ漏れることがあり、お尻の毛巣洞の場合では痔瘻(じろう)や化膿した皮膚腫瘍と間違えられることもあります。

毛巣洞が繰り返し感染すると、内部の空洞が広がり慢性的な炎症が続くことがあります。
また、有棘細胞がんという皮膚がんの一種を発症するリスクが高まることが知られています。

毛巣洞の検査・診断

毛巣洞の穴から体毛が飛び出している場合、見た目で診断することが一般的です。

一方、穴から毛が出ていない場合は、痔瘻(じろう)など他の疾患との鑑別を行うために、超音波やCTなどの画像検査で穴の内部の状態を調べることがあります。

毛巣洞の治療

毛巣洞は自然に治癒することはほとんどないため、皮膚科や形成外科での治療が必要です。軽い感染の場合は、抗生物質を飲んで様子を見ることがありますが、感染の強い場合は切開しないといけません。

また、感染を繰り返す毛巣洞には、手術による切除が必要です。

切開排膿

切開するために、局所麻酔を行います。
麻酔が効いたあと、皮膚を切り開いて、中にたまっている膿を洗い流します。

手術による切除

毛巣洞を完全に取り除く方法です。
感染のリスクが低くなるため、痛みや腫れも少なくなります。
手術後の傷は、そのまま塗り薬などで治す方法と、周囲の皮膚や皮下組織を移動して閉じる方法があります。
手術後も長時間座っていると再発する可能性があるため、日常生活の工夫が大切です。

毛巣洞になりやすい人・予防の方法

長時間座っていることが多い方、肥満の方や毛深い方、若い男性に多く見られます。
長時間運転する職業のトラックの運転手やタクシーの運転手はお尻の皮膚の状態に注意しましょう。
見えにくい場所なので、発見しにくく症状が出てから気付くことが一般的です。

また会社員の方や学生、女性でも毛巣洞を発症することもあります。
長時間座ることの多い方はクッションをつかったり、適切に休憩をとったりしてください。

眉や脇に発生する毛巣洞に対しては、カミソリや毛抜きによる手入れがリスクになります。

皮膚を清潔に保ち、痛みや赤みなどの症状が起こった場合は、早めに医療機関を受診しましょう。


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