なぜ見つかりにくい!? 気づいたら進行している大腸がんの怖さとは?

食事の欧米化が進み、罹患者数が増加傾向にある大腸がん。がん検診の普及により早期発見率が増えてきているがんも多い中、なぜ大腸がんは見つかりにくいと言われているの? 初期で発見することは難しいの? はやま消化器内科クリニックの羽山先生に聞いてきました。
監修医師:
羽山 弥毅(はやま消化器内科クリニック 院長)
初期症状がほとんどない大腸がんの怖さ

はじめに大腸がんについて簡単に教えてください。

大腸にできたポリープが異形や遺伝子異常を起こし、がん化していく病気です。突然大腸にがんができるというよりも、生活習慣などが影響してポリープが徐々にがんになっていくことが多いですね。年齢も幅広く20代から発症する人もいて、40代からは特に注意が必要です。男女どちらがかかりやすいということはないですが、女性の罹患するがんのなかで、死亡数が一番多いのが大腸がんの特徴です。
編集部
大腸がんは見つかりにくいと聞いたことがありますが、大腸がんの初期症状は、どのようなものでしょう?

実は大腸がんに初期症状はほとんどないのです。進行してくると血便、便秘、下痢、お腹の張り、腹痛などの症状がでてきますが、これらの症状は、進行してからでないと現れないのです。
編集部
では初期のうちに大腸がんを見つけるのは無理なのですか?

初期の段階で見つけるために大切なのは、健康診断をきちんと受けることです。特に体に異常がなくても、年に一度は健康診断で検便を行うことが非常に重要なのです。
検便で異常ありなら大腸カメラを

検便で異常があった場合はどうしたらいいですか?

大腸カメラを受けるようにしましょう。しかし、検便で再検査だとしても、大腸がんである確率は決して高くありません。実際に検査をしたらポリープがない人もいます。ちなみに検便で引っかかる原因の中で一番多いのは痔です。
編集部
それでも大腸カメラはきちんと受けた方がいいのですか?

もちろんです。多くないとはいえ、実際に検査をして、大腸がんや将来がんになるかもしれないポリープが見つかる場合もありますからね。早めに発見できれば治る確率も高く、短い期間で治療することができます。大腸がんは治るがんなのに、しっかりと検査をしないことで、治る可能性が減ってしまうのです。
編集部
検便で異常がなかった場合は、何年ごとに検査を受けるべきでしょうか?

検便は年1回の健康診断で必ず行ってください。大腸カメラは、ポリープがなければ3年に1回、ポリープがあった場合は年に1回は行うようにしましょう。ただ検便で必ずしも大腸がんが見つかるわけではないので、一度は大腸カメラを受けることをおすすめします。
食生活が大腸がん予防のカギ
編集部
検査を毎年行うことは必須として、それ以外に予防としてできることはありますか?

一番は食生活を改善させることですね。大腸がんになりやすい人の特徴として、50歳以上、大腸がんの家族歴がある、赤身肉や加工肉の過剰摂取、喫煙、過度のアルコール摂取が挙げられます。年齢や家族歴などは変えることはできませんが、食生活は改善することができます。
編集部
具体的にどのようにすればよいのでしょうか?

肥満の原因となるような高カロリーのものは控えるべきでしょう。先ほども述べたように、特に赤身肉や加工肉の過剰摂取は要注意です。逆に野菜や繊維質、果物やカルシウムの摂取は大腸がんの抑制に繋がりますので、積極的に摂りましょう。あとは適度な運動などをして、肥満を防止することも効果的ですよ。
編集部
最後に大腸カメラを受けたことのない人に、メッセージがあればお願いします。

大腸がんは早期に発見できれば、治るがんです。転移していない早い段階で見つけることが重要です。そのためにはしっかりと検査を受けることが一番。若くて健康だからといって検査を怠らず、年に一度はしっかりと健康診断、大腸カメラを受けるようにするといいと思いますよ。
編集部まとめ
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